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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホラー・ホラー風味

真面目は嫌い

作者: まい

この作品?は夏のホラー2024

に似せた実在しない架空のナニカである、

夏のほらぁ2024投稿用です。

「夕方も過ぎて暗くなってきた周囲には……誰もいないのか。 なら周辺への配慮は不要だな」


 この辺り一帯の崖には、シリアスブレイカーと呼ばれる怪人が住んでいるらしい。



〜〜〜〜〜〜



 シリアスブレイカーとは、物語に登場するキャラクターの役割を()す言葉である。


 このシリアスブレイカーは主に空気を読まないキャラクターとして設定される事が多く、緊迫した場面や愁嘆場(しゅうたんば)や陰うつとした雰囲気や友達以上恋人未満の2人が(かも)()れったい空気など、読者が思わず真面目な顔になってしまうシリアスな場面と呼ばれる全体の雰囲気をコメディーな空気に変えてしまうキャラクターを指す。



〜〜〜〜〜〜



 どうもこの怪人は生前、シリアスな空気が心底嫌いなエンターテイナー気質の人間だったようで、生きている内は常に周りを笑顔にするべく芸を磨いていたそう。


 そして命が尽きてしまってからも、この崖という場に地縛霊(じばくれい)として住み()き、シリアスな空気をまとって訪れる者のシリアスを壊し続けているんだとか。


「この噂が本当なら、崖の近くで不機嫌な顔をして溜め息を()いていたら、怪人が現れてくれるかも知れない」


 俺はいわゆるオカルト系動画投稿者であり、視聴者に情報をもらったので確かめに来たのだ。


「定点カメラ……よし、胸ポケットに隠しカメラ……よし、ポケットにレコーダー……よし。 っと」


 定点カメラはどれが()れるか分からないので1台ではなく、複数用意。


 着ている服のポケットにも、運良く写せればと願掛けの隠しカメラ。


 カメラは駄目だけど音だけなら案外録れたりするパターンもあるので、レコーダーも忘れない。


 もちろん撮影を始める頃には暗くなるのを見越して、カメラに撮影用ライトを装着してある。


 持ってきている物がちゃんと動いているのを確認し…………とっとと、肝心のシリアスな空気を作るための不機嫌な表情。


「八の字眉に、への字口も……ヨシっと」


 忘れちゃいけない不機嫌そうな顔。


 シリアスな空気を作りたいってのに、ニコニコ顔じゃあシリアスにはならないから、スマホカメラの手鏡機能でチェック……完了!


「じゃあ、実際に怪人が出てくるかの実験を始めてみますか!」







「くっそ! どうして俺はあの時……っ!!」


 演技があまりにも芋じゃあ釣れないかもだから、実際に思い出を利用して不機嫌さを演出してみる。


 その思い出は、結構ガチなやつ。


 あの時にはすでに動画投稿者で、ネタの提供を受けたのは6度めだったか7度目だったか。


 視聴者からネタを提供してもらったのだ。


 あの時も今みたいにそのネタが本当か確かめに行った。


 当時はネタをもらった時の返信コメで◯日◯時にその場所へ行ってみますね! とか書いてしまっていたのだが、視聴者でネタ提供者の本人が来てしまっていた。


 そしてそのもらったネタを一緒に確かめてみましょう! なんて言ってきたネタ提供者に、本当に同行をお願いしてしまっていたのだ。


 それまでは、ネタなんて勘違いとか(ひど)い伝言ゲームで実際は何ともないモノとか笑えるほどにしょーもないモノとか。


 そんな気楽なネタばかりだったのだ。



 が、その時のは冗談抜きで本物のヤバいネタだった。


 俺はなんとか生き延びたが、ネタ提供をしてくれた視聴者は帰らぬ人となってしまった。


 もちろん警察に通報したのだが、俺は無断侵入で叱られ、視聴者の方は行方不明者として扱われて終わった。


 その当時の事を思い返すだけで口の中は苦くなり、後悔の念がドロドロと湧き出てくる。


 それ以降、ネタを現地で確かめる時は1人で行動している。


「ずっと頭でグルグルしてやがる」


 崖から数歩離れた所で立ち止まり、(うつむ)いて、拳を強く握って震わせる。


「あの時、屈託のない笑顔を向けてくれた人だったのに…………」


 あの人の事を思い出すだけで、自然と涙が出てくるのだが、それは頭を持ち上げ空を見上げる動きで涙が垂れないようにする。





「…………………」


 空を見上げてから、いくらかの時間が()った。


 今もグルグルする後悔は、恐らく今後一切、晴れることは無いだろう。



 その後悔を原動力とし、これからも動画投稿を続けていく。


 その気持を新たにし、深呼吸。





 不機嫌な顔を意識したまま、しばらく辺りを眺めたりして怪人を探し、それでも現れない怪人に業を煮やし立ち去ることを決めた瞬間に、定点カメラの1つに影が映り込んだ。


 その影はまだ幼い男の子の姿をしており、その影は動画投稿者の背後にそっと近付く。


 近付いてからおもむろにしゃがみ込み、両手を組み合わせ、射出した。


 映像で見たソレは神速だった。


 ついでにポケットに仕込んでいたレコーダーだけが「カンチョー!!」と叫んでいる男の子の声を拾っていた。


「!?!?!?!?!?っ!?!?」


 が、ソレを聞き取れていない動画投稿者は、直撃を受ける。


 尻……と言うか腸にすまじい質量が逆流してきて、その衝撃で思考力が吹き飛ばれ、ついでに絶叫も飛び出た。


「ア゛ッーーーーーー!!!」



✕ シリアスブレイカー


◯ 尻(ASS)ブレイカー

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