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パーティは不穏か否か01

ぜひ最後まで読んでください!


 会場に残された私たちは、なんとも言えない空気と視線に悩まされていた。


「面倒ね」


 特に誰もなんとも言わないので、とりあえず私たちは舞台を降りることにした。

 もちろん、ヴィルヘイム王子も共にである。


 ラムロスは相変わらずヴィルヘイム王子の後ろに着いている。これではまるで、執事というより、暗殺者というより、ボディーガードだ。


「さて、どうしたもんかねぇ」


 アランはどこか他人事だ。

 セイラは貴族たちからの視線に慣れていないため、落ち着かないようだ。

 辺りをこっそりとチラチラ見ては、メイドが彼らを見つめるのは不躾だと思い出し、目を逸らすことを繰り返している。


「全く、災難だなぁ、アグリア」


 少し低い声でそう言われた。

 オーウェン王子だ。

 レオハルト王子やレイ王子と比べて赤っぽい金髪を揺らし、鋭い青の双眸(そうぼう)でこちらを射抜くように見ている。

 十八歳の彼は、私よりも一つ年上にあたる。


「これはこれはヴィルヘイム王子。オレはアストレア王国第二王子オーウェンだ」


 お目にかかれて光栄だ、とオーウェンは続けた。

 ヴィルヘイム王子も落ち着いて返す。


「オーランド帝国第一王子ヴィルヘイムだ。オーウェン王子、会えて光栄である」


 戦場で睨み合う獣のような雰囲気を醸し出す二人を、周りの貴族や王族がヒヤヒヤしながら遠巻きに見ている。


「……はぁ」


 仕方ない。


 私は二人の間を取り持つように、会話に混ざった。


「先ほどはありがとうございました、オーウェン王子」


 一応礼を告げておく。


「レオハルト兄さんとの婚約を破棄して他国の王子と結婚とは、さすがだな、アグリア」


 オーウェン王子は昔からなにかと私に突っかかってくる。

そのせいで少しばかり苦手意識があるのだ。

 しかし、レオハルト殿下と婚約破棄した今、昔のように突っかかられることはないだろう。

 多分だけれど、彼が私に喧嘩腰だったのはレオハルト殿下と対立関係にあるからだ。


「あら、婚約破棄はレオハルト殿下からですけれど」


 そう言い返せば、オーウェン王子は眉間に皺を寄せた。

 この国にしては珍しく好戦的で軍人気質な王族であるオーウェン王子は、一部の使用人たちに怖がられている。

 反対に、男らしくてカッコいい、頼り甲斐のある人、といった褒め言葉も囁かれているのだが、本人は女性に興味がない。

 女に構う暇があったら武術を極める、と昔言っていた。その言葉の通り、十八歳になった今も彼には恋人も、父である国王が決めた婚約者もいない。


「ふん、全くだ。アグリアの評判は確かに良いものではないが、虐めていたという証拠も動機もない。誇り高き三大貴族がわざわざ下っ端の貴族を虐めるものか。ましてや、アグリアは他人や世辞に興味がなさすぎる故に薔薇姫と呼ばれているというのに。三大貴族の《聖女》を手放すことがどれほど不利益なことか、レオハルト兄さんは理解できないらしい」


 王位を狙うだけあって、オーウェン王子には知識と自分なりの考えがある。


「オーウェン王子は、王位を狙っておられるのか」


 ヴィルヘイム王子の問いに、オーウェン王子はつまらなそうに答えた。


「愚問だな、ヴィルヘイム王子。長男だからという理由で王位を継いでいけば、国はいずれ滅ぶ。そして、滅びの時が来るならばそれは今だろう。故に今こそ、実力で王位を継承するべきだと思わないか」


 オーウェン王子に良いところがあるとすればそれは、彼が決して自分こそ頂点だと思っていないところだろう。

 強い相手がいれば認め、己の敗北だって受け入れる。

 彼には自信があり、財力も地位もあるけれど、自分の力でより一層上を目指そうとする。

 彼は王位を狙っているにも関わらず、実力こそ全てだと考えている。自分よりも王に相応しい存在がいるならば、それを認めるというのだ。


 もちろん、どんな相手がいようと最後まで王位に挑み続けるとも誓っているが。


「なるほど。確かにその通りだ。俺も弟たちに寝首をかかれないよう気をつけなければ」


 不遜な態度で、ヴィルヘイム王子がそう言った。

 確か、ヴィルヘイム王子には二人の弟と一人の妹がいたはずだ。


 と、そこへ場違いに明るい声が響き渡る。

 第二王女アルメリアだ。

 私たちの前へやってくると、私の両手を掴んで握り、感情的になって告げた。

 まるで一年ぶりに姉に会う妹のようだ。


「お会いできて光栄ですわ、アグリア様! メリィったら、アグリア様が戦うお姿が頭から離れなくって、ずっと考えておりましたの! メリィもアグリア様のように立派な《聖女》になれるよう頑張りますわ!」


 あまりにも純粋な瞳だ。


「お会いできて光栄です、アルメリア王女。アルメリア王女でしたら、私よりも強い《聖女》になれますとも」


 血筋的にも、王族であるアルメリア王女は王妃エレクトラに近いため、私よりも強いはずである。


「アグリア様にそう言われて、メリィは嬉しいのです!」


 妹の無邪気な姿を、オーウェン王子は呆れたように見ていた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら嬉しいです!

感想等お待ちしています。


他作品もぜひ!

六波羅朱雀をどうぞよろしくお願いします!

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