超・夏休み4
初投稿13日目!
どれほど悪意に満ちた予感が田中から感じようとそれは必ずしも敗北に繋がるという訳では無い。
人の道から外れ超常の力を手に入れようと扱いが下手ならばさした脅威にはなり得ないのだ。
「何をしているんですか?!!格上とはいえ相手は1人です!個人に対する意識を拡散させれば必ず隙は出来ます!
能力を存分に使いなさい!!」
田中の体から冷気が溢れ出る。
「妾と同じ冷気を操り複数の氷人形を使役して部下達のサポートを欠かさない。
確かに口だけという訳ではなさそうじゃ。だがこの程度でやれるほど妾は弱くないぞ!!」
氷鉋狐雪の数いる孫の中の陽太郎は1番接する機会が多く趣味の混じった知識が多分に入って来る。
その中でも顕著なのが漫画やアニメの知識、狐雪自身では考えつかなかった氷の使い方や解釈なのだ。
その中でも使い易く威力もあり陽太郎から伝えられた海外の武器である銃に似た発射方法はかなり好んで叛逆するものに対して使用している。
大気から冷気が集まり氷となる。
次に氷の先端が尖り槍の如き砲弾へと変化する。
そしてその氷の砲弾は殺意の込められた回転を始めた。
そしてその氷の砲弾の尻を叩くのは田中が妖気と名付けたい力の爆発!
「氷墓砲!!!!」
ボン!!!!
爆発音と共に発射された砲弾は部下の1人の足元へと突き進み地面と衝突に抉り飛ばした。
「ばっ……け物かよ!!!」
「まだまだあるぞ?存分に踊れぇえ!」
しゃりしゃりしゃり
冷気が氷に変わる音がすると20ほど氷墓砲が出来上がった。
「避けなさいっ!!!!!」
「踊れぇ!!」
ボッ!
「ぐぁああああ?!!」
「ちっ!」
「私とて!」
「らぁぁああぁあ!」
「おらぁあ!」
1人の部下避け切れず足が吹き飛ばされ悲鳴が木霊するが気にしている余裕が田中達には無かった。
「まだまだある!妾に余興を見せてみよ!!」
先の倍の数の氷墓砲を作り田中達へ目掛けて発射して行く。
「…………おい天羽組らの」
「は、はい!何でしょうか?!」
「お前ら倒れていた部下の治療は済んだかの?」
「ならば良い。小娘この面倒が終わればお前の組に寄らせてもらうからの?正直予定外じゃが妾の予定が想定より良くなりそうじゃからな」
「何の……御用でしょうか?」
「今は言えん。そちらに寄った時に親と一緒に聞くが良い」
「分かりました……それより助太刀はいりますか?」
「いらん妾の戦い方に半端な助太刀は寧ろ足手纏いじゃ」
「なっ?!兄貴はなぁ─────!!」
「気を悪くするな。妾に比べれば等しく子供というだけじゃからな」
そう言い伝えると天羽組達に割いていた意識を田中達に戻す。
「中々耐えるの田中とやら!」
「大願成就の為ならば努力はするものでしょう!」
「相も変わらず耳障りの良い言葉を話す!反吐の出るような所業!嘘偽りない言葉!それに隣接する醜悪極まりない純粋な悪意と善意!
それに貴様!!………………妾の子孫の一族を1つ潰したな?!!!そうでもしなければその力は手に入らぬ!最近不埒者がいる形跡はあった!2年前妾の血を先祖返りで濃く受け継ぎ子が生まれたと聞いた!じゃがここ2週間前から連絡は取れていなかった!
暫く見ていなかった不埒者を処して連絡とつくであろうと思っていたのじゃがな!!」
怒声と同時に氷墓砲が100個ほど一瞬にして作り上げられ一斉掃射する。
面制圧として放った攻撃は殆どが避けられたが部下の何人かは足を挫き行動が大幅に制限される結果となった。
「妾が産んだ藤原家子孫の1つを滅ぼした罪……高くつくぞ!下郎!!!」
怒りと悲しみを妖気として叩き付ける。
暴風雨の如く吹き荒れた妖気は木々を軋ませ田中達にどうしようも無い畏怖を感じさせた。
「私だって簡単に諦めるほど出来た性格ではないんです!!!!」
その瞬間狐雪ほどでは無いにしろ田中の妖気と部下達の妖気が吹き荒れた。
あまりにも悪意が混じった妖気に当てられた天羽凛花は気を失い護衛達に抱き抱えられる。
ある意味起きた時には全てが終わっている天羽凛花は少したけ幸運だった。
「田中とやら根本的に忘れておるようじゃからここで言っておこう」
「ハァ…ハァ…!藪から棒に何です?真の力とかですか?出来れば勘弁して欲しいのですがっ!」
「私は会話の始まりにこの土地の支配権を奪ったのは誰か?と、聞いたな」
「……?それが何です?!!」
疲労と苛立ちから田中の語気が荒くなる。
「今この土地を支配しているのは?」
「そんなの貴女でしょ!貴女だからと言って何っ……が……ぁ」
「気が付いたか?」
「まっ……ずい!!貴方達逃げますよ!!!!」
「田中さんここまで来て─────」
「私が言うのも何ですが!土地の支配権を奪うという事はどういう事か忘れましたか!!?!」
「あ──────」
「分かったら逃げますよ!!」
「無駄じゃ」
空気が、空間が、重く、硬くなり
呼吸が出来なくなる。
「『銀世界』」
土地の支配権を持っている時のみ使える自己の押し付けとも言うべき技の発動。
狐雪の発動させたものは決められた瞬間から動けないように空気、空間、土地、人体の動きを止める神の権能の一部。
もちろん対象を指定して発動は可能な為天羽組達は被害を被っていない。
田中は僅かに動く口で必死に空気を求めるが酸素が一向に脳に供給されない。
駄目かと思った時無意識に死にそうになった時の保険を発動させた。
「っ?!?!もういいここで死ね!!!」
田中が何をしようとしていたのが見えた。
咄嗟に氷の様に止まっていた空気、空間、土地、人体全てを砕き轟音を辺り一帯に響かせる。
「チッ、逃したか。150年ぶりとはいえ勘が鈍るとは……死んだ子達に申し訳ないの」
狐雪の視線の先には滅茶苦茶になった地面と僅かに原型を残した田中という男の下半身と部下達の亡骸が残っていた。
「舞之守」
「ここに」
名前を呼べた1秒と立たず狐雪の従者の1人である女が現れた。
「調査班の者達にさ今回の責を問う」
「如何様にも」
「分かっているようじゃな?取り敢えずあそこ不埒者共の死体を回収、そして検査して内容を纏めろ。それと藤原家の子孫の1つの一族が滅んだという事は他の家の一族と対象になるかも知れんという事だ。
妾の名前を出し連携し、外敵に備えよと伝えよ。よいな?」
「狐雪様の命必ず遂げて見せます」
「既に妾の血が1つ消えたという事を忘れるなよ」
無言で頷くと舞之守は死体共に影に溶け込む様にして消えた。
「…………さて!話しながら帰ろうとするか天羽組の者達よ!!」
その場に似つかわしく無い元気な声で声を掛けた。
ぷりぷり怒っている氷鉋狐雪
自分が産み育てて来た子供は勿論の事ひ孫のの代までは絶対に忘れない戦闘好きバ……お婆様
ここまで読んで下さりありがとうございます!!
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田中義久
ぱっと見はインテリ系のサラリーマン
30代にして生え際が後退しているかも?と心配している