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そこに居たはずの誰かへ  作者: 作者でしゅ
9章 デートと文化祭
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6話 文化祭 初日




 文化祭を翌日に控え、最後の練習に励んでいると着信音が鳴る。


『太志が誓いを破りましたぞ』


「なんだと」


 俺たちは大学生になるまで我慢すると。


『して?』


『久しぶりに喧嘩をいたした。僕はしばらく奴とは口を聞かん』


 あの隆明がご立腹でらっしゃる。


『明日は俺からも一言いってやる』


『よろしくお頼みもうす』


 太志許すまじ。


 怒りを乗せて吟じる。

 田舎だとある程度は音量も大丈夫だから助かるわ。


・・

・・


 文化際当日。登校すると教室は様変わりしていた。


 大正ロマン模様の壁紙は仕切り板に張り付けてあり、お手製の看板もそれっぽい字体で、右から左に読み進める感じ。

 小物類やテーブルなどは予め写真を撮ってもらい、持ってくるかどうかを決めてから、大物は先生が車を出して運んだそうだ。


 ただ正確には大正ロマン喫茶ではなく、大正詩吟喫茶になっているので、奥まった位置に簡単な造りの舞台が設置されていた。


 教室の隅っこでぶー垂れている巨漢を発見。

 ずっとそちらを気にしていたようで、委員長が俺に話しかけてきた。


「なんか太志くんが元気ないんだけど、理由わかるかな?」


 芝崎が悲しそうにこちらを見つめていた。


「原因はわかっております。奴は約束を破っちゃったんです」


「やくそく?」


 俺はうなずきを返し、太志を問い詰めるべく歩み寄る。


「太志てめぇ、良くも誓いを」


「……」


 神崎さんが目を輝かせているが、今はそれどころではない。


「なんか言い分はあるか。高校卒業まで我慢しようって約束しただろ」


「……欲望に勝てなかった」


 気持ちは分かる。俺だっていつもオモチャコーナーで。


 だがな太志。


「よくも、よくも、ベイ〇レードに手を出したな!」


 村瀬が横やりを入れてくる。


「えっ でもあれ子供向けの商品じゃね」


 だまらっしゃい。


「あれは大きいお兄さん方がやるもんであって、俺たちにはまだ早い!」


「駒のオモチャでしょ、年齢制限あったっけ?」


 太志は疑問を向けた委員長を手で制し。


「俺が悪いんだ、駄菓子屋の誓いを破った」


 ふむ。反省はしているようだな。


「発火イグニッションは一時的に没収する」


「ぐぅ 止む負えん」


 不動マウンテンでないだけ有難く思え。

 太志が鞄から取りだした発火イグニッションを、そっとハンケ―チーフに包んで懐へしまう。


 これからの戦いに胸をときめかす神崎さんが。


「大堀くんなんで怒られてるの?」


「大人のオモチャに手を出したんだ」


「ちゃうわ。浦部おめえ誤解を招くこと言うんじゃねえ」


 バトルフィールドとランチャー、そんで駒の数揃えるのに一体いくらかかるんだ。


 太志の傍にいると怒りが湧いてきてしまうので、いったん距離をとる。


「ねえねえ浦部君、ゴブリンさん出るかなぁ?」


 第一変化は偽りの怪物と兵士なんすけどね。


「どうでしょう、あいつは罪深さを自覚してますんで。珍しく隆明の方が出現するかもです」


 彼は滅多に怒らないし、精神も安定している。


「うぅ、細川君の前世って可哀そうが強くて、あんまテンションあがらないんだよねぇ」


 あの落ち武者以来まだ一度もないんだよな。

 その後、先生の声掛けで体育館に移る。


・・

・・


 2階通路のカーテンが閉められたうす暗い体育館。

 生徒たちのザワザワがワクワクとドキドキを刺激する。


「それではこれより、第73回……」


 音楽と共にライトが舞台を照らす。


 スクリーンに映像が映し出され、太鼓の音が心臓を驚かせる。


「今年のテーマは愛と青春の墓場、夢幻のごとくなりです」


 うるさいはずなのに心地よく、なんとなく目をつぶった。


「それでは続きまして、ツチノコ捕縛協会の理事である……」


 夢幻のごとくなり。変なテーマだなあ。




 いかんいかん、緊張であまり眠れなかったから、一瞬意識を失っていた。

 校長の挨拶はあったのだろうか、聞き逃してしまってたらどうしよう。


 不覚。そもそも文化祭の開催式って校長のお言葉あったっけ。


「まさか校長、ラップをするとは」


「しかも意外とうまかった」


 なんだと。

 たしか海外で、休校の知らせをラップでやった校長先生がいたとの話を聞いたことがあった。


 だが良いのか、それで良いのか。校長の挨拶とは生徒に受けるためにあるのか。

