旅路
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次で50話目!!
オーランド帝国へ向かう旅が始まった。
最初はとても穏やかで、やがて眠気を覚えるほどにのんびりとした旅となった。
二時間が経った頃、馬の休息のため十五分ほど休憩の時間がとられた。
馬車の揺れに酔ってしまった者は扉を開けて、外の空気を吸う。護衛の者たちは場所を変わったり、あるいは水を飲んだりクッキーを口にしたりして価値のある休息をとっていた。
「静かね」
「えぇ。今日はよく晴れていますし、良かったです」
私が言えば、セイラがそう答えてくれた。
幸い、私もセイラも馬車には酔っていない。アランはというと、自分の鞄に入れてきた飲み物を取る為に私の馬車に乗り、そのまま座っている。
「今のところ、敵の気配はない。どちらかというと、熊とか竜とかが心配だな」
竜は数分で数十キロを飛んでしまう。
いくら辺りを警戒しても、スピード的に考えて気づいた時には接近されてしまう。最も脅威を覚えるべき相手だ。
「ま、今日は魔弾を全部持ってきているしな。よっぽどのことがない限り平気だろう」
私の異能を込めた魔弾は、アランしか持っていない。
つまり、アランが魔弾を使うところを見られれば、ただの従者でないことがバレてしまうわけだ。なるべく使ってほしくはないし、アランもそれは理解している。
これまでにも魔弾を使ったことはあるけれど、誰の異能なのかは知られないようにしていたし、目撃者もない。ここでこれまでの隠蔽の努力を水の泡にすることはしたくなかった。
「まあ、これだけ護衛もいるし、それに、リアム国王の近衛兵は魔弾を持っているでしょうから、安心してもいいと思うわ」
「そうだな。あの近衛兵は、全員優秀だ」
アランがそう言うくらいだ。よっぽどの訓練を受けた者たちなのだろう。
実際、この間の竜騒ぎでは街と国民を救ってもらっている。
「アストレア王国側も、アレク様がいるんだ。大抵は大丈夫だろうよ」
「異能こそないけれど、むしろ異能のない人間の中では一番強いかもしれないわね」
男として生まれたアレク兄様は異能を使えない。
ただ、《聖女》になれなかった代わりなのか、異様なまでに強い。人間離れしている。
もしも戦争でアレク兄様が敵として戦場に現れれば、竜に近しい獣が出た、と思うかもしれない。
炎も吐かず、薔薇も咲かせない獣だ。
「皆様、馬車にお戻りください。護衛の方は、持ち場へと戻ってください」
外で兵士がそう言ったため、アランは飲み物を片付けて自分の馬の元へと戻った。
「次の休憩は四時間後、だったかしら」
ここからは山に入る。
なるべく安定した道を選んでいるとはいえ、オーランド帝国とアストレア王国の間にある横に長い山、ハルラ山は一気に抜けてしまう方がいい。万が一、山の中で何かあれば、狭くて動きづらいし、何よりも異能で炎を出すと辺りの木々を燃やしてしまうことになる。戦いにくいのだ。
「では、出発いたします」
そうして、また長い道のりが始まった。
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