5話 上級・荒木場初挑戦
日曜日はあえて活動は休みにして翌日に備える。神崎さん辺りはソロ活してたかもだけどね。
ケンちゃんに試合頑張れと伝えておきました。
体育際の振休である月曜日。俺は荒木場に向けて電車に乗る。
一度の乗り換えもあったが、東京に比べれば可愛いもんだ。
距離が遠いのは俺の地元で、現地集合ってことになっていた。
最寄り駅まで1時間45分と、通うとなればかなり厳しいね。野球とサッカー部なんかは通学禁止かも知れんけど。
電車が停止してから席を立ち、ホームへと降りる。
「最高の環境だな」
うちの高校より標高のある町だそうで、気温もちょっと低いんだよね荒木場周辺ってさ。なんとなく空気も澄んでる気がするけど、田舎の度合いなら俺んちの方が上なので気のせいですはい。
「あれ、浦部この電車乗ってたん?」
「巻島さんこんちわっす。乗った時はホームにいなかったと思うっすけど」
2両編成の電車でした。
「あぁ あたしギリギリだったからね」
巻島さんとホームを歩く。なんと無人駅です、俺の地元もそうですけど。
運転手さんに切符を渡してから駅前にでる。
今日は活動日とあって、彼女の服装も運動着ですな。
「喫茶店って何処っすかね?」
「あれじゃない」
メッセージに店の写真と位置情報が貼られていたが、確認する前に発見できた。
店内へのドアを開けると、チリンチリンと心地よい音が響く。
「いらっしゃい」
すでに3人は到着しているとのこと。
神崎さんが立ち上がって手を振っていたのを確認。
「あっ あの3人と一緒で」
俺の代わりに巻島さんが伝えてくれた。
さっそく席に着く。
「どもっす」
「おはようさん」
時刻はもうすぐ10時半。
「あー お腹すいた。ごめんね、先食べててもよかったのにさ」
「せっかくなら、皆で食べたいじゃん」
「運動するし、ごはん食べませんとね」
けっこう朝食抜きって人いるけど、朝練とかある場合はキツイよな。
「ちょっと早いけど昼飯も兼ねて、夕方までは活動したいからな」
「それならちゃんと食った方が良いか」
握り飯を一つ頂戴してから家でたんだけど。
店員さんが水を運んで来てくれたので、メニューもついでに注文する。
サラダと飲料のセットで頼む。
・・
・・
浅草も上級だったけど。
「数で押してきた雷門と違って、高校ってことなら質かも知れんってのが姉の意見すね」
「浦部が1年のときは、たしか建築現場で活動したんだっけ?」
もと現場監督だった配信者が広めたことで、かなり辛い環境だってのが世間に広まった。
田舎と都会じゃ違うかもだけど、俺らが挑戦したのはけっこう大きい建物の建築現場だったらしい。地方都市のね。
「そこはすでに完成してまして、難易度もマイナスではなくなってるみたいですね」
荒木場も候補にあがってたけど、アクセスはそっちの方が良かったので、去年は選ばれなかった。
あと苦手な奴がいるってこんで、俺が嫌がった可能性もあるか。
建築現場だけど、難易度は日によってバラつきもあったんだと。急なトラブルとかで変化してたのかも。
サンドウィッチを手に持ちながら、神崎さんは喫茶店の外に意識を向け。
「ちょっと考えてたんだけど、寮どうしよっかぁ」
宮内くんは小倉トーストですな。美玖ちゃんはホットドック。
「普段から住宅とかは入らないようにしてるからな。でも一番数値が高いのは寮だぞ」
「部活寮にも駐車場ってありますよね、そこに敵が出たりしませんか?」
