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結婚式の後04

ぜひ最後まで読んでください!


二人のような夫婦っていいですよね、微笑ましいというかなんというか。書いていて楽しいです。


 自室にてワイングラスを片手に結婚式の余韻に浸っているのは、オーランド帝国国王リアムだった。


「……幸せそうで何よりだな」


 どんな令嬢と会わせても、相手のマイナスな部分を見抜いてはそれを理由に結婚はしないと頑なに言っていた息子ヴィルヘイムが十九歳にしてついに結婚したのだ。


 王族として、三大貴族という利益のある相手との結婚。

 しかし、人生に一度の結婚だ。

 もちろん二度目三度目も不可能ではないが、できれば一度で幸せを掴むのがベストである。

 だからこそ、利益と幸福の両方を今のところ手に入れている息子の姿は国王としても父親としても嬉しく思っていた。


「………ふっ」


 ワイングラスの中身をゆらゆらと傾け揺らしながら、幸福を噛み締めて笑みをこぼした。


「ヴィルヘイムがいきなり結婚をすると言った時は驚きましたけれど、お相手のアグリア様、素敵な方でしたね。私たちが結婚した時のことを思い出しますわ」


 ソファに座ってそう言ったのは妻の王妃フレアである。彼女はワイングラスは持っていないが、式の際に少しだけ飲んでいるため頬がやや赤い。


 桃色の髪は今日という日にふさわしく、柔らかな巻き髪になっていた。エメラルドのその瞳は、リアムのアクアマリンの瞳と並ぶとよく映える。どちらも宝石のような輝きを持っていて、それでいて奥の深さやオーラの強さがあった。


「あの頃は、迷惑をかけたな」


 懐かしむように遠い目をしてリアムがそう返す。


 二人が結婚した頃は、まだリアムは国王ではなかった。

 リアムの兄であるウィリアムこそが次の王だと誰もが思っていて、リアムはウィリアムから未来(ウィル)をとった残り物だと馬鹿にされていた。


 そんな時に結婚したフレアは、もちろん同じように馬鹿にされることが多かった。

 その理由としては、フレアは上級貴族ではないのだ。第二王子には中級貴族で良いと誰もが言い、結果としてそうなった。リアムに運があったとすれば、それはフレアが頭が良く気の利く女性であったことだろう。下手に上級貴族のお高いだけの人と結婚するよりも良かったわけだ。


 フレアはメイドたちに馬鹿にされても気性を荒げたりせず、何も言わずに笑っていた。周囲の目にはそれが不気味に映ったのだが、フレアは分かっていたのだ。

 真面目で人間性が素晴らしい夫が、ただの第二王子で終わるはずがない、と。


「あの頃は、二人で頑張っているという感覚が強くて、それはそれで楽しい日々でしたよ」


 我慢強いフレアは、かつてを思い返しながらそう言った。


「君と結婚できて良かったと、心からそう思うよ」


「ふふ、私もですよ、リアム様」


 見つめあって笑い合う二人の姿を誰かが見たならば、きっとこう思うだろう。

 歳を取っても気高く誇り高くあり、それでいて互いを信頼し合うこの二人のような夫婦になりたいものだと。


「これから世は混乱に陥るだろう。両国での《異邦人》の出現は不安定であるし、竜害も増えつつある。二人の結婚がどの程度両国の架け橋になるかは分からないが、グレアム国王と私が王位を長男へと渡せば………」


 その言葉を、フレアが引き継いだ。


「アグリア様のことがなかったとしても、ヴィルヘイムとレオハルト王子が仲良く外交出来るとは思えませんね」


「ああ」


 妻の言葉に、リアムは短く賛同した。


 ──戦乱の世は、想像よりも近いかもしれない。


 問題は敵がアストレア王国なのか竜なのか。

 竜が増えるだけならば被害は出るが可愛いものだ。敵が人間ならば、異能を使うにせよ軍を動かすにせよ、人道的だとか死者の数だとかを考慮する必要が出てくる。


 ──その時まで、この老体が持てば良いが。


 戦争の勝敗に関わらず、息子に暴君だとか冷徹な王だとか、そんな歴史を背負わせたくはない。

 可能ならば、自分が戦争の時代まで国王であり、すべての責任を負って息子と王位を交代したいものだ。


「リアム様」


 夫の考えを察した妻は、声をかけた。


「地の果てまでも、お供いたしますわ」


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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六波羅朱雀をどうぞよろしくお願いします。

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