2 裏切りの改造人間①
どちらかといえば、夢をよく見る方だと思う。
それは、ダンボールで寝てるせいで睡眠が浅いためなのかもしれない。或いは、ミライの脳に備わる力が、夢という形で私に何かを見せようとしているのかもしれない。それとももしかしたら、咲花肇の頃からの生来の気質だったのかもしれない。確かめる術はない。
(ああ。またこれか)
今見えているこの情景を、私は夢と認識した。夢の中で、夢を夢と認識する夢を明晰夢という。聞くところによると、夢の中を自由に動けて中々に愉快らしい。しかしながら、今の私は体を自由に動かせないでいる。体に記録されているかのように、あの日と同じ行動を自然と取っている。夢というより、追体験に近いのかもしれない。
冷たいリノリウムの床を、裸足で駆ける。病院にも似た構造物。施設内の発電能力はすでに失われており、非常灯の小さく赤い光だけがぼんやりと建物の中を照らしている。
時折、地下にあるはずの結社の更に地下から、轟音のような爆音のような呻き声のような、そんな振動が響いてくる。その度に建物はぐらぐら揺れて、お高そうな機材が床にがちゃんと叩き付けられたり、大小様々な薬瓶の砕け散る音が波のように聞こえたり、そこかしこから悲鳴があがったり。更には、一部天井や壁の崩落が始まっている。
蜂の巣をつついたような大騒ぎだった。結社の構成員は皆一様に地上への脱出を目指している。もはや今この場に、侵入者と応戦しようという気概のある者はいなかった。無論、戦おうとした者はいたのだろうが……結果は、今なお侵入者が地下で暴れていることを鑑みれば考えるまでもない。
地下の最奥では、結社を統べる『怪人大帝』と、『裏切りの改造人間』とが滅ぼし合っているのだろう。直感に拠れば、どちらが勝つかは五分五分だった。天秤はけしてどちらにも傾いていない拮抗状態にあるけれど、しかしそこに私のような小さい存在の介入する余地はない。改造人間ミライは戦わず逃げるだけだ。
どうしてこんなに無駄に広いんだ、ここは。心の内で悪態を吐きながら駆ける。自慢ではないが、私の身体能力は貧弱だ。大抵の改造人間はおろか、人間の研究員にすら劣る。だから、脱出する人々についていけないのはしょうがないことだ。
邪魔だ、と引き倒された。勢いのまま床に二回三回と転がれば、小さな瓦礫やガラス片が肌にちくちくと刺さった。うつ伏せに、肘をついて顔を上げる。私を引き倒したやつの背中が遠ざかっていく。一瞥すらない。彼の行為に、私を貶める悪意は感ぜられない。ただ、生き残りたい。それだけだった。恨み言を述べる気も起きず、痛む足を動かした。
私は次第に集団から遅れていき、ついに誰の人影も見えなくなった。そこらに倒れ伏している者以外は。それでも進む。脳を深く行使する能力の都合上、洗脳処理を施されずにいた私は、結社施設内の一室に監禁されて生きていた。故に、ここの構造図など知りようはずもないが、そこは直感が導いてくれる。
明かりが増えてきた。電源が回復したわけではない。そこかしこから火の手が上っている。ごうごう、ぱちぱちと耳障りだ。しかし、気付けば地下の戦いの轟音は聞こえなくなっていた。
血の滴る足を引きずって、息を切らして通路をひた走っていた私は、急遽蹈鞴を踏む。階段が、崩落で塞がれている。あと少しなのに。別の通路から脱出しようにも、時間に余裕は残されていない。ひどく熱く、煙たい。
でも、諦める選択肢はない。私はどちらかというと生き汚い方だと思う。元の身体をさっぱり失ってさえ生きているようなやつだ。潔くなど死んでやるものか。たとえ直感が無理と言ったって。
階段の途中を塞いでいる、身の丈ほどある瓦礫の一つに手をかける。さらなる崩落の危険性もあるが、やらなければ死ぬだけだ。渾身の力で引っ張り、転がすようにして階段の下へ落とそうと試みる。重い。足の踏ん張りが効かない。それでもだ。
その時だった。背後からぎりぎりぎりと、何かが引きちぎれ、ひしゃげるような恐ろしい音が、私の全身を振動となって震わせた。振り返れば、炎の中に影。
「……デビルマスク」
果たして、そこには『裏切りの改造人間』が、陽炎に揺らめきながら佇んでいた。私はついに足の力が抜けて、ぺたんと尻をついた。