 誰も興味のないことを教え、学生に忍耐力と根性と精神の逞しさをだね。


 まあいいや、吹奏楽部の演奏が始まるようです。さすが貫禄が違いますね、我が校の期待を背負うだけのことはある。


「芝崎頑張れぇー」


 委員長に良い所をみせてやれ。

 などと言っていた自分がバカでした。委員長すげえ、ソロ格好良かったです。


 女子たちがせ~のと声を合わせ。


「「「いいんちょーっ!!」」」


 音大とか目指したりしないのかねえ、素人だから凄いって感想しかでないんだけど。


「続きましてダンス部のパフォーマンスとなります」


 そんな部活あったんだね。


「咲がんばれぇ!」


「さきーっ!!」


「かわいいぞー咲ちゃん!」


 里中くんは中腰になってスマホのカメラモードを起動させているようだ。


・・

・・


 昼時に開会式は終わり、換気のため少しだけ開いていた窓からは、食欲をそそる香りが入っている。ガスコンロとか使うクラスや部活は校庭に出店をだすそうだ。


 俺らは中庭でベイゴマ体験会をする予定だったけど、太志がやらかしたからなあ。


 委員長は未だに彼を気にしているようで、そちらに意識を向けながらも。


「うちって緑茶とか簡単な和菓子だけだったから、浦部くん本当に助かったよ」


 完成品を少し上乗せして提供するだけなんで、あまり稼げないんだろう。

 神崎さんは指で数を計算しながら。


「4万じゃ頑張って1着、皆でお金を出し合っても、追加で2か3着だもんねぇ」


「フルだとレンタルでも3万から10万っすか。母ちゃんけっこう金使ってたんだな」


 我が家の母と亡くなった婆さんは詩吟が趣味でして、着物や若いころの振袖・袴なんかもある訳です。親から子へって感じだとすりゃ、姉ちゃんが引き継ぐんだろうな。


 そんでお師匠さんからもご厚意で貸してくれることになりました。あと割烹着。


 委員長と斉藤先生で挨拶に行き、できる限りお金は払うと言ったんだけど、なんか若い教え子もっと欲しいから宣伝だってさ。



 お客の生徒が。


「あれ、制服なんですか?」


「和服は一般客が入る明日からなんですよ」


 2日目は母や先生にお弟子さんの数名が、着付けに来てくれることになった。

 母ちゃん同僚に勤務交代お願いしたんだと。


 お客さんは神崎さんの方を一瞬だけみて。


「じゃあ明日も来させてもらおっかな」


 これが2度おいしいってやつかね。


「浦部くんは和服着ないの?」


「俺は断固として断りました」


 そしたら扇子を渡された。


「えぇー せっかくだから着れば良いのにぃ」


「着脱が面倒じゃないっすか」


「段々とお客さんが増えてきたね。じゃあ浦部くん、そろそろお願いします」


 やばい、ついにやるのか。


「客寄せになるんすかね?」


 委員長は俺の背中を叩き。


「和服だけで十分元は取れてるから、あまり気にしなくて大丈夫だよ」


 深呼吸をしてから、喫茶店に作られた質素な舞台に上る。


「よっ 先生、いっちょ頼んます」


 村瀬め、調子の良いことを言いやがって。


「浦部さん頑張ってぇ」


「せんぱーい」


「吟じます!」


 美玖ちゃんもお友達と見に来てくれていたようだ。


 委員長が紙をめくり、演目を発表してくれる。


「えぇ、このたび吟じることになりました浦部吟次と申します」


 扇子で手の平を叩き。


「習っていたのは小学校の4年生まででして、久方ぶりのこともあり毛が生えたどころか素人なのですが、和服経費削減のために無理やり引っ張りだされた次第であります」


 ちょっと笑いがとれたので、掴みとしては上々だろう。


「演目にある「鹿柴」は比較的初心者向けとのことで、お師匠が用意してくれたのですが、中国の詩人・王維が詠んだ漢詩になります」


 解説をするんだけど、声が震えている気がします。


「ようは自然が綺麗だねってこんっすね、たぶん。自分は詳しくないのでわかりませんが」


 うわっ なぜか知らんけど、校長が来てるよ。


「ところで皆なん、こんな言葉を知っているでしょうか?」


 ここで太志に目を向けるが、あいつ元気なくて役目を忘れてやがる。


「うらべー 話長いぞ、さっさと始めろー」


 よかった、かわりに里中くんが言ってくれ、教室が笑いに包まれた。


「ではではさっそく、急かされたので恥ずかしながら、醜態をさらしたいと存じます」


 委員長がポチっと操作して、曲を流してくれる。


 扇子を強く握りしめ、咳ばらいを一つ。


「鹿柴・王維」


 村瀬が紙をめくる音が耳に届く。そこには繊細な解説文が書かれていることだろう。

 

 大きく息を吸い込む。


「空ぅ山んぅんぅぅ 人をぉおおぉぉお見ずぅうぅ」

 

