表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

133/135

クロヴィスの胸の内

***アルロ



クロヴィス陛下は、冷酷なお方ではない。

ただ、国王であるだけなのだ。





―――とにかく真実が知りたい。アリアが儂を裏切るなど・・


隣国からの手紙に激昂されたクロヴィス陛下は、そう言ってお倒れになられた。


「裏切るなど・・」その言葉には、続きがあった。



**


「陛下、気が付かれましたか、具合はいかがでしょうか?」


ベッドへと運ばれた陛下は、しばらくして目を覚ました。


「・・・ああ、もう大丈夫だ。それよりアルロ、アリアの件だが、出来るだけ早く出発してくれ。」


真剣な眼差しに、姫様を危惧する様子が見てとれる。


「分かりました。必ず真実を見付け、姫様を連れ戻してまいります。」


「頼んだぞ。アリアが儂を裏切るはずがない。裏切るなど・・・あぁ、考えただけでも恐ろしい。」


クロヴィス陛下は顔を歪め、布団を握りしめた。それでも、聞いておかないといけない事がある。


「・・・念のため確認致します。陛下は、姫様が万が一、本当に裏切っていた場合どうなさいますか?」


「アルロ、儂は鬼に見えるか?」


「・・・」


鬼でない事は知っているが、鬼のように振る舞わないといけない事も知っていた。だから、聞いておくのだ。


「ディランの事は・・・ あれは、他にやりようがなかったのだ。儂は父である前に王である。たとえ我が子であろうとも、国と天秤にかける様な愚かな真似は出来んのだ。」


言いながら、とても悲しい顔をしておられた。隠しておられた本音を、言葉で聞くのは初めてだった。国王として、家族に情をかけ、国を揺るがしてはならない。陛下は、人知れず涙を流すことすら、いつも堪えておられた。


「では、今回もまた・・」


今回もまた、堪える道をお選びに。そう思っていたが、陛下の答えは違うものだった。


「アルロ、儂は、国とは天秤に掛けられないと言った。だから、今回の事について、お前に全てを任せたいと思う。お前が何を言おうと、何を言わずとも、信じよう。」


「それは、つまり・・?」


「何度も言わせるな。お前に任せる。」


「裏切られていた としてもですか?」


念のため、もう一度確認する。俺は間違いなく、姫様を庇うだろうから。


「・・・儂がそれの何を恐ろしがっているか、お前に分かるか?」


「・・・・いいえ。」


「儂のしてきた全てがアリアの為ではなかったと示される事が、一番の恐怖なのだよ。」


確認しようと聞いた事を、後悔した。こんなお姿を晒させたかった訳ではない。


「必ず、使命を果たしてまいります。」




ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=119464601&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