パーティは不穏か否か09
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「……はぁ」
パーティ会場でワインを飲みながら、ヴィルヘイムはため息を吐いた。
──全く、くだらないパーティだ。
たぶん、グレアム国王は本気でアグリアとヴィルヘイムの結婚を祝いたいわけじゃないのだろう。
ただ、酒を飲んで騒ぎたいだけ。貴族を集める理由に使っただけだろう。
「理由があると言って立ち去ることも可能ですが」
後ろから、ラムロスがそう提案した。気の利く男だ。主人が退屈していることに気がついている。
「……いいや、結構だ」
とはいえ、知り合っておくべき人間がこの場に多いことも事実。
この場にいれば、どの貴族がどれほど平和に呆けているのかが分かる。
「ラムロス」
小さく名を呼んだ。
「ハッ。何でしょうか?」
ヴィルヘイムは、今しがた通りかかった執事に追加でワインを注いでもらうと、ワイングラスを片手に歩き出した。
部屋の隅まで行き、壁にもたれかかった。
「お前は、この国が世界に必要だと思うか」
その質問は、この場にふさわしくはなかった。
だからこそ隅に移動したのだ。
それに、貴族たちの高らかな笑い声によってヴィルヘイムの声はかき消される。結果的に、ラムロスにしか聞こえないのだから問題はないだろう。
「アストレア王国という国は、必要です」
ラムロスはよく考えた上で、そう告げた。
「アストレア王国は、《聖女》を有する国です。我が国とは違い、女性が異能を持っています。我が国と合わせれば、両方の性別の人間が異能を持つこととなります。実現すれば、最強の国です。さらに、長い歴史もあります」
ラムロスは、長いまつ毛を伏せた。
次に開いた瞳で、綺麗に着飾って微笑む貴族を見る。
「ただ……」
アストレア王国の必要性を述べた上で、ラムロスは続ける。
「ただ、アストレア王国であり続ける必要性はないかと」
ヴィルヘイムは小さく微笑んだ。いや、微笑むというよりは、満足したのだ。
「同感だ、ラムロス」
いくらアストレア王国が世界的に見ても女性が異能を持つ、それも神から異能を授かったとされる数少ない国だとしても、それは血によって受け継がれるものであって、アストレア王国という名に残るものではない。
つまりは、オーランド帝国がアストレア王国を吸収してしまっても、アストレア王国の良い点が塗り替えられることはなく、逆に悪い点を消せるのだ。
「もしもオーランド帝国がアストレア王国を吸収できれば、リアム国王はアストレアの領土及びその支配権を俺にくれるだろう」
ヴィルヘイムは、目を閉じた。
いつか来る未来で、自分が、炎に包まれて前線に立っているのが想像できる。
「その時は、この国を変えて見せよう」
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