 人気のない寂しい山には人の姿は見えず。


(ただ)あぁ 人語のぉお 響きぃをぉおおぉぉお聞くぅぅ」


 ただどこからか人の声が響いてくるだけだ。


()ん景いぃいいぃぃ 深林(しんりん)ににぃいいぃい ()りてぇえええ」


 夕日の光が深い林の中に差し込んできて。


()たあぁああ 静苔のぉぉおお 上ぇをおぉぉおお 照らすぅう」


 青苔の上を照らしている。



 曲が終わるのを待ってから、俺は深くお辞儀をして。


「僭越ながら、私の心臓がもう限界なので、これにて失礼いたします」


 もう無理だぁああぁああ。


「よっ 詩吟先輩。よくわかんなかったけど、格好よかったですよ!」


 お客さんから暖かな拍手を頂きました。


「アンコール アンコール アンコール」


「美玖ちゃんやめて」


 扇子で顔を煽ぎながら、逃げるように舞台を降りる。


 村瀬が俺の肩を叩き。


「なんか凄かったぞ、良く分かんなかったけど」


 本格的にやってる人のを聞いた方が、数倍すごいって感じるよ、良く分かんないと思うけど。


「浦部くんお疲れさまー」


「ちょっと太志くん、忘れちゃだめでしょ」


「すまんです」


「里中くん、助かった」


「良く分かんなかったけど、格好良かったぞ」


「解説つくっといて正解だったね」


 咲さんに強く同意する。名字なんだっけ、里中の彼女さん。


 たった一週間だったけど、けっこう本気で練習したから、それなりに受けてよかった。


 夕方にまた吟じないといけない。


「浦部さーん」


 美玖ちゃんがお友達とこちらにやって来る。


「練習の時よりも良かったと思います、すっごく素敵でした」


「うらべさん明日は着物なんですか?」


 愛美ちゃんだったか。


「いえ、自分は制服っすね」


「ぜったい和服のほうが良いとおもうんだけどなぁ、ねっ美玖」


「私だって何度も言ってるんだけど、浦部さん嫌がるんです」


 だって面倒臭いんだもん。美玖ちゃんの振袖を見たいと言ったんだけど、成人式まで待ってくださいと言われました。


 里中くんが話に加わってくる。


「うちの制服より、学ランの方が雰囲気でるんじゃないか」


「おお、確かにぃ。浦部くんの家にまだあるかな?」


 どうだろう。


「浦部さんの学ラン見たいです」


「まあ探してはおきますけど、あんま期待しないでくださいね」


「夕方や明日は別の演目だったりするんでしょうか?」


 新聞部の彼女は名前なんだったか。


「短めのやつを幾つかね。2日目は演奏もしてくれるそうですよ」


 学園祭だから自分たちは吟じないと決めたらしいけど、楽器は持って来てくれるんだと。


「そうなんですね。じゃあ明日も観に来ます……聴きに来るの方が正しいか」


 少しして後輩たちは大正ロマン喫茶をあとにする。


「じゃあ浦部さん、私たちそろそろ行きますね」


「詩吟先輩またねぇ」


「では」


 千明ちゃんだったか。新聞部の子も丁寧にお辞儀をしてくれたので、こちらもありがとうと返しておく。


「浦部お前、神槙シスターだけでなく、宮内の妹ともあんなに」


 村瀬がヘッドロックをしてきたので、脇の隙間から手を通し、捻りを加えて固定を解く。


