表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/86

超・日常 3

連続更新3日目

取り敢えず10万文字までは行きたいので頑張る!


「〜〜♪」


鼻歌を歌いながら妾は最近ハマっているカップ麺が出来上がるのを待つ。

このような物が出来たのはここ数十年の出来事。

昔を考えればとてつもなく恵まれた世の中になったものだと感じる。


「平安の頃は庶民は寒さを凌ぐのも一苦労、それより前の時代は貴族でさえ苦労をしていな。

 この身は死にはしないと分かってはいても辛い事には変わらず問題解決の為に奔走したものじゃなぁ……そんな時に妾の容姿に惚れ込んだ貴族が口説き落とそうと必死になっていたのを思い出すのぉ」


そこそこ昔の思い出が蘇った。

高い地位にいるであろう男がお付きの者達に止められてもなお夫婦(めおと)になろうと迫る様はあまり経験がない事もあって思わず笑ってしまったものじゃ。


「結局夫婦になってそれなり幸せに暮らしたがやはり苦労は絶えなんだな」


苦い思い出と幸せが笑みとなって溢れる。


「食糧の質も昔より遥かに上がり庶民達は寒さを凌ぎ暖を取れる。

 火を使った料理も容易になったのは……幸せじゃ。楽しむ為に食を味わえる」


思い出を振り返りながらそろそろと出来上がりとなったカップ麺の蓋を取りチーズを入れて箸で混ぜる。


「異国の地で開発されたカレーも素晴らしいがそれを麺と合わせる発想は素晴らしいの一言だ、初めて食べた時はその刺激に思わず涙が浮かんだものよ。

 しかし慣れれば……んん〜〜この匂いが堪らん!更に陽太郎から教えてもらったチーズを入れる工程を挟めば更に美味しくなるらしいからな!楽しみだっ!!」


箸で混ぜるのを止め手元を見た。

とろ〜りとしたチーズが絡むカレー麺ッ!

食べる事が大好きな孫から教えてもらったこれはきっと!!妾の腹を満たしてくれるほど美味しいに違いないっ


「では、頂きます」


手を合わせると直ぐに箸で麺を掴み汁が服に跳ねない様注意を払いながら口の中へと放り込む。


「熱ッ!………ごくん!いや〜ー!!カレーの特有の辛さも感じながらチーズとカレーの若干の甘さを感じるのぉ!

 これを教えてくれた陽太郎には特別にお小遣いをやらねば─────いや、駄目じゃ簡単に甘やかしてはまた結衣(ゆい)に怒られてしまう!

 あの子は昔から真面目じゃったからなぁ……兄妹喧嘩のみならず度々夫婦喧嘩をしていたのを何度妾が諌めた事かっ」


陽太郎へご褒美を上げたい気持ちと甘やかし過ぎては行けないという自制心によるせめぎ合いが一口目を終えて発生してしまった。


「うーーむ2ヶ月後の体育祭で頑張ったご褒美とでも言ってお小遣いを上げれば結衣から文句は言われないか?

 …………駄目じゃ!葛葉が拗ねるッッ」


もう18になり来年には高校を卒業し大学生または社会人となる立場とは言え葛葉は妾から見ればまだまだ子供でしかない。

中学生の頃から大人に間違われるほど普段から落ち着いていて尚且つ多少の毒舌家であろうとその中身は甘えたがりの思春期。


「弟だけ甘やかすと後が怖い……ッ!」


思考が沼に嵌りそうになり始めた頃カレーの匂いが妾に届いた。


「お、おぉ!忘れておった。これを食べねばな」


それから10分ほど時間をかけて完食した。


「ふぅー食べたの」


口元に付いたカレーをティッシュで拭き取りながら思考を纏める。


陽太郎は妾にオススメのレシピを教えてくれた、それに対してご褒美としてお小遣いを上げようとしている。

しかし陽太郎だけに上げるのは少々不公平。

滅私奉公……の、精神とまでは行かねども何かをした対価には相応の褒美が必要。

更に妾は葛葉に嫌われたく、拗ねられたくない。

ならばどうするか、


昔から似たような事は産んだ子達の間で経験している。

特に育児の手伝いで長男に頼りにし過ぎたきらいもあって他の子達よりお小遣いが多かったからか長男と弟妹達との間に溝が出来かかった時……あれは大変だった。

苦い思い出が蘇るがそっと脇に退かす。


「ふふふ、伊達に長い時間生きてはいない!

 何度も子供を産み育てて来た経験を今!生かす時!!」


そう!!!


もういっそワザと何かに困って手伝って貰えばいい!!!

そうすれば孫達との交流も出来、ご褒美を上げる口実も出来て一石二鳥じゃな!


「ふっ、昔の子達と比べて中々に手強くなった今の子達じゃが妾の愛情に歯止めなど効かぬとしれ!!」


解決法も決まり気分が良くなった妾は食事の片付けを歯を磨くと外に出る準備をした。


「前に2人のお小遣いに100万ほどそれぞれに対して結衣がいる前で直接渡したら信じられんくらい怒られたからのぉ……今回は慎重にご褒美の額を決めねばしばらく口を聞いて貰えなくなるの……」


いつまで経っても育児はままならんとため息を吐く。


「もうそろそろ陽太郎も学校が終わる頃か。

 久しぶりに迎えに行くとするかの」


普段着として着れる動きやすい着物に着替えると妾は陽太郎を迎えに行った。




ジャンクフードにハマった氷鉋狐雪

時代が進み寒さに凍える事がなく、明日のご飯を探す事に困らない平和な時代に安堵を覚えている育児にいつまでも慣れ切れない母である





ここまで読んで下さりありがとうございます

面白いと思った方はブクマ、評価をお願いします!


娘 : 小雨結衣 年齢 : 42

義息子 : 小雨??? 年齢 : 36

孫1 : 小雨葛葉 年齢 : 18

孫2 : 小雨陽太郎 年齢 : 14



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