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超・日常 4

連続更新4日目!

少しずつ積み重ね


妾達が住んでいる家は昔ながらの日本家屋であり街中より少し離れた場所に位置している。

今迎えに行く陽太郎の通う中学校は家から街の中心の向こう。

要はそこそこ離れているのだ。

単純な直線距離は6キロも離れている。

遠いから電車に乗れと中学に通い始めた頃は口酸っぱまく言っていたが「体を鍛えたい」との言葉に押し切られ自転車通学を許可していた。

しかし昨日定期的に整備して貰っている身内に自転車そのものの劣化が酷いから明日は電車で学校に行けと言われ今日は電車で通学している。


「ふふふ、滅多にない陽太郎との下校はさぞ楽しいだろうな」


早く会いたいという思いを押し留め陽太郎とのサブカル交流にて名付ける事となった魔力、呪力、妖力等と言った不可思議な力を身に纏い中学校の近くへと力を繋げる。


「それじゃあ行くかの」


妾の体は光の粒子となって消えた。




────────────────


「…………ふむ、やはりここな人が居らんくて助かる」


建物と建物の間、人の気配がない路地裏に転移の術にて現れた妾は辺りを見渡しながらそう呟いた。

今しがた使った術はある程度目的の場所を指定し、人気の無い場所、人目につかない場所と言った条件を決め発動させる事で自動的に転移するものだった。

身につくまでそれなりに難しいがコツを掴めば比較的簡単に出来る便利な術なのだ。

これを陽太郎に初めて体験させた時は大層喜んでおったのぉ……

思い出に浸るのも程々に陽太郎の通う八咫(やた)中学校へと足を進めた。


「前に陽太郎を迎えに来たのは確か8ヶ月前じゃったの。

 今思えば葛葉と陽太郎の言った通り体育祭ではしゃぎ過ぎたせいか迎えに行った時やたら話しかけられたの。

 あれは少し……面倒じゃったな。はしゃぎすぎた故ならばこれから抑えねばならんの」


ちなみに陽太郎と葛葉の両親は共に働いている事もあり普段の親代わりは妾となっている。

授業参観や三者面談も基本は妾が代わりに出ているが決して親子の中が悪いという訳ではなく寧ろ逆で結衣自身が途轍もなく甘やかしてしまうが為にワザと距離を離しているのだ。

自身も油断をすれば甘やかしすぎてしまうが為に妾にも注意を促す……良き母を出来ていて感激じゃ!!


「じゃが子供と会うのは週に1度だけというのはやや感心せん。

 毎日とまでは言わぬが週に3回は会って欲しいものじゃ、妾の立場はあくまで陽太郎母親ではなく祖母なのじゃからな」


小さな呟きは誰にも聞かれる事なく消え去った。


「お姉さんお姉さん」


ふと声をかけられる。

声のする方を見れば2人の男が佇んでいた。

咄嗟に普段の古風な話し方はではなくやや丁寧な話し方声色に切り替えて対応する。


「私に何か?どの様なご用件でしょうか?」


「いや〜ここら辺で見ない顔だと思ってさ!

 俺らこの後合コンするんだけど女の子の1人が急用で来れなくなったんだ!」


「だかやお姉さんみたい美人に来て貰えたら嬉しいなぁ……なんて」


「なるほど、そう言う事でしたか。

 しかし申し訳ありません私は子供の迎えに行かなければ行けないのです。なので合コン?には行けません」


「「こ、子供?!子持ち?!?」」


2人の男が驚いた様子で氷鉋狐雪の姿を確認した。

男達からすれば同じ大学生の位の見た目、仮に違ったとしても高校3年生位の若さだろうと思っていたが子供を持つ年齢だった事はそれなりに衝撃だったようだ。

しかし男達もそれなりに場数を踏んでいる人間、即座に高校生の頃に子供を産んで今幼稚園に預けている可能性を導き出した。

そして更に早くある答えに辿り着く。


子供の世話があるから結局合コン無理やん……と


「「あ、あーー…………お気を付けて?」」


「あら心配してくれるの?優しいのね?」


軽く微笑みかけてやるとやや顔を赤らめる。


「それじゃ中学校へ迎えに行くわ」


「「は?????」」


氷鉋狐雪にとっては何でもない言葉ながら男達にとって言い表せないほどの衝撃が2人を襲った。


「「子供もっ……中学が……え??」」


「貴方達あんまりオイタは駄目よ?」


それだけ伝えるとその場を後にした。


ゆっくりとした足取りは2分の時を刻んで目的の中学校へと辿り着いた。

既にある程度の数の生徒が校門から帰っているのが見える。


義経(よしつね)久しぶりですね」


「あぁ、おb……ゴホン。狐雪さん久しぶりです」


校門に立ち生徒への下校の挨拶をしていたのは長男の子供である八重(やえ)夕月(ゆうづき)がいた。

会社を興し軌道を乗せた後は末っ子の政臣に継がせた先人気質の長男の子供。

会社を政臣に継がせた後は株をしながら子供の面倒を見ていると言っていた。

そんな長男の子供である夕月は少し忙しないきらいがある。

現に今もお婆ちゃんも呼びそうになり咄嗟に妾の名前を呼んで誤魔化した。


「夕月、陽太郎はまだか?」


「陽太郎君?陽太郎君なら委員会の仕事があると言っていましたよ」


「そうかなら暫く私はここで夕月と話しながら時間でも潰そと思うわ」


「今日は月曜日で職員会議によって部活が無いので私もある程度生徒を見送ったら戻ります。

 それまででしたら大丈夫です」


「充分よ」


それから妾と夕月は普段陽太郎がどんな態度で授業を受けているかを聞いた。

家とは違いほんの少しだけ大人しいらしいがそれなりに元気に友達と遊んでいると聞けば妾の胸が少し熱くなる。



未だに街を歩けばナンパされる氷鉋狐雪

今年から陽太郎から中学校に夕月が赴任して来た事は聞いていた。

歳を重ね精悍な顔つきになった孫は可愛いと思う祖母である。




ここまで読んで下さりありがとうございます!

面白いと思った方はブクマ、評価をお願いします!!

長男 : 氷鉋?? 年齢 : 50

息子 : 氷鉋義経 年齢 : 30

義経の由来はどう考えてもあの義経。

昔可愛がっていたから付けたらしい。

その縁もあり家には国宝級の刀がそれなりにゴロゴロある。

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