「……すげえな、なんかやってんのか」


「運動してる」


 あっさりと抜け出したので驚かれたようだ。前世の技術とは言えない。


「そうか、美玖ちゃんは練習にも付き添ってたんだな」


 里中君よ。


「えっ えっ まじで」


 彼女さんがはしゃぎ始めたので、俺はその場から撤退する。


 太志は少し離れた場所でこちらを見守っており、委員長が心配そうに見つめていた。


「お前あんま気にすんな、謝りゃ隆明もケロッと元通りだろ」


「あいつのベイゴマ愛は深けえ」


 高校卒業したら、3人で買いに行こうと約束していた。


「昼はどうすんだ?」


「今日は1人で食う予定だ。明日は隆明に謝罪して、できりゃ体験会にも参加してえと思う」


 本気になるからこそハマっているわけだ。


・・

・・


 昼飯を終えた連中たちと持ち場を交代して、俺は太志を残して校舎内に躍り出る。


「隆明の昼飯も買っといてやるか」


 ベイゴマ体験の準備は任せたとメッセージを送る。



 校庭に行き出店を見て回っていたら。


「浦部くん、買ってってよ」


「おお加藤君じゃないか」


 高1時のクラスメートだ。趣味が釣りの彼だね。


「詩吟もう終わったの?」


「ああ、めっちゃ緊張した」


 今日は和服じゃないんだっけと聞かれたので、2日目からだと伝えれば。


「じゃあ明日は浦部くんの詩吟に合わせて行かせてもらうかな。予定通りならちょうど開くし」


「なら俺も焼きそばを二つ頼もう。マジで素人だから、あんま期待しないでね」


 お金を払えば毎度ありとの言葉をもらい、透明な容器に入った焼きそばを受けとる。

 祭りの焼きそば好きなんよね。


 道中。

 たこ焼きを売っている村瀬が目に留まった。


「部活でも出し物あるやつは大変だ」


 食いながら焼いてるよ。けっこう手慣れた様子ですな。


 野球部はたこ焼きか。宮内や里中の姿はない。


・・

・・


 中庭では1人ギターをつま弾いてる奴や、ミニカーのコースを用意している連中もいた。


 あとは筋トレ器具とか出して、トレーニングしてるマッチョが数名。


 パンフレットにはこれらも記載されており、同好の士は持参してくるんだけど。


 そうきたか。


「……隆明」


「ああ、浦部ですか」


 俺たちが用意した床では、ベイ〇レードの対戦が行われていたのであった。バケツに市販のシートを乗っけたのだね。


「これはこれで良いな、俺たち既存のフィールドでしか遊んでなかったけど」


「なあ次使わせてくれよ」


 自分のバトルフィールドを持ってきた生徒もいるようだ。


「まあ小中高生もやりますからね、ベ〇ブレード。僕の頭が固かっただけかも知れません」


「……隆明、飯食おうぜ」


 ちょうど近場のベンチがあいていたので、そこに腰を下ろす。放っておいても、彼らは自分たちで楽しむだろう。


 2人で焼きそばをすする。


「太志、女の子と回っておりました」


「……」


 芝崎、助けてくれ。


「ただ一人、取り残されし、秋寂びに」


 俳句読み始めちゃったよ。


「浦部も本当は宮内くんや、神槙シスターズと過ごしたかったんじゃないですか。もしそうなら、申し訳ないことをしましたな」