デビルマスクは、戦闘用に造られた改造人間だった。しかし、最終調整の直前になって、結社の駒として洗脳されることなく脱出を遂げた。更に話はそこで終わらず、彼は結社に仇為す者としてゲリラ活動を開始。そして今日、ついに致命的な打撃を結社に与えた。すなわち、結社のトップであり要、怪人大帝を討ち果たしたのだ。
幸いにして、私は洗脳など施されていない。だから、大帝が何処でくたばろうとどうでもいいことなのだが。……デビルマスクへ挑んだ改造人間たちは、誰一人と帰還しなかった。私のような木っ端改造人間では、天地がひっくり返っても敵う筈もない相手だ。逃走だって叶うはずもない相手だ。
がしゃ、と。足音を立てて近づいてくる。火炎に照らし出されるその姿は、さながら鬼のよう。頭蓋骨のマスク。人の頭蓋のようで、人の頭蓋ではない。至る所に棘が生え、とくに目を引くのは、眼孔の上の辺りにある反り返った鋭い巨角。本来二本あるはずのそれは、先の戦いの傷跡か、片方が半ばから折れ失せている。首から下を包むのは、血のように赤黒いボディスーツ。力強い筋肉が隆々浮かび上がるそのスーツの表面には、こちらも異形の骨が描かれていて、見る者に戦慄を振りまく。
がしゃ。圧倒的な存在感に目が離せない。デビルマスクの小指一本で、私の首は容易く折れてしまうのだろうが、身体が動こうとしない。逃げられない。蛇に睨まれた蛙とはこういう状態を言うのか。
そして。彼は私の横を悠々と通り過ぎ、階段を塞ぐ瓦礫を拳でぶち抜いて、そのまま出来たての穴の中へと消えていった。
「……おえ」
稀に見る最悪の目覚めだった。くるまっていた毛布を思い切りはだける。外気が瞬く間に体温を奪う。うわ、寝汗が凄い。……でも、汗だけか。ひとまず安堵する。
辺りを見渡す。自転車が私を囲っていた。ああ、そうか。マンションの駐輪場で寝たんだっけ。辺りはまだ仄暗い。午前四時くらいか。……すぐには住民も起きてこないだろう。もう少しだけここにいよう。落ち着くまで。
ルーチンワークは心を落ち着けてくれる。毎朝の習慣通り、公衆トイレで身嗜みを整えているうちに、今朝方の夢の衝撃は薄れつつあった。
(今、何しているんだろうな)
歯を磨いているときに、そんなことが頭を過ぎった。デビルマスクは生きているのだろうか。いや、デビルマスクだけではない。崩落する基地から脱出し、生き残った構成員もいただろう。何をして生きているのだろう。私のように、日本人としての身分さえも失った者たちばかりではないはずだ。結社に入る以前の生活に戻ったりしたのだろうか。
……考えても仕方がない。私は今日を生きるのに手一杯で、他人の心配などしていられないはずだ。今日これからのことを考えよう。今日は、コインランドリーには行きたいな。金策はどうしようか。今日明日で無くなるほど路銀は切迫していないけど、金は幾らあってもいい。パチ屋の辺りをうろついて代打ちでも雇うか。昨日は失敗したし、雇うやつは慎重に見極めなければなるまい。あ、夏物の服、そろそろ買っておいてもいいかもしれない。
朝のコインランドリーには、幸いにも私以外の利用客はなかった。コインランドリーも、ホームレスとけっこう縁の深い場所だと言える。洗濯機など所持しようもない私たちにとって、最も身近で簡単な洗濯の手段だ。さらに二十四時間営業の無人店舗であれば、一晩を超すための仮宿にもなり得る。他の利用客からすれば迷惑でしかないので推奨はしないが……。
私は移動式の路上生活者なので荷物が少ない。それは衣類も然り。衣服は上下ともに二着、下着も二着ずつ。追加で毛布を洗っても一時間ちょっとで済む。駅に打ち棄てられた新聞などを読んでいれば割とすぐだ。また、どうでもいい時短テクニックとして、コインランドリーのトイレ内で下着を脱いだまま上着を着れば、下着が二着ともまとめて洗えるぞ。
綺麗になった衣類を身に纏って気分上々でいた私は、街を歩くにつれ、ふと疑問を抱いた。通勤時間帯はすでに過ぎているのに、街中に子供の姿がある。私服を着て、ビビッドカラーな自転車に跨がり風切る男の子。おめかしして道路を歩きつつ戯れる、小学生くらいの女子ら。すわ何事かと思ったが、すぐ思い至る。なんてことはない。今日は土曜だ。休日だ。こんな生活をしていると、曜日感覚が無くなってしまうから困る。
よし。そうと決まれば、見た目小学生な私も、大手を振ってお天道様の下を歩けるというもの。風通しのいい公園で寝ててもいいし、空調の効いた図書館で寝ててもいい。寝てばかりだが、休めるときに休むのが路上生活を継続するコツだ。今日は夢見も悪かったし、ちょっと身体が重い気もするし。
