最後の日の朝
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結局、私とヴィルヘイム王子はそれから十分ほど話をしたあと、「そろそろ眠った方がいい」という彼の一言で解散となった。
話をしたことで気が紛れたのか、朝六時までぐっすりと眠ることができたのでよかった。
「おはよう、セイラ」
「おはようございます、アグリアお嬢様」
朝食の時間であることを知らせに来たセイラはすでにメイド服に身を包み、ブロンドを綺麗に一つにむすんでいる。
メイドというのは早起きではあるが、彼女はその中でも特別だ。
私専属のメイドになっているだけあって、朝は四時に起きるという。そこまで早くなくてもいいのだが、私が起きる前に屋敷に不審者がいないか見回りをしたいのだそう。
「さて、ドレスに着替えますよ」
「えぇ、お願い」
されるがままに、セイラのセンスで選ばれた赤のドレスを着せられる。下にいくに連れて赤が深くなっていく美しいデザインだ。派手すぎず地味すぎず。貴族らしく、王族を立てつつ。見事な服である。
「今日は、アグリア・レーランド・ファナとしてこの国でゆっくり一日を過ごせる最後の日ですので、ぜひこのドレスをと思いまして」
「ありがとう。私、このドレス好きよ」
そう言うと、セイラはなぜか黙り込んだ。
「どうかしたの?」
「いえ、その、他の方の前でもそのようにしていれば、酷いことを言われないのでは、と」
確かに私は陰口を言われることが多い。
才能や地位への嫉妬がほとんどだろうが、私の発言にも少なからず問題はあるのだろう。
だが、誰かに媚を売るのはいやだ。
特に今は、アストレア王国の王族には。
……まあ、妹の旦那はいいのだけれど。
「いいのよ、これで」
「アグリアお嬢様がそう仰るなら、いいですけれど…」
「さぁ、今日は出来る限りのことをするわよ。時間がないわ。早く朝食を食べて、アランを呼ばなくちゃ」
私が意気込んでそう言うと、無理やり話を変えられたことにセイラは一瞬不満そうにしたものの、今日が最後だということを考えて微笑んだ。
「はい、アグリアお嬢様」
ちなみにその日の朝食は、いつもより豪華であった。
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