結婚式の後02
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護衛の任務を終えたアレクサンダーは、自室にて軍服の汚れを払うとハンガーにかけ、クローゼットにしまった。物の扱いが丁寧な男だ。あるいはただ、軍人であることへの誇りが強いのか。
今日のことを日記に書き留めるため、机の前へと向かった。椅子に座り、テーブルにノートを広げてペンを手に取る。これはアレクサンダーの日課のひとつだ。
こうすることで後で何かあった時に、そういえばあの時……というようなことを確認できる。いつどこで何があったかを把握するのは、軍人としての仕事だと思っていた。
「アグリアは、幸せそうだったな」
元からあまり会うことのない妹だが、あれほどの笑顔を浮かべているのは初めて見た。
相手がヴィルヘイムならば、兄としてもレーランド家としても安心だ。
「レオハルト殿下は相変わらずだったな」
客たちの様子を思い出した。
レオハルトは元婚約者が幸せになるのが気に食わないようだったし、クレアは落ち着きすぎていた。正直、クレアはアレクサンダーが苦手とする女性のタイプであった。
「媚を売る女は苦手だ……妹たちがそうでなくて良かった」
アグリアは薔薇姫様の名が示す通り気が強いし、売られた喧嘩は買ってしまうタイプだ。
ミレイアは可愛らしいと評判だが、さすが王族に嫁いだだけはある。心と覚悟は決まっていて、自分が信じたものは簡単には曲げない。頑固なのだ。
カレンはまだ十四だが、相手の考えを読むのが得意だからか、アレクサンダーにウザ絡みはしない。
「レイ王子は笑顔だったな」
心から両国の架け橋が生まれることを喜んでいるようだった。
万が一、この二国で戦争が始まれば、レイは和平のための話し合いの場に率先して行くかもしれない。
「オーウェン王子はこれをきっかけに知り合いを増やそうとしておられたな。ノア王子は不参加だった。オーランド帝国側は、クレイグ王子とラクレス王子がいたか」
ラクレスのことは一度だけ見たことがあったから、消去法でもう一人がクレイグだと気がつくことができた。
二人とも赤い髪ではあるが、クレイグの方が一見紳士らしかった。
かつて一度だけ、盗賊討伐の際に遠目にラクレスが戦う姿を見た。あの時のことは今でも忘れていない。
大きな剣に異能で火をつけ前線で戦うその姿。
この王子は、自分と同じ、戦闘狂だと思った。
「国王と王妃はいつも通りだったな。うむ、不審な者はいなかった」
そうして日記を綴り終えると、机の上を片付けてベッドへ向かった。
「………」
数秒後には規則正しい寝息をこぼしていた。
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