超・日常 6
連続更新6日目!
明日で1週間!
7月29日
曜日に関わらず毎年この日は家族全員が集まると決めている。
それはここ今回の私の夫である氷鉋桜花の命日だからだ。
子供達の仕事がどれだけ多忙であろうとこの日だけは家に集まり近況の報告等を済ませた後好きなように寛ぐ時間となる。
今この家に住んでいるのは私と預かっている陽太郎と葛葉にそれなりに大きい日本家屋を掃除する私が直々に選び出した家政婦。
それらの人を除いて1番最初に家に来たのはやはり私が今回の夫と番って最初に産んだ長男の義昭だった。
会社を譲った事で空いた時間を趣味に捧げまくりネットに動画投稿しまくっているが個人の時間が1番多いが故に早く家に来れた。
前日の朝には未だプラモデルを5箱積み上げている始末。
義昭……悪いが妾、じゃなかった私にはその玩具の楽しみが分からん。
「お母さん狸の爺さんから電話来てるけどどうする?」
「次この日に電話して来たら玉引きちぎるからと伝えておけ」
「分かった」
思わず口が悪くなるほど腐った交流を持つ狸野郎からの電話にイラッと来たが次男の声が聞こえた瞬間吹き飛んでしまった。
「母ちゃんピーマンの肉詰めないの?」
「おぉ晴貞か!すまんのぉ今ピーマンの肉詰めは無くてな夜作るから昼作るから待っておくれ」
「ぐっ!流石に今食べたいのは高望みだったか!」
昔から苦いものが好きだった次男は私の料理の幅の広さにとって当時は有難かったわ。
「兄さんは流石にピーマンの肉詰め位1人で作りなさいよ!!
そんな事より聞いてお母さん!私……お婆ちゃんになったの!!!」
「「何ぃい!!!!」」
長女である櫻子からの報告にキャラを忘れて驚いてしまった。
櫻子は今49歳、子供は21歳でまだ大学生だった筈の事を考えると在学中に子供を授かったという事になる。
「ゆ、憂太の相手は?!誰!?」
「落ち着いてお母さん、憂太の相手は26歳の会社員の女の子よ」
「憂太はまだ働いていない身分で相手方に養って貰っている状況なんでしょ??少々不味いわ。
お腹の子供が育てば働く事は容易ではなくなる、出来る仕事はあってもあまり稼げなかったりするがはたしてそこら辺はしっかり考えておるのかどうか不安ね。
住む場所を変えても良いならここで住まわせてやるがそうなると大学と会社の距離が遠くなる。しかも相手方は私達の家の事情をまだ知らない」
そう私達の家は好いた相手とどれだけ親密になろうと結婚して私と顔を合わせ事情を話すまでは家の秘密は一切教えてはいけないしきたりとなっている。
理由は簡単で私が原因。
不老不死なる存在は世間からすれば興味の対象でしかない。
確かに世の中には人とは違う存在が確かに実在すると認識されているが私ほど珍しいのはいないと断言出来る。
昔夫婦となり縁を繋いだ藤原、足利らの子孫達によって私という存在の秘匿を手伝って貰っている。
まぁ私を体を研究したいと追っていた者達は全員殺したし寿命でくたばったがの!
がはは!!!
「櫻子、憂太のお相手に伝えて、『お腹が大きくなって働くのが難しくなったら私の家に来なさい。新しい家族を歓迎するわ』って」
「分かったわ!」
「あと、憂太は来てないけど愛し合っているとは言え学生の身分で働いている女性を孕ませた事について2日ほど説教と罰とあるとも伝えて」
「うん!」
「櫻子叔母さん、お婆ちゃんこれお土産」
ぬっ……と私の後ろから顔を出したのは晴貞の娘である遥だった。
晴貞の結婚相手はバレーボール選手だった事もあり身長がとても高く家族全員が見上げる立場になるほどである。
そしてその2人の娘である遥は更に大きく身長が192cmとあると聞いている。
手渡されたお土産は私が愛してやまない水羊羹!!
分かっておる!土産は何を選ぶべきか良く分かっておる!!
義昭がお土産だと東京で買って来た馬鹿デカいプラモデルとは雲泥の差よ!
もちろん義昭のくれたプラモデルも嬉しいわ、2ヶ月掛かったけどしっかり組み立てたもの。
お土産としては劣悪極まりない義昭のプラモデルを思い出し少し疲れた気がする。
「あ、お母さんこれ」
義昭は箱を持って来た。
前回より一回り大きい箱
それすなわちプラモデルの箱である。
普通の1/144はあんなに小さいのに何故これがこんなに大きい……!
嬉しいが!……嬉しいが少し肩が疲れるの!!!
義昭なりの愛の証明だとは知っているだが!
幾らなんでも大きすぎる!!!!!
「ありがとう義昭楽しんで組み立てるわ」
「うん、それより口調変えたんだ」
「そうなの。陽太郎が友達の私の口調揶揄われたみたいでね?だからよ」
「なるほどね」
「そういう事だったんだ」
「そうなのよ遥まだ少し前の口調出て来ちゃうけどね?」
櫻子や遥、晴貞から「そういう事だったんだ」という目線が飛んで来た。
やっぱり気になってたのね
「じゃ、僕は皆が集まるまで寝てるよ」
「分かったわ」
「それじゃ……ほわぁ〜〜」
そう言い座布団を枕代わりにして部屋の隅で寝息を立て始めた。
「お婆ちゃんまさかそのプラモデル毎年組み立ててるの?」
「可愛い子供からのプレゼントよ?当たり前じゃない!!……だけどぉ、そのぉ……最近専用の部屋も手狭になって来ちゃったのよねぇ」
「「「あぁ」」」
納得と言った様子で3人は頷いた。
苦行に等しい作業で昔より忍耐強くなった氷鉋狐雪
義昭が子供の頃に一緒におもちゃ遊びに付き合ってあげたのが毎年来るようになったお土産の原点。
不老不死故衰える事はないし直ぐに治るが確実に肩と目を蝕んでいて少し辛い母である。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
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長男 氷鉋義昭 50歳
次男 氷鉋晴貞 49歳
↑子供 長女 氷鉋遥 26歳
長女 土屋櫻子 49歳
↑子供 長男 土屋憂太 21歳
↑結婚相手 ???? 26歳