超・夏休み9
連続更新19日目!
今日は少し短いです!
8月15日
地元で祭りが開催されていた。
昔から三日三晩続く伝統的な行事。
8月の第3金曜日から日曜日まで続く事もあり出店や屋外でのカラオケ大会など人が多く来て大層賑わっている。
「祭りの日なら普段着の着物も然程目立たぬから楽で良いな」
「婆ちゃんはもう少し洋服に興味持ってもいいと思うけどなぁ。スタイルは良いから絶対似合うって姉ちゃんも言ってたぜ?」
「葛葉の言葉なら安心じゃろうが……洋服は着物と違ってヒラヒラしてそうで落ち着かん」
「着物だってダボついてんじゃん」
「ダボつくのとヒラヒラするのは違うんじゃ……っと気を抜きすぎて口調が乱れていたのに気が付かなかったわ。
やっぱり陽太郎といると気が抜けて口調が乱れるわ。ほぼ罠ね」
「酷い言い掛かりを聞いた」
妾……じゃなくて私達が住んでいる家は天羽組のように街中ではなく街外れの山に近い場所にある。
このように口調が乱れていたのはそもそも聞かれる相手がいないからという理由もあった。
そこから勉強の進捗を聞いたりしながら私と人前に出る時の注意事項を話していく。
「よいか陽太郎。私と人前で出て行く時はお姉ちゃんと呼びなさい。
私の孫なだけあって見た目も多少似てるから従兄弟と偽って余裕で信じてもらえるからね?間違ってもお婆ちゃんなんて言っちゃ駄目よ?お婆ちゃんって言われるのは嬉しいけれど人に聞かれるのは少し面倒くさいですからね?」
「うえぇぇ……分かってるよ」
「もし口を滑らせてしまった場合は私がお婆ちゃんのように甘やかすから家ではお婆ちゃんという渾名を付けて呼んでいるからそのクセが出たと言いなさい!分かりましたか!」
「分かったよ"お姉ちゃん"」
「お小遣いを少々渡し切れてなかったようです。受け取りなさい」
普段聞き慣れない孫からのお姉ちゃん呼びに気が付けば財布から諭吉さんを数枚取り出して陽太郎の手に握らせていた。
恐ろしい!!
これがお姉ちゃん呼びの魔力!!
世の中の姉達はこの魔力に抗って生きているのいうのですか?!
氷鉋狐雪が内心で狂喜乱舞している間
孫の陽太郎はというと
恥を偲んでお姉ちゃん呼びを一度しただけで諭吉が数枚与えられた事に喜ぶと同時に金銭感覚が壊れる未来と【オレオレ詐欺】に氷鉋狐雪が引っかかりお金を取られる可能性の未来を心配した。
実際過去に一度黙れているからこそその心配もより大きくなる。
色々心配になる事はあるがこれだけ沢山お小遣いを貰い続けた先の未来は怖いので少しは貯金をしやうと心に決めた。
「あ、見えて来ましたよ。今年はいつもより少し店の数が増えているみたいですね」
「先に出かけた姉ちゃんはどこにいるんだろうか。買い食いでもしながら散歩でもしてるのかな?」
「ふふふ!葛葉の性格からして買い食いよりも沢山の物を買って落ち着ける場所で食べてるはずよ。
確かこの神社の境内に飲食出来るスペースが………………まぁ、その、何。あの空き箱に囲まれているのが葛葉なんでしょうけど。
あの子あんなに食べるのね。そう言えばお小遣い渡すばかりで外で飲食する機会少なかったわ」
「次いでに言っておくと姉ちゃんっておば……お姉ちゃんの前では少し猫被って食べる量少なくしてるからね。足りないのは夜お姉ちゃんが夜散歩に出て家にいない時に峰墓さんに頼んで作って貰ってたから気付かないのも無理はないよ」
「通りで毎日翌朝冷蔵庫開いた時食材が足りなかったり、前日最後に見た内容と違ってたのね。
それより初耳です。これは帰った時に峰墓を問い詰めなければならないわ」
「多分姉ちゃんが口止めしてるよ」
「あの子ったら…………別に隠さなくても食べたいだけ作ってあげるのに」
孫の葛葉の食欲が更に上な事を知った氷鉋狐雪
葛葉がまだ食欲の段階を2つ残している事を知らないオレオレ詐欺に引っかかった事のあるお婆ちゃんである。
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