たまにはいい物を食べたい。ここらで一発がつんと野菜を入れたい気分だ。肉ではなく、野菜。私みたいな生活は野菜が不足しがちなので。うん、どうせなら腹を減らしてからいこう。私は今朝入れたコンビニ飯を消化中の胃の辺りを撫でた。都会はちょいと歩けば色んな飯屋があるけれども、悩ましいのは、子供が一人で入っても見咎められない場所って、だいたい安っぽいチェーン店なんだよなあ。ぼんやりと昼飯のメニューに思い巡らせながら、そぞろ歩き。
休日の街中は、どこかある種の弛緩した空気が漂っていて、嫌いではない。この緩さは、暖かさのせいもあるかもしれない。今日もお天道様は元気に顔を出している。
漫遊しているうち、やがて緑の濃い区画が現れた。公園だ。遊び回る子供や、その保護者たちの姿が確認できる。私も少し足を休めていこう。幾つも設置されたベンチのうち、誰も座っていないものを選んで腰掛ける。ありがたいことに、肘置きの付いていないタイプのベンチだ。肘置きがあると、私たちホームレスはそこで横になって休めないのである。いわゆる排除アートというやつ。
ベンチに横たわる。天を仰げば、青い空に散らしたような雲が泳ぐ。綺麗と言えば綺麗だが、見ていて特段面白いものでもない。私は気慰みに、公園を見回す。
「……?」
遊具の周りをぱたぱたと走り回る幼児たち。日傘を差して井戸端会議に興じるお母様方。そんな中に混じって、ベンチで一人、ぼんやりと空を見上げる男に、私は何故か目が離せなくなった。
年若い男。遠目でも分かるぐらい、体格がいい。身を包む暗色のジーンズにジャケットは、草臥れた印象はなく、少なくとも私のようなホームレスではあるまい。
彼我の距離は、公園の砂場を挟んでおよそ二十メートルはあるだろうか。横たえていた身体を起こし、よく観察する。人相まではよく分からないが、短い黒髪と、太い眉と鋭い目からくる眼力はここからでも感ぜられた。
決して、知っている顔ではない。記憶にない。けれども、どこかで会ったことがあるような。どこだったか。誰だったか。――私の脳は、その答えを運んできた。慮外にも。
「……デビルマスク?」
虚空に問いかけが漏れた。私は、変身した後の姿しか知らないが、それでも。あのおどろおどろしい悪鬼のような姿と、あの青年の姿とは、似ても似つかないが、それでも。私の直感は、あれをデビルマスクだと判断した。そしてその判断は、直後に思わぬ形で肯定されることになる。
すっと。空を見上げていた男の首が下がり。目が合った。はっきりと。強い眼力が私を射貫く。
「ひえっ」
情けない声と共に、尻が浮く。肝が冷える。もしかして、呟いたの、聞こえた? この距離で? まさか。しかし。改造人間ならば有り得る。聴力だって人外。ああ。なんと迂闊な。
私が腰を浮かせたのをどう見たか、男もベンチから腰を上げる。もはや彼が私と言う存在を認識しているのは間違いない。私をじっと見ている。そして、その姿が、どういうわけか、崩れゆく結社の、揺らめく炎の中に佇む悪鬼の姿と重なって。
いよいよ、彼が私の方へ一歩踏み出した。瞬間。私はキャリーバッグの車輪をごーっとうるさく鳴らしながら、脇目も振らず駆けだした。
体感にして、三駅分くらい走っただろうか。人気の少ない裏通り、高架橋の下、一人咳き込む。走りすぎた。口呼吸のしすぎで、外気に晒され続けた喉が痛い。吐き気すらある。呼吸をなんとか整えつつ、私は周囲を警戒する。
アスファルトとコンクリート、人々行き交う灰色の街並み。傍らの、ちょっぴり緑がかった波紋のないのっぺりした河。首都高の高架の隙間から覗く青空。そのいずれかから、今にもデビルマスクの姿が現れたりしないだろうか。気配は、感じないが……。
う。衣服が肌にしっとり張り付く。気付けば滅茶苦茶に汗をかいていた。洗ったばかりなのに。おのれ。バッグからペットボトルを取り出し、今朝公園で汲んだ生ぬるい水を流し込めば、新たに水を得た身体がいっそう発汗した。
何度か深呼吸を繰り返し。大きく息をついた。キャリーバッグを椅子代わりに腰掛ける。たぶん……逃げ切った。
――まさか、こんな形で再会するとは。予想だにしていなかった。
逃走する途中、私は一度振り返ってやつを見た。追いかけてきたやつの姿を思い出し、身震いする。さながらスプリンターのような、いやに様になったフォームで、無表情で追いかけてきたのである。恐怖以外にない。