一般寮のと比べるとひび割れてたりと状態は良くないけど、車を止める場所はあるって宮内言ってたか。
巻島さんはベーコンエッグと焼いたトースト。
「とりあえず今日は校舎で良いっしょ」
「そうっすね。生徒が授業してるってものあるんで、数値だけ確認してから移りましょう」
俺はフレンチトーストをナイフで切る。
・・
・・
軽く食休みをしてから喫茶店を後にした。値段は多少お高めでしたが、そこら辺は活動費なので問題ない。
緩やかな上り下りの坂道を進んで20分ほど、例のス―パ―を横切った先に、たぶん無人と思われる神社があった。けっこう広い庭にベンチや自販機と、放課後はカップルが集いそうな環境だな。
「この神社が高校に面してるから、意外とそっちの数値は低くなってるかも知れん」
「体育してるみたいだねぇ」
神社の周囲は木々に覆われており、金網の向こう側が高校の敷地って感じか。
「面してるのはテニスコートで、その先が校庭だな」
「ここの数値は40前後。スーパーが15くらいなんで、効果範囲は半径100mってとこか」
「0以上で緊急脱出しちゃうと、テニスコートにでちゃうかもだねぇ」
「不法侵入になるんで、それは避けませんと」
「もう鉈は持ち歩いてないけど、警察のお世話にはなりたくないわ」
宮内の鞘と同じく、安物の短剣を購入したらしい。数日前に美玖ちゃんがそれを借りて、無断を使えないか試したんだけどダメでしたな。
俺は手鏡を持ちながら。
「ちょっと金網近くまで行ってみますんで、待っててください」
「俺も付き合うよ」
木々の中は多少足場も悪い。荒木場のカップル諸君、人目に付きにくいからって、変なことしてねえだろうな。
テニスコートの先で体育の授業をしているため、俺らは幹に身を隠しながら。
「マイナス3か」
「上級だから、神社の効果も反映され難くなってるのかも知れんな」
荒木場で一番数値が低いのはテニスコート周辺。
しばらく待って数値の変動を確認するが、プラスになる事はなく。
3人のもとへもどり、そのことを説明する。
「ちょうど体育してますし、一戦目は校庭にしてみますか」
神崎さんは目を輝かせ。
「うんうん、そうしよぉ」
「上級は2度目だけど、やっぱ緊張すんや」
「ですねえ」
宮内の方を見て。
「そのくらいがちょうど良いっすよ。ストレスがあるからこそ、緊張感や集中力が発揮される」
「だな。この時間でスーパーは色々と怪しまれるから、そこの自販機で飲料を買ってからにしよう」
俺たちは500のペットボトルを購入後、映世に移ってからスーパーに向かう。
・・
・・
店員も含め誰もいない店内に進入。
美玖ちゃんは陳列された商品を眺めながら。
「試したことないけど、食べると吐くんでしたっけ?」
「うん。すっごく気持ち悪くなっちゃうの」
「ちょっとサトちゃん、あんたもしかして」
えへへと苦笑いを浮かべる神崎さん。食ったんすね。
店内に入ってすぐ横に休憩スペースとトイレがあった。飲食オッケイで机と椅子が幾つか設置されており、テレビも壁に掛けられている。
無料のお茶や水を飲める機械と、紙コップに台拭きも確認。
手洗い所の鏡は。
「曇ってるな」
女性陣がトイレに入って確認するとのことで、俺と宮内も男子便所へ向かう。
「こっちダメだ、割れてるぅ」
「俺らの方もだな、外のやつに曇り消しを使いましょう」
洗面所に道具を使い、鏡に触れるとメッセージが浮かびでる。
『連戦モードと探索モードを選べます』
校庭・各寮前の駐車スペース・練習場などで敵と連戦し、最後にボスが出現。
