魔王と執事
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同時刻、朝食を済ませたヴィルヘイムは、借りている部屋へ戻った。
昼前には身だしなみを整えて、王族たちとのランチに参加せねばならないと思うとヴィルヘイムの気分は下がっていった。
「どうぞ」
机に淹れたてのコーヒーを出してくれたのは、ラムロスだ。
「ありがとう」
この国の食事では紅茶が主流のようだが、オーランド帝国では軍人はコーヒーを好む。
たった二日程度飲んでいないだけで、コーヒーの苦味が愛おしく感じられるのはカフェイン中毒だろうか。
いや、普段でもそこまでは飲んでいないか。
ラムロスはヴィルヘイムの座るソファの側に立っている。
「この国を、どう思う」
ヴィルヘイムが静かに問いかけた。
「王族や貴族にはまだ一部の方としかお会いしていませんから何とも言えませんが、少なくとも国王はあまり優秀な方ではないようです」
ラムロスが淡々と答える。
「異能を持っていないとはいえ、国民のいる結婚式で竜から真っ先に逃げていましたし、言葉遣いやマナーも王族らしくはありませんでした」
「同感だ。軍事国家ではないから成り立っているが、戦争が始まればすぐに崩れる玉座だ。他には?」
ヴィルヘイムは頷いたあと、ラムロスに続きを促した。
「貴族に関しては、アグリア様は頭の回転の速い方だと思います。ですが、クレア様を虐めていたという噂が立てられていることや、それによるレオハルト様との敵対、薔薇姫様と呼ばれていることから察するに他の貴族との仲はよろしくないのかと。そうなると、他の貴族の方々はあまり優秀ではなく、ただ王族に従うだけかと思われます」
「さすがラムロスだな」
そう言うとヴィルヘイムはコーヒーを飲み干した。
「王族との昼食は、もちろんレオハルト王子もいるだろうが、あれは気に入らない」
ヴィルヘイムにしては珍しく感情的に告げた。
「だが、他の王子が優秀ならば、手を組むことも考えたい。確かアグリア姫の妹が第四王子のレイ王子と結婚しているはずだ」
アグリアの妹の旦那ならば喧嘩せずに手を組みたい、というのがヴィルヘイムの思いだ。
「第二王子のオーウェン様は、気性が荒いと聞いたことがあります。頭脳があまりよくはない代わりに、本能が強く、人間性を見るのは得意なようですね。レオハルト様と気が合わないと聞きますから、手を組めるかもしれません」
「そうだな」
万が一戦争となった場合、仲間思いで本能が強いタイプは面倒だが、レオハルトを次の玉座から引きずり下ろすにはちょうど良い。
オーウェン王子と手を組むことも考えておこうとヴィルヘイムは思った。
「第三王子は情報が少なくて、なんとも言えませんね」
謎の存在の第三王子は滅多に人前に姿を現さないため、オーランド帝国へは情報が知れ渡っていない。
「さて、そろそろ支度を始めるか」
ヴィルヘイムはソファから立ち上がった。
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