卍 ポリコレ VS ニッポン 卍
ちょっと前MARVELの『ニューウォリアーズ』ってのがポリコレに配慮しすぎって炎上したのだが,日本のラノベ作家だったか……お相撲さんみたいなヒロインのデザインにボロクソ言ってそれに海外のツイッター民が「そうだそうだ!」とエールを送ってたのはわりと知られてると思う。
,海の向こうではおかげで日本の漫画に対する評価がうなぎ登りなんだという。
こういう「日本スゴイ」系トピックにはつねに眉唾なわたしですが、どうもマジらしいという確たる物証が。
劇場版【鬼滅の刃】が全米トップチャートに居座り続けてるのだ。
コロナ渦中で一億ドルくらい行ってるじゃんか。
ガイジンに言わせると「アメコミはいつ読み始めても話の途中だし,完結したと思ったら敵が復活してまた続いちゃう」のでキリがないのだという。
それに「表紙と中身の絵がちがう(下手)」という詐欺まがいなケースがかなりの頻度で横行してる。
そして表現の幅の柔軟性をやや欠いている。
これはアメコミを読んで「つまらない」と思った人は納得だろう。大御所ジム・リーでさえページレイアウトはまさしくアーティスティックだけど、どこかゆとりが無いんよ。
「表現の幅」ということでは、「君の名は。」について英国のサイトで書かれていたことが象徴的。以下引用
「「君の名は。」のストーリーは、セクシャリティ、ロマンス、愛、喪失といった主要テーマを持っており、アニメのなかで最も主題に沿い、実験的で力強いと評価。家族向けのグローバル・ブランドであるディズニーアニメにはとても取り組めない領域に対応した、自由度の高い作品であることは明らかだ」
――引用終わり
これを要約するとつまり
「欧米じゃアニメでおっぱいモミモミしたりおパンツちらりなんて無理無理~!」
ということだ。
これはキリスト教文化圏的限界なのか,ペアレンタルコード的な認識の違いなのかは不明だ。
ちなみにアメコミにもエロ漫画は存在するけれど、棲み分けが徹底していて,たぶん90年代初頭までは一般向け漫画にはセックスを匂わせる描写皆無であったと思う。ごく一部、『ウォッチメン』とかで試行錯誤されたくらいだろう。
いま現在でも乳首とかはNGだと思う。
アメリカ人が【獣兵衛忍風帳】と【攻殻機動隊GHOSTinTHESHELL】でどこら辺に感銘を受けたのか、これでお分かりでしょう。
『独創的でシリアスなドラマのアニメ』ではなく『独創的でシリアスなドラマのアニメにおっぱいが出てる』ことにカルチャーショックを受けたのだ。
日本人にしてみれば「???」だろうけど、上記二作が欧米人に与えた影響は計り知れない。攻殻機動隊はパクられまくり、【獣兵衛忍風帳】は驚異的に売り上げ川尻善昭監督が世界に名を轟かせた。
残念なことに、90年代終わり頃のこうした動きに日本のクリエイターは死んだふりを決め込んでしまった。たんに「だって俺たちは欧米より優れてるもん」と思いたかったのか、度重なるリスペクトにも知らんぷりだった。特に川尻監督は【アニマトリックス】から始まりマッドハウス全体で15年くらい期待を裏切りつづけ、とうとう見限られてしまった(マーベル映画が始まった当初はコラボとして日本製のアイアンマンやウルヴァリンのアニメが作られてたのだ……ユル過ぎる出来でみんな忘れたと思うけど)
『欧米人にはとうていできなかった表現』のもうひとつの例は【千と千尋の神隠し】がある。
日本人も含めて「あの映画が世界的に受けたのは奥深いスピリチュアル描写のため」と思い込んでいるだろう。
まあたしかにそれもあるだろうけれど、ガイジンにもっとも受けたと思われるのは中盤に登場したあの「川の神」なのである。
欧米人はウンゲロ描写が大好きなのだ。
あのシーンを観てアメリカの映画産業関係者がどのように感銘を受けたか想像してみてほしい。
「一般向け映画であんな堂々とうんこ出しやがってしかもめっちゃ面白れえやんハヤオ・ミヤザキマジ天才~!」
半分悔し涙でそう思ったに違いないのだ。
じっさいディズニーでアレはぜったい無理っぽいし。
きたない話でごめんね。
つまりなにが言いたいかというと、欧米人が日本のアニメやマンガに感銘を受けてるとしたらそれは、普段われわれ日本人が気にも留めてない,無自覚な要素によるのかもしれない、ということだ。
そしてそのへんの自己評価や分析をおろそかにするとコケるかもしれない。
【千と千尋】の評価ってマジそれかよソース出せ、とか言われても知りません。