学校の敷地内に宝箱が設置される。
「寮前の駐車場で連戦できるのは助かりますね」
「まあアタシだって映世だとしても、部屋入られんのは嫌だもん」
「なんかすんません」
公園にいなければ、彼女の自宅に進入するつもりだった。
「あぁ、そこは良い良い。迷い人だったしさ」
何時の間にか呼び出されていた妖精が、どんまいと俺の肩を叩いていた。
「今日は探索にしときますか、宝箱ってのがちょっと気になります」
「雷門でのボス戦を思いだすと、確かに今日はそっちの方が無難かもな」
神崎さんはちょっと不満そうだけど。
「宝箱かぁ」
気になる事は気になる様子。
鏡を操作すると、登録も可能だった。
美玖ちゃんが俺の肩から顔を覗かせ、鏡のメッセージを眺める。
「よかった。数値は17だけど、上級で負けた時はここに飛ばしてくれるみたい」
ちょっと息がかかってムフフとなってしまった。おい妖精、ジト目で俺を見るんじゃないよ。
皆が登録を完了させると、店内での戦闘は避けたいので急いで外にでる。
神社を曲がった先、ちょっと進むと正門に到着した。
道路を挟んだ逆側にもグラウンドがあり、体育館をそちらに確認する。
歩道橋みたいなのを通って、校舎側からも移れるようだ。
「……デカいな」
「うちより生徒多いんだっけ?」
「1学年6から7クラスらしいぞ」
都会にはもっと凄いマンモス校もあるんだろうけど、この県じゃかなり多い生徒数だわ。
手鏡を取り出し。
「数値はマイナス14」
「とりあえず許容範囲内だ」
さっそく正門からお邪魔させてもらう。閉まっていたので、俺らは乗り越えたんだけどね。
うちの高校は校舎と校庭に高低差があるんだけど、ここは柵や木で遮られているので、そのまま横に反れ校庭に進入した。
「体育中だけど、どうかなぁ」
「数日後にはちょっと涼しくなるそうだけど、まだまだ暑いからヘバってる子もいるんちゃう?」
ここらは俺らの地元より涼しいが、世界的にみても厳しいと言われる日本の夏だ。
白い線の引かれた校庭を進んでいくと、生徒の影を3体確認する。
「少ないな」
神崎さんは大剣を構え。
「ロボット軍団のときと違って、バラバラじゃないね」
もちろん変化は一回。
けっこう大きい狼。四足歩行だけど見上げる位置に頭がある。
冒険者っぽい盾と剣持ち。
法衣をまとった聖職者で得物は杖。
「なるほど、こんな感じになるのか」
狼はそのまま。
冒険者は盾が青白く光り、身体に赤いオーラをまとう。
聖職者も杖が銀色に光り、足もとの地面が黄色に輝く。
「なんとなくだけど、パッシブって感じがすんね」
「上級マップ特有の強化かも知れん」
聖職者が杖を掲げると、頭上に魔法陣のようなものが描かれ、そこから【翼を生やした鎧兜】が出現した。
「召喚かっ!」
兜の中身が空洞なので、さまよう鎧の翼持ちって感じだろうか。得物は片手持ちの槍と盾。
「負けてらんないね。とり兵衛さんとベルっちで対応していい?」
「それで頼んます」
最近は俺が参加してないときなど、巻島さんが指示をしている。
「盾持ちに対応します、全体を任せても良いっすか巻島さん」
持ち場的に彼女がそれをできるなら、俺も前に出て戦いやすい。
巻島さんが空気を飲んだのが伝わる。
「わかった。じゃあ宮内は狼を引きつけてサトちゃんもそっち、美玖ちゃんは聖職者ね」
宮内に〖青大将〗を憑依させ、クロちゃんは使わない。
「了解」
全員に〖守護盾〗を発動。
「黄色の鎖は美玖ちゃんに、赤と青を宮内、白はサトちゃん。私はいらん」
「へい」
