王女の異能試合
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それから、テントへと向かった私たちは兵士と会話をした。四人の兵士が軍服を着崩して水を飲んでいるところだったようだ。
「これはッ、アグリア王女、失礼いたしました」
そう答えて椅子から立ち上がった兵士たちは服を整えて敬礼をしようとしたが、それを止めて私も近くの椅子に座った。
「気にしないで、休憩中にお邪魔したのは私ですから」
汗臭いテント内で平然と座り話を始める姫の姿に驚いたのか、兵士たちは固まって動かない。そんな中、一人何も気にせず命令を出す人間がいた。もちろん、ヴィルヘイム王子だ。
「休憩が終わり次第、お前たちの中から今日まだ訓練試合をしていない二人がアグリア姫と異能試合をする。アグリア姫、金髪の男がラウル、黒髪の長い男がガイだ。この二人と試合をしてもらうが、一人ずつにするか、あるいは」
「二人同時で構いませんよ」
指名を受けた二人は、何を言われているのか頭の中で考え、その意味を理解した途端ポカンとした顔をあらためて早口で言葉を紡ぎ出した。
「あの、ヴィルヘイム指揮官、いくらなんでも王女と試合をするのは…!」とラウル。
「そうです、怪我を負わせる可能性もありますし」とガイ。
「構わないわ。何かあればそれは防御出来ない私の責任だもの。それに、私は竜とも戦っている。あなたたちに負けるとは思えないもの」
不敵な笑みを向ければ、兵士としてのプライドが傷ついたのか二人は真顔を取り戻した。
「いくら王女様相手でも、おれたちを馬鹿にするのはやめていただきたく」
向けられるのは、鋭い瞳だ。
「ガイ、といったわね。良い目をしている」
そして、ラウルの方を見る。
「あなたも良い顔つきね……さて、二十分が経過したわ、始めましょう」
私たちはそれ以上話す事なく、テントを出た。
無言が続くまま、先程ヴィルヘイム王子が戦っていたあの砂の地へと戻る。ヴィルヘイム王子とクレイグ王子、そして参加しない二人の兵士は少し離れた高台から異能試合を見守るようだ。
そして、ヴィルヘイム王子の大きな一声で開始された。
「異能試合開始!」
幕が開き、二人の兵士が大きな剣を盾にして走り出す。
「ガイ・アルセトラ、行きます!」
「ラウル・カーラ、加減は無しです!」
あくまでもこれは訓練ということで、気絶、あるいは怪我といった試合続行不能の状態になったら戦線から離脱、どちらかがゼロ人となれば試合終了ということらしい。
今回は異能で相手を消し炭にするわけにはいかない。ある意味では、より高度な集中が必要なのは攻撃を避ける相手ではなく異能を繰り広げるこちら側かもしれない。
「咲き誇れ、火炎」
前に突き出した両手から、竜との戦闘時よりも威力の低い、しかし人間がまともに食らえば致命傷になりかねない炎が数十個出る。ボッ、と音を上げて飛んでいく火の玉のようなそれを剣で防御したラウルはそのままこちらへと向かう。
次に私は大地から棘を繰り出して、二人へと向けた。足元も空中も棘が泳ぐため、二人は一度後ろへと引いてその剣で棘を断ち切ることにしたようだ。剣が大きく的確に振られるたび、グワンと時空が歪むような音が鳴り響いた。しかし相手が下がったからといって攻撃を緩める敵など戦場にはいない。私は先程よりも巨大な火の玉を数個出して彼らに向かって飛ばす。
ちなみにこの火の玉だが、出す事自体は難しくない。だが竜と戦う場合は長い間、閃光のような炎を出し続ける方が有効的だから使わないのだ。それに、火の玉というのは相手に届くまでに風などの影響を受けやすいから小さいほどコントロールが面倒になる。
火の玉が巨大過ぎて剣では防ぎきれず爆風が来ると判断した二人は大きく横に飛んで炎を免れる。そこにまた棘がやって来て、ついにラウルの足を掴んだ。が、ラウルは怖気付くことなく剣で棘を切り、脱出した。
「そうこなくては」
さすが、軍事国家だ。初めての異能相手でもここまで戦えるとは。もちろん私が相手が人間であることを考慮して加減しているのもあるけれど、そうでなくとも反射神経や判断の速さは抜群だろう。
「想像よりも楽しめそうで何よりだわ」
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