憎まれ口のパーティと、灯火のような無自覚の優しさ
十日ほど投稿していませんでした。
すみません_:(´ཀ`」 ∠):
最近はS◯Oのスマホゲームに謎に再ハマりしています。iPadでやっていたけどスマホで新しくデータ作った。一ヶ月でレベル120超えた。ヤッタァ٩( ᐛ )و
あまりにもたくさんの貴族たちが集まる会場の中、私たちはようやく訪れた国王たちを歓迎すべくとりあえず拍手していた。金の手すりのある真っ赤なカーペットの敷かれた螺旋の階段を降りてくる二人の国王は並んでいる。片方はすでにやや酔っ払ったグレアム国王であり、片方は酒に飲まれることの無さそうなリアム国王。体を覆う大きなマントを羽織り、王冠を頭に威厳をたっぷり込めている。二人の左右にはそれぞれの王妃も並んでいる。
「何が始まるのやら………」
クレア・シーランドとレオハルト・アストレアも姿を表している。花嫁らしい淡いピンクのドレスは質素なデザインだ。恐らく、私と違って派手な振る舞いはしないと言いたいのだろう。対してレオハルト殿下の方はというと、軍服を着ている。王子として正装には相応しい姿だが、オーランド帝国での人々の強さを見た後では、武力でも言葉でも戦えない非力な人間が軍服を着るのは戦を舐めているのかと怒りたくなるものだ。
「まあ、お綺麗だわ」
「やっぱりアグリア様でなくてよかったわ」
「本当に。レオハルト殿下にあんな女は相応しくないわ」
「最初はクレア様は下級貴族だしと思ったけれど……」
「良い方よね、可愛らしくて」
「私の娘に似ていて、昔を思い出すわぁ」
「レオハルト殿下は女性を見る目があるのねぇ」
皆、口を開けば二言目には私とクレアを比べている。アホらしい。王族としての責務と国益を考えれば三大貴族と結婚した方が血筋は濃いままで権力も維持できるのに。それをドブに捨てて何が見る目がある、だ。しかも私は他国に渡すには惜しいほどの強さを秘めているというのに。他国の機嫌を伺うための人身御供にしては私じゃ代償が高すぎる。
「集まってもらったのは他でもない、わたしの息子レオハルトの結婚式が近づいているからだ。めでたい日を前に、一度、パーティをして喜びを分かち合おうではないか」
酒を飲んで気分がいいのだろう。赤ら顔を浮かべたグレアム国王はノリノリの高いテンションで話している。
「さらには、レオハルトの結婚のためオーランド帝国より遠路はるばる祝福を告げに来た友人がいる。リアム国王とフレア王妃、ヴィルヘイム王子とアグリア王女である」
人々の視線が国王と王妃を眺めた後、私たちの元へも向く。ジロリと私を睨むものがほとんどだったが、その隣にいるヴィルヘイム王子を見ると令嬢たちはとろんとした瞳を浮かべだした。その反面、妻や娘がうっとりしていることにムカついた男たちはより一層目を釣り上げて睨み出す。
「今宵は権力も地位も関係ない。皆でレオハルト・アストレアとクレア・シーランドを祝おうではないか」
グレアム国王は執事が持ってきたワイングラスを手に取ると、空高く掲げた。それに合わせて私たち全員もグラスを掲げる。
「二人の将来に乾杯」
その合図でガラスの中身を空にした。無論、私もだ。二人の将来に幸福があったら嫌だが、まあ、どこまで行っても私の方が幸せであることに変わりはないから無意味な嫉妬はよすとしよう。女の嫉妬ほど醜いものはないと言うし。
グレアム国王とリアム国王はお互い仲良さそうにして微笑みながら酒を交わし始めた。王妃同士もその隣で微笑みあっている。私はセイラを後ろに連れながら、同じくラムロスを背後に連れたヴィルヘイム王子と談笑を交わす。他の人たちもそれぞれ自由にこの国の未来に待つ幸福な世界について語っている。
「レオハルト殿下かっこいいわね」
「幸せになって欲しいわぁ」
「クレア様、アグリア様にいじめられていたんでしょう? よくアグリア様ここに来られるわねぇ」
「ヴィルヘイム王子もよくあんな女と結婚するわね」
「噂を知らなかったんじゃないかしら? それか、三大貴族で異能持ちだから」
「まあそうよね。惚れて結婚、なんてあり得ないものね。やっぱり権力絡みだわ」
この国の貴族はいついかなる時も幸福な場面に愚痴を挟まないと死んでしまうのかしら、嗚呼、哀れな。
そりゃあ確かに私たち夫婦は仲睦まじいようには見えないかもしれない。ヴィルヘイム王子は基本鉄のように無表情だし。結婚式では竜殺しをしたから可愛らしいスタートではなかったし。でも、だからといってここまで長い間引きずるほど話題に困らない量の愚痴があったかしら。ああ、無いわ。彼らはずっとクレア関連以外の愚痴を言わないんだったわ。話題に乏しい人たちね。
「今日は紋様が出ていないな」
部屋の隅でワインを飲みながらヴィルヘイム王子がそう言った。
「えぇ。ドレスからはみ出したらどうしようかと思ったけれど、幸い、お腹の辺りに小さくあるだけだわ」
「巨大すぎる異能が暴走することも一度もない。やはり、才能に溢れているな」
「けれどもまだ未知数な部分が多いのは事実。実際、次戦わなければならなくなった時どうなるかは私も分からないわ」
「………」
小声で秘密裏の会話をしていると、急にヴィルヘイム王子が私の顔をまじまじと見た状態で口をつぐんだ。私の顔に何かあるのかしら。笑っているようにも、怒っているようにも見えないけれど……あ、それはいつものことか。
「何か?」
恐る恐るそう問いかけると、ワイングラスをくるくると回して中身を揺らしながらヴィルヘイム王子は答えた。
「ただ、初めの頃よりも、口調が柔らかくなったと思っただけだ」
「……確かに、最初の頃は少し敬語が過ぎたかもしれませんね。敬語の方が良ければそうしますが?」
「いいや、それでいい。俺たちは夫婦なんだ。公の場でなければ敬語を完全に外してくれて構わない。気楽にしてくれ」
「……私、決して素の口調は可愛くは無いですけれど」
愛想がないとか笑顔がないとか当たりが強いとか。聞き慣れた、言われ慣れた言葉だ。しかしそれを夫から言われて夫婦関係が冷めたら、周りにも迷惑をかけるというもの。ここはやはり敬語の方がいいと思ってそう言った。
でも。
「可愛らしさやあざとさをアグリア姫に求めてはいない。アグリア姫はアグリア姫らしくあればいい」
そして最後に私の方を見てこう付け加えた。
「それに俺は、素のアグリア姫を見てみたい」
その言葉を理解するのに数秒を用い、その後私は耳まで真っ赤になった気がした。というか多分、本当に真っ赤になった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
悶絶したかのように声なき悲鳴を上げる私を不思議そうな顔で、人形のような整ったその顔でヴィルヘイム王子は見つめ続けた。ひんやりとした冷たさの中にあるからこそ情熱的に燃えて消えることのない灯火のような暖かさが垣間見えた気がして、余計に私は心臓が速くなる。
「でしたらッ、普通に喋りますわッ」
未だ速まる鼓動を抑えながらややテンパった口調で私はそう言った。背後に控えたラムロスとセイラが微笑ましそうにこちらを生暖かい目で見つめていた。
これから投稿頑張りまする。




