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6話 魔物

 宇宙船前までくると、その光景に目を見張った。


 宇宙船前にいる人たちが、すでに何かに囲まれていた。


 「……は?」


 その光景に思わず声を出してしまう。


 緑色の小さくもがっちりとした人型生物が人々を囲んでいる。

 その醜悪な姿からは嫌悪感しか感じられない。

 

 

 「ゴブリン……?」


 そう。

 まるで創作の物語に出てくるような、魔物。

 ゴブリンを思い出させた。


 今にも飛び掛かりそうなゴブリンたちの中の1匹が、飛び掛かったのを皮切りに、15体ほどいるゴブリンたちが一斉に襲い掛かる。


 

 「あぶない!!」



 僕の声もむなしく、動けない怪我人から殺されていった。



 「なんなんだーー!!」


 ジャロドの叫び声が響く。

 ジャロドは近くにいたソフィを盾に、大きな体を縮めていた。


 船長は怪我人を守りながら、持ち前の怪力で応戦しているが、相手は武器を持っているため分が悪そうだ。


 ゴブリンは孤立しているソフィさんとジャロドに狙いを絞ったらしく、4匹ほどが2人を襲おうとしていた。


 「ひ、ひぃ」



 僕の足は今までで一番の速さで動いた。


 ゴブリンたちが2人に飛びつく間一髪で、ゴブリンたちに体当たりをする。


 「ぎぎっー!」


 後ろからの急な攻撃に3匹は倒れたが、残り1匹は体勢を崩しがらも倒れることはなかった。

 起こったのか、こっちに狙いを定め、刃こぼれしたナイフを持って突撃してくる。



 「―――」



 横に転がることで、致命傷は避けたが、太ももを軽く引き裂かれてしまった。



 「宇宙船に入って!!中に少しですが武器があります!早く!」


 鋭い痛みに顔をゆがめながらも精一杯叫ぶ。


 しかし、ソフィさんとジャロドは腰を抜かしているのか動かない。


 

 「早く!」


 やっと立ち上がり、転びそうになりながらも、脱出口から船内に駆け込んだ。


 倒れていたゴブリンたちが立ち上がってきた。

 4匹に囲まれた僕は、混乱する頭をフル回転する。


 宇宙船の入り口まで走りたいけど、ゴブリンが邪魔していけそうにない……!

 武器を持つ個体は3匹。体は小さいけど、がっちりした体は力が強そうだ。

 どうするのが正解だ……?


 息を乱しながら、一旦逃げることを選択する。

 

 森のほうに振り返り、森で巻こうと走り出す。

 ゴブリンたちは足は短いながらも、早いようで、ぎりぎり捕まらない距離を保って走った。


 

 「わ!!」



 目の前に、茂みから突然新たな影が出てきて足を止めた。


 「ぎぎゃ!」


 足を止めた僕に、ゴブリンのうち2匹は足をもつれさせ転ぶ。


 

 最悪だ……。

 僕とはじめを追いかけてきた正体はこいつらだったんだ。


 

 二足歩行の犬のような見た目で、赤く血走った目。

 ゴブリンより立派な武器を持ったそれは、コボルトと言われる魔物のようだった。


 森から逃げてきたっていうのに、森に入るべきじゃなかった!


 今さら後悔しても遅いとは理解しながらも、そこまで考えがいかなかった自分をふがいなく感じてしまう。


 

 「グガウッッ!!」


 5匹のコボルトは様子をうかがうように、僕からは一定の距離を保つ。


 なんでこんなにも命の危機に立たされなきゃいけないんだ……!


 

 前にはコボルト。後ろにはゴブリン。

 横に逃げようにも、魔物の瞬発力には勝てそうにもない。


 「どうしたらいいんだ」


 絶体絶命の状況に唇をかむ。


 もうだめだ……。

 どうしようもない。


 僕は、あきらめて目をつむった。


 

 「ガウッ!」


 「ぎぎっ!」


 

 威嚇する声が、頭に反芻する。


 

 「………………」



 あれ?いつまでたっても襲ってこない。


 恐る恐る目を開けた。


 相変わらず、さっきと変わらない状況で、囲まれている。

 だけど……



 「けん制しあってる?」


 ゴブリンとコボルトは互いに、これは俺の獲物だと言わんばかりににらみ合っているのだ。

 どうやら魔物だからといって仲がいいわけではないらしい。


 

 隙がある……。


 もう僕のことは眼中にないのだろう。

 獲物としてみなされているため、ゴブリンとコボルトは僕を見ていない。


 

 いける!!



 僕は右に行くと見せかけてフェイントをかけ、方向転換をして走り抜けた。

 

 

 「ぎぎっ?!」


 「ガッ!」


 コボルトに引っかかれたが、抜けることはできた。

 

 動きの悪い足を気持ちだけで動かす。

 枝に体を傷つけられるが、アドレナリンがドバドバなので痛みは感じない。


 宇宙船前まで行くと、船長がまだ重傷者を背に戦っていた。

 そこにはもう船長ともう一人の怪我人しか生きていないようだ。

 頑張って守っていたのだろうが、一人の力では、一人を守るのが限界だったのだろう。


 僕は、船長のところまで行くと、怪我人を担いで脱出口に向かう。


 「船長!すぐに敵がもっときます!僕がこの人を担ぐので、キリのいいところで船長も来てください!」


 「あぁ!助かる!」


 僕はできるだけ急いで、脱出口に向かった。

 

 

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