3体の中で一番強そうなのは狼。聖職者は速度が強化されてるっぽい。
〖赤鳥〗と槍持ちの【翼鎧】が空中で交差すれば、少し離れた位置で妖精が見守る。
「来るぞっ!」
盾持ちが【盾】を掲げると、その表面より【白い輝き】を発した。
特にこれといった変化はない。
美玖ちゃんが叫ぶ。
「冒険者が気になって仕方ありません、神々しすぎて!」
白はHPMPに心。憎悪ではないけれど、意識を操作する系の技かも知れん。俺には効果がないから確率か。
狼が美玖ちゃんに向けて一足で接近し、爪を振りかぶる。
「〖鱗粉の風!〗」
状態異常治癒。
先に仕掛けられちまったか。
〖中型の盾状障壁〗で何とか防ぐも突破され、〖白銀鞘〗で受け止める。
《鞘の装備性能強化(大)》
「美玖ちゃんはそのまま狼の相手して、浦部は彼女の援護。憎悪で引き付けて!」
位置的に俺の方が美玖ちゃんに近いしな。
〖鎖〗を射出するが狼は察知して、横に飛び退く。
「ケンちゃん、勉強になったぜ」
着地した瞬間を狙って〖黒鎖〗を放つ。狼は顔だけをこちらに向け、鋭い牙を歯茎ごと剥き出しにする。
「宮内は盾持ちに触手!」
「任された」
「じゃあ私は聖職者っ!」
俺は美玖ちゃんと狼戦に集中する。
振り向きざまの爪を〖小盾〗で防ぐと、その重量が増加していた。
「爪が茶色に光った、こっち側の重量操作だ!」
〖法衣鎧〗を土耐性に変化させたことで、少しだけ元の重さにもどる。
狼は【爪】を振り切ったのち、手首を返して再度攻撃仕掛けてきたが、後ろにさがって回避するも僅かに命中してHP減少。
美玖ちゃんが背後から槍で払うが、地面についていた片方の前脚だけをそのままに、後ろ脚を浮かせて押し出すように蹴る。
〖中型の盾状障壁〗で防ぐが、〖鞘〗が押し込まれ彼女に迫る。
「私の鞘を【軽く】された」
一歩さがりながら石突側の〖無断〗で凌ぐ。
その隙に俺は〖赤の鎖〗を命中させ、並みの熱感に成功。
続けてメイスで顔面を狙らったけど、狼は熱に怯むことなく、首を捻って牙で噛み止める。炎上のビー玉はつけてないので、HPダメは期待できず。
「装備変更」
メイスがベルトのホルダーに戻り、盾も腰裏へと移る。
左手に握られた脇差で〖黒刃〗からの〖無断〗を発動させ、狼の前脚を叩き斬る。
「打撃との相性は悪いか」
無断は打撃。
一点突破は突き。
黒刃は斬撃。
回復妨害の効果は乗ったが黒い靄は薄い。
狼は俺へと体当たりを仕掛けてきた。
右手に出現させた〖メイス〗をギリギリ間に挟むが、勢いよく吹き飛ばされる。
「くそっ!」
そのまま俺に飛び乗ろうとしてきた。
重力場はダメだ、逆に俺が圧し潰されるし、地面に叩きつける威力もこの体勢じゃ低い。
〖青の滑車〗を俺の近くに出現させ、自分へと放つ。
「アドルフさん!」
〖原罪〗が俺を飛び越えながら、勢いのまま狼の【爪】を受け止める。
狼が追撃で〖青の原罪〗に牙を向ける。
私は急いで身体を起こしながら、〖白の鎖〗を自分に放つ。
「赤は切れている」
現在、狼には〖赤の鎖〗を使ってるのだから、咎人のメイスでなく。
「〖巻き取り〗」
こっちで凌ぐべきだったか。
大型の敵。村瀬はバーニアで宙に浮いてたってのもあるけど、少ししか姿勢を崩せなかった。
「美玖ちゃん、原罪がそっち行くぞ!」
「はいっ!」
〖黄色の滑車〗を俺の前方に出現させ、こちらに射出する。
「駆け抜けてください、ハイデっ」
偵察兼、遊撃隊長。
「槙島さん、精神系が足りません!」
もし例えるなら。
保護は心の防御力。
