パーティへのご招待
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私たち三人は、沈黙していた。
「……結局、パンドラってのはなんなんだ? アグリア、お前、なんか心当たりとかねぇのか? 三大貴族ってのは他の奴が知らない話も聞くだろ」
アランにそう言われるけれど、残念ながら心当たりはない。
我がレーランド家は現実的な考え方で、呑気な王族とは気が合わないだけでなく、三大貴族のうち残りの二つとも馬が合わない。
そこへ、誰かが階段を上がってこちらへやって来た。
「アグリアお嬢様」
セイラがそれに気がついて、警戒する。
「分かっているわ」
私たちは立ち上がると、本を元の場所へ戻した。
そして、ついに声をかけられた。執事とメイドの二人組だ。
「アグリア・レーランド・ファナ様。グレアム国王陛下がパーティへの参加を求めております。急なお話しで申し訳ありませんが、今すぐ会場へお越し頂きたく」
そう言う執事と隣に立つメイドの顔は実に申し訳なさそうではあるけれど、相手が薔薇姫だからか少しめんどくさそうでもある。
まぁ、グレアム国王に振り回されているのは同情するが。
「分かったわ。案内してちょうだい」
セイラとアランにアイコンタクトでそのまま付いてくるよう伝える。
前を歩く二人に付いていくと同時に、何のパーティなのか気になって話しかけた。
「三十名ほどの王族及び貴族の方々が参加されております。先日の竜騒ぎが落ち着いたことを祝うと同時に、アグリア様とヴィルヘイム様のご結婚をお祝いするという目的でございます」
金髪のメイドが説明してくれた。
「誰が参加しているの?」
「王族の方ですと、グレアム国王陛下をはじめとしてレオハルト殿下、レイ第四王子、アルメリア第二王女が参加されております。ヴィルヘイム王子もいらっしゃいます。貴族の方ですと、三大貴族をはじめとして──」
「もういいわ。ありがとう」
それ以上は聞かなくとも分かる。
そして、会場へと近づいていく。
表ではなく、裏からひっそりと入るようだ。
多分、サプライズ登場といった感じなのだろう。ヴィルヘイム王子もいるとのことだし。
まぁ、私が登場して誰が喜ぶのだろうと思うが。
それにしても、息子が婚約破棄した女をパーティに呼ぶとはグレアム国王も性格が悪い。
「少々お待ちくださいませ」
私たち三人を舞台の上手の赤いカーテンの端に残すと、執事とメイドは登場のタイミングをグレアム国王に聞くためか去っていった。
残された私たちは、呆れを浮かべて顔を見合う。
「まったく、貴族を招待する際のマナーを国王陛下がご存じないとは」
セイラが小さい声で抗議した。
まあ、貴族、それも三大貴族を招待するならば一週間前には言ってほしいところだ。
サプライズ登場だけでなく、私にまでサプライズ招待とは。勘弁してほしい。
カーテンの隙間から舞台下を見下ろすと、ヴィルヘイム王子が見えた。
ラムロスと一緒のようだ。
それから、レオハルト殿下も見えた。
あ、誰かがレオハルト殿下に近づいてきている。
「うわ、腕組んだ」
思わず声が漏れる。
レオハルト殿下に近づいたのは、クレアだ。
人前で何とはしたない。
結婚前だし、それに王族と貴族だ。
立場をわかってほしいものである。
しかし、当のレオハルト殿下は気にもしていないようだ。
むしろ、喜んでいるように思える。
鼻の下を伸ばして、これまたはしたない。
全てクレアの計算通りに進んでいるのか。
「もうすぐ登場していただきますので」
先ほどのメイドが慌ただしく戻って来て、それだけ言うとまた仕事に戻って行った。
「レオハルト殿下は相変わらずだな」
アランが隣に並んできて、馬鹿にするようにそう言った。
「自分よりもか弱そうな女ならなんでもいいんじゃないか?」
否定できない。
「ちょっと、そんなこと言ってると怒られるって、アラン」
セイラもそう注意しつつ、内容については否定しない。
「もう少し、危機感を持ってほしいわね」
それだけ言っておいた。
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