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84 前半アリア、後ろにちょびっとウィレムです

ちょっと暗いです。そして身体の部品がごろりと転がります。すみません。

***アリア視点***


嫌な噂を耳にした。それはメリッサの事で、エレノアの所に出入りしているのだと。それが、今現在の話なのか、私の所に戻って来る前の話なのかは分からない。分からないけれど、どのみち、私を裏切ったことに変わりは無いのだ。


「ミア、お願いよ。メリッサを見つけたら直ぐにここへ連れて来て頂戴。」


「分かりました。 あの、、すみません、私がもっとしっかり見張っていれば、、。」


「いいえ、最初に追い出してしまったのが悪かったの。いっそ閉じ込めておけばよかった。」


本当に心から後悔していた。危険な者ほど、目の届くところに置くべきだったのだ。


「、、、何もしていなければいいのですが。」


「、、、そうね。何もしていないなんてあり得ないけど。 はぁ、、、お兄様はご無事かしら、、?」


「、、、何か情報が来ていないか調べて参ります。」


「ありがとう。」


今、お兄様は何を思っていらっしゃるのだろう、お父様が既に見限っておられるとも知らずに。だけれど、それでも、やはり私にとっては唯一のお兄様だ。


ずいぶん経ってから、ミアが青ざめた顔で戻って来た。ドクドクと緊張が高まる。内容は聞かずとも察せるけれど、やはり聞かずにはいられなかった。僅かな希望を込めて、、


「、、報告致します。アリア様、どうか、まず座って下さい。あ、、お茶、お茶を、先に、入れましょうか、、?」


「ミア、大丈夫。大丈夫なの。だから、教えて頂戴。」


取り乱すまいと、精一杯微笑んでみたけれど、ひきつって上手く笑えなかった。


「、、では、」


ミアは軽く咳払いをしてから話を始めた。


「、、、王宮に情報を伝えに来た者に聞きました。 最初にディラン殿下は、連合国軍を率いて攻めて入り、国境にある関所を落としたそうです。でもその後急に勢力が落ちて、直ぐに鎮圧されたとの事でした。町に火が上がったのは、抵抗した際の出来事だったようです。」


「窮地に落ちいって火をつけたという事?」


「恐らくは」


なんて事を、、やっぱり火を付けたのはお兄様だった。


「それから? お兄様は?」


促すと頷いてまた話し始める。


「、、捕虜になられたそうです。陛下が到着した時には全て片付いた後だったとか。」


「え、、捕虜に? じゃあ、お兄様はご無事っていう事?」


ほっ、と緊張を緩めた。

もしも争いの場で陛下と対峙したならば容赦なく首を落とされていたと思うけれど、捕虜となったなら話は別だ。罪状が決定するまでの間は無事なはず。殺されるとしても猶予があるのだ。


「アリア様、、それが、、」


「違うの?」


ミアの顔は強張ったままだ。嫌な感じが振り返す。


「それが、、」


耐えきれない、といった風に顔を伏せた。


「話して頂戴。」


「、、はい。 捕虜になった人は、一纏めに集められていたそうです。人数は攻め入って来た時に比べればずいぶん減っていたと聞きました、どさくさに紛れて逃げ出した者がたくさんいたようです。

それからその、、陛下は到着なさるなり捕虜を見て、逃げ切れた者は見逃すと仰って、解放するよう命令したそうです。ですけど その、、解放した途端、陛下の周囲は血の海に、、、。 その他の者も、取り囲んでいた兵士によって、 だから、結局逃げきれた者はいない、のだとか、、。」


「、、、血の海? つまり、お兄様は、、?」


「陛下はディラン殿下の近くに立たれていたそうで、あの、陛下は、何か恐ろしい力をお持ちの様で、、一瞬で、身体が、、破裂したようにと、、。」


「、、よく、、分からないわ。」


分かりたくない、、頭を横に振った。


「、、、あのっ、アリア様、情報を伝えに来た者は、陛下が狂ってしまったと言っていました。だから、、ここにいたらアリア様も殺されるかもしれません、そうなる前にどうか、、」


「、、、」


話を上手く処理出来なかった。頭の中でぐるぐると単語だけが回っている。お兄様が? 陛下が、、? 血の海、、、?


「、、アリア様、逃げましょう」


腕を掴まれてはっとした。


「逃げ、、? 逃げないわ。」


「でも、アリア様、」


「私はここにいるわ。」


「でも、、」


「、、ミア、私には行く所なんて無いのよ。それに、王妃ですもの、役目を果たすべきだわ。」


「、、、分かりました。では私も、一緒にいさせて下さい。」


その後、陛下を恐れて逃げ出す使用人も数人いたけれど旅から戻ってきたオーウェンの助けもあり、どうにか大きな混乱を起こすことなく落ち着きを取り戻したのだった。



**


ずるずると何かを引き摺る音で目が覚めた。

ずっと寝不足が続いていて、今日も朝方になってようやく浅い眠りに入ったところだった。


引き摺る音は、部屋の前で止まった。

ごくり、と唾を飲む。

ノックもなしに、回されるドアの音が響いて、陛下がいらっしゃったのだと覚悟した。そっとベッドから降りて、寝室を出る為ドアに向かった。無様に引っ張り出されるのは嫌だから。


ドアを開けた時、目の前の床にゴロゴロと転がされている物がお兄様だと気付くのに数秒かかった。


「ぎゃあっ!!」


お兄様は、上半身のほとんどが残っていなかった。あるのは両足と、片腕、どこか分からない肉の破片。それらは袋に詰められて運ばれて来たらしく、血にまみれた袋が床に落ちていた。お兄様と判別出来たのは、腕に巻き付けられた王家の紋章を見たからだ。


「どうだ? わざわざ連れて来てやったのだ。感謝はどうした?」


声の方を見ると、ソファーにどっしりと腰をおろした陛下がいらっしゃる。


「な、な、、、」


何とか立っていられるのは、右手で掴んだドアの取手から 手が離れないからだ。がくん、と折れそうな膝を何とか突っ張って、バランスを保っていた。


「いい顔だが、足りんな。」


陛下に表情はない。それがとても不気味に思えた。


「なん、、うっ、うぐ、、ぐ、」


急に心臓を掴まれたみたいな痛みに襲われて、胸を押さえた。何、、? これ


「ふん、面白くないな。」




***ウィレム視点***


寒いし苦しいし足りない。

身体中が何かを求めて飢えていた。煩わしいアリアが泣き叫べば気が晴れるかと思ったが、何も感じなかった。それならばと力を更に込めようとしたが、追いかけて来たオーウェンに止められて諦めた。もっと別の何かを、、。

廊下に出るとすれ違う使用人が俺を見て後ずさったのでアリアに使うつもりだった力を使ってやった。それでも全然満たされない。


レイラ、、、

考えないようにしていた名前が頭に浮かび上がった。一度浮かぶともう消せそうにない。

近寄るのが恐くて避けていたが、とうに限界を越えていた。欲しい、今すぐ欲しいと思った。欲しくて堪らない。足は自然とレイラの所へ向かって行った。

勢いよくドアを開ければすぐ、、、


、、、は?


「レイラは?」


「えっ? あっ、陛下っ、すみません、お嬢様は今、手を洗いに、、あれ?」


ジュリが言いながらレイラを探すが何処にもいない。


「何処だ?」


「す、すみませんっ、目を離した隙に、、」


「何処に行った?」


「あの、たぶんですけど、、」


「どこだ?」


「ほ、宝物庫の、、」


宝物庫だと? 


ありがとうございます。

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