「馬鹿なことを言うんじゃないよ。俺だってな、ベイゴマの体験コーナー楽しみにしてたんだぞ」


 そうですねともう一度謝られた。


・・

・・


 その後、1時間ほど二人で校内を見て回る。美玖ちゃんや宮内のクラスは避けました。


「浦部、付き合ってくれてありがとう」


「もとからその予定だったろ」


 隆明は微笑むと、哀愁を漂わせながらクラスへと戻っていった。



 俺はまだ余裕がある。


「まってろ、隆明」


 更衣室でベルトを装着して、ノートとペンを持つ。



 兄が使用したあの幻。

 勇者一行の俺は、あれの繊細を知ってる様子だったか。


 剣客。落ち武者。

 僅かに残った記憶が、隆明との繋がりを訴えていた。


「数値は0」


 いったん手鏡から映世へと移り、廊下で〖黒い滑車〗を出現させる。


 咎人のメイス使用時に、傭兵司祭の意識が混ざるのであれば。


「情報を求む」


 〖滑車を破壊〗して〖黒の原罪〗を召喚。


 廊下に膝をつけ、ノートにペンを走らせる。


「邪魔な感情を削ぎ落した、純粋な殺気」


 その後〖壁〗を出現させるが、やはり地面が土やアスファルトでないと、一段階強度が落ちるようだ。


「もっとだ、もっとくれ」


 勇者の村。勇者の旅。

 戦場へ赴く前に、各国の勇者一行は功績を求められる。


 魔獣の討伐、遺跡の調査。


「魔人の……駆除」


 吐き気がやばい。


 王都での出陣式とパレード。

 魔人を保護する組織と俺たちは繋がっており、警備の薄くなるその隙をついて、病の子供を救出する予定だった。

 おじさんなる人物は勇者一行に娘を殺された過去を持つ。だから組織を裏切って俺を襲撃したのか。


「違うそこじゃない、知りたいのはあの兵士だ」


 岩の壁が崩れて砂になる。


 功績。


「ヒノキ山。刻亀討伐作戦……まじか」


 時を刻む亀は、今の雫さんと同じ。


 氷の牢獄。


 どんどんと記憶が零れ落ちていく。

 頭がめっちゃ痛い。

 目がチカチカする。


 なんとか倒したけど、死際の雪が周囲の魔物を一層に狂暴化させた。

 麓の拠点に撤退しようにも。


「……おえっ」


 嘔吐しちまったよ、ノートが汚れちゃった。


『非常に危険な行為です。近く調整して行えないようにしますが、今後は罰則と共に禁止といたします』


 マジか。


 俺は体調が悪化して、いったん現世へと戻ることになった。


 ちょっと休もう。

 でも成果はあった。


「ビー玉を交換した方が良いな」


 研ぎ澄まされた殺気を受けると、一気に精神を消耗させられるから、咎人のメイスは使わない方向で行くべきだ。


『隆明の影が出現している可能性が高いです。30分後に戦闘開始予定なため、参戦可能な方はよろしくお願いします』


 殺気の繊細については記入しておくが、前世関係は止めとこう。


 4時には詩吟があるから、教室に戻らんといけない。

 何人集まるか。今更衣室に居ることも加えておく。


 未だに残る口内の苦みを無視して、俺はビー玉の交換作業を開始した。

 

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