白猫のハートはご主人様が大好き
初投稿です。
私はこの家に住む白猫のハート。
目は青く、左肩にハートマークのような黒い模様が入っているので名前はハートに決まったらしい。
人間でいうと20代半ばくらいの雌。仔猫の時に直哉様に拾われてからこの家に住んでいる。
今は私とご主人様の二人暮らし。いや一人と一匹?
以前は直哉様のご両親がいたが、今は仕事で外国にいる。
一階の窓から落ち葉が舞う様子を眺めていると、エンジン音と共に黒い車が家のガレージに入って行ったのが見えたので私は窓から降りた。
カチャカチャ、バン。
赤い玄関のドアが開き、黒いコートを羽織った黒髪の男性が家に帰ってきた。ご主人様!
とてとてとて。
「にゃーん」(ご主人様おかえりなさいませー)
私は大好きなご主人様のお迎えをしに玄関まで行った。ご主人様と一緒にひんやりした空気が入ってくる。外は寒そう。秋も深くなっていた。
「ハート!ただいまー。お迎えありがとうな」
この方はご主人の北館 直哉さま。年齢は多分20代位後半だと思う。
聞いたことはないんだけど。聞けないけど。
今日はお仕事じゃなくて、病院に行ってくると話していたから結果はどうだったんだろう。
ご主人様は私の頭をふわふわ優しく撫でてくれた。ちょっと手が冷たい。寒かったのかな。
「はああ。ふわふわだー癒されるよ。ハートかわいい」
しゃがんで撫でながら私の顔を見つめにこにこ笑うご主人様最高!こちらが癒されます!
「にゃん?」(病院どうだったんですか?)
「あ、ハートお腹空いただろ。ごはんだな」
「にゃーん!」(ちがーう!)
ご主人様は急いで猫用のドライフードをお皿に出してくれた。そうじゃなくて。
でもまあいいか食べても。せっかくだしね。
ゆっくり食べているとご主人様の視線を感じる。
「おいしいかーハート」
アーモンドのような大きいキラキラした瞳で見つめられると照れちゃう。
ご主人様はにこにこしながら私を見ていたかと思いきや、ふーっとため息を漏らした。
ピンポーン!インターフォンが鳴る。ご主人様は玄関に行きドアを開けた。私も付いていく。
ベージュのコートを着た女性が一人ドアの前で立っていた。ウエーブがかったこげ茶色の髪で俯いて顔は見えないが、いつも来る女性だと思う。直哉様の事が好きな女性、心さんだ。
「あれ?心どうしたの?」
「…どうだったか聞きたくて」
「あー…今帰ってきたとこなんだけど、良かったら入る?」
直哉様は心さんを家に入れた。二人ともリビングに入って直哉様は三人掛け用の黒い革のソファに座り、心さんはその斜左側にある近くの一人掛け椅子に座る。私は直哉様の膝にピョンと乗った。
直哉様は私の大事なご主人様なんです!心さん、渡しませんよ!
ご主人様はお客様にお茶をお出ししなくていいのかしら?早く帰らせたいの?と疑問に思いながら香箱座りで目を閉じる。優しく耳の後ろを撫でてくれる直哉様、大好き。ついついゴロゴロ言ってしまうわ。
「ハートちゃん、相変わらず可愛いねー」
心さんは私を撫でようと右手を伸ばしてきたが、私はビクッと警戒したため手を引っ込めた。
「
ごめんなーあんまり他人に慣れてなくてさ」
直哉様はそう言って大丈夫だよ、と私に向かって囁いた。ペタンとした耳が元に戻る。
「入院手術決まったよ」