安定は心の回復。
戦意高揚は心の痛み緩和。
《精神保護》《精神安定強化》だけでは気持ち厳しい。
「ベルっち、浦部の肩に乗って!」
馬に騎乗した細身の戦士が出現し、狼の横を〖電撃を帯びた槍〗で攻撃しながら駆け抜ける。
その先で美玖ちゃんと激突するが、実体がないので何事もなく通過した。
〖黄の原罪〗に触れた自分と味方は素早さ関係強化。
「そのまま味方を通り抜けながら、各敵を攻撃してください!」
肩に妖精が着地し、首を捻りながら私の顔を覗きこむ。
「感謝します、ベルさん。これで〖原罪〗の召喚を続けられそうです」
なんか凄い目で見られたんですけど。
美玖さんは槍をその場に置き、〖鞘〗から〖真・雷光剣〗を抜く。
《素早さに比例して身体強化》
姿が消えると閃光が走り、狼に銀色の輝きを発生させた。
停止すれば振り向きざまに〖剣〗が轟音を打ち鳴らし、〖雷撃〗が命中して感電を付属。HP0。
〖青の原罪〗も近寄って攻撃をするが、今回は凍結に失敗したようだ。物質化している〖青の剣〗は斬撃と共に狼を濡らす。
美玖ちゃんの姿が再び消え、固い剛毛ごと筋肉を〖稲妻〗が斬り裂く。
「サトちゃん、闘仙鬼を召喚させて!」
炎鳥が消えても妖精が距離をとって対応していたが、今はこの通り俺の肩に移動してしまった。
上空より【翼の生えた鎧】が神崎さんに槍を投擲する。
なんとか〖黒豹〗が爪で弾くけれど、急降下して盾での打撃を狙ってきた。
神崎さんを〖黄の原罪〗が通り抜け、そのまま聖職者に攻撃を仕掛ける。
速度が強化されたこともあり、ギリギリで盾による殴打の回避に成功。
召喚された〖闘仙鬼〗の一撃が、【鎧】を陥没させて吹き飛ばす。
狼はもう虫の息で、〖青の原罪〗と美玖ちゃんが対応中。
宮内青年はもう左腕の肘まで〖戦槌〗の影が進んでいる。
「……」
眼球が赤く光っているが、その表情は伺えず。
〖黄の原罪〗が背後から盾持ちを攻撃した隙に、戦槌を腰ベルトにもどし〖剣〗の柄を握る。
〖触手〗が〖短剣〗を掴んだまま回り込んで斬りかかるが、相手は【盾】を動かして何とか凌ぐ。
次の瞬間。
〖鞘〗から解き放たれた〖雷撃〗が敵に放たれると、それに【盾】が間に合わず直撃。
〖雷光剣〗をつかったことで、彼の全身を覆っていた影が散った。
「そういや夕焼けに染まるって、使用後に現世へ戻されるんだっけな」
校庭に強制帰還したら困るよね。
「ハイデはそのまま宮内さんの援護をお願いします」
鞘からの解放後は《身体強化》されることもあり、青年の戦いも決着がつきそうですね。
〖緑の旗持ち〗が俺の傍らにつく。
「どなたか存じませんが、このまま解除しますので、よろしくお願いします」
ある程度近くにいないと、彼は《疲労を引き受けて》くれない。
その間もベルさんが私の頭を叩いて、大丈夫か確かめていた。
「お止めください」
神崎さんの方を確認。
「やっと当たったぁ!」
聖職者はかなり素早くなっていたようで、大剣が命中せず苦戦していたようだ。
でも〖黄の原罪〗が通り抜けたことで、素早さも追いついた様子。
〖闘仙鬼〗の〖重力場〗は地面から鋭い岩が飛び出て、それが【翼鎧】の装甲を貫く。召喚した存在は属性物理強度なので、こういった属性攻撃も通用するらしい。
「だから痛てぇよ」
妖精は俺の側頭部を叩き続けていた。
「咎人のメイス使うと、前世の意識が混ざって変になるんだって」
そう説明しても、訝しげな視線を向けてくる。
6話に続きますが、戦闘描写はどうするか悩み中です