昼の街中という条件がなければ追いつかれていただろう。私の足はけして速くないけれど、入り組んだ街並みならば単純な走力では比べられない。それに、異形へと変身するには人目につきすぎる場所だったのも幸運だった。やつにもそれくらいの分別はあったらしい。
そして、私の姿が少女であったのも幸いした。少女を追って爆走する大男。「変質者」、「変態」、通行人からそういう悲鳴が上がったのも無理ない。それから男は目に見えてペースを落としたようだった。女の子になって心の底から感謝する日が来るとは。これも予想もしていなかったことだ。
……それにしても。なお咳き込みつつも、私は思い巡らす。
生き物には、あまねく生存本能というものがある。その意識はなくとも、無意識のうちに生存のための思考を行っている。故にこそ、私は意識せずとも己の身に降りかかる危険を察知できるわけだ。例えば、私は空を見上げれば明日雨が降るか否か察知できる。生存に直接関わる事象だからだ。逆に言えば、ド忘れした昨日の天気などは測れない。やろうと思えば出来るかもしれないが、やる意義を感じ得ない。意味が無い。
デビルマスク。先の遭遇時に、私は身の危険を直感できていただろうか。正直言って自信がない。仮にそうだとしたら何故。……彼は私に害意を持っていなかった? もしくは単純に、能力の不調か? ひょっとしたら、たまたまとか?
私は、この直感がなければ生きていけないものと理解している。私にとっては視覚を奪われたのと同じだ。故に、死活問題であるのだが。走り続けたせいか頭がよく回らない。ぐるぐるする。
……ひとまず、飯でも食いに行こう。不調があれば整えるのが道理だ。体調を万全にしなければ生き残れない。
もうどこでもいいや。なんでもいいから何か腹に入れたい。そう思って足を踏み出した瞬間、視界が歪んだ。……なんだ。何が起きた。地震、ではない。ぐらりと身体が揺れる。足下が覚束ない。立っていられなくて、アスファルトに膝をつく。
悪寒。視界が狭まり、色を失う。白黒にぼやける。水の中にいるかのように、世界の音が遠い。冷や汗のせいか、とても寒い。貧血のような、そうでないような感覚。ああ、これは。ちょっとだめなやつかもしれない。急に来るものだなあと、どうしてか呑気な感想が浮かぶ。まだ現実味がない。
まあ、でも。昼の街中で良かった。倒れた子供がいれば、誰かしら見つけて救急車でも呼んでくれることだろう。目立たぬ物陰で寝てる夜間ならそうはいくまい。その点は不幸中の幸いか。きっとこれから、親類縁者も戸籍もない私の処遇は面倒なことになるのだろうが、それも命あっての物種だ。だから……誰でもいいから、助けて欲しい。
「おい。……おい、どうした。大丈夫か」
霞みゆく意識の中、遠くに声が聞こえた。待ち望んでいた声だった。こちらを慮るような、低い男のそれ。そのまま目を閉じてしまいたい体の重さだったが、この親切な男の顔を一目見ておきたいと思い、踏みとどまる。視線を向け、目の焦点を合わせるのさえ難い。ゆっくり時間をかけて、ぼやけていた男の姿が次第に露わになる。がっしりした体つき。黒い短髪。若々しい相貌。意志の強そうな目。……あれ? これ、デビルマスクじゃね?
「きゃあああ!」
「お、おいっ」
たす、助けて。死ぬ。殺される。肉片にされる。他の改造人間のように。ああ、ああ、その前に。昼の街中だ、誰かしら人が居るはず。生き汚くて結構だ。
「おかっ、犯されるう!」
「っ、何を! 落ち着け!」
弛緩した身体に鞭打ち、無理矢理後ずさりながら叫ぶ。幼い女の悲鳴は、たちまち注目の的になる。慌てた様子で通りすがりの大人たちが此方へやってきてくれた。デビルマスクの両腕に手をやり、私から引き離そうとする。そうだ、そのまま取り押さえてくれ。
「ち、違う、俺は」
「違わねえだろロリコン」
「まあまあ。でもとりあえず、いったん離れようか」
デビルマスクが、一般人らに拘束されようとしている。まさかの光景だが、眺めている暇はない。今のうちにこの場から離れなければ。そう思うものの、先程よりもいっそう重さの増した身体は言うことを聞いてくれない。もう大丈夫だよと私を抱き留めるお姉さんの腕の中から抜け出せない。さらに、なんだかギャラリーも増えてきた。混迷してきた。
「くそっ……変身」
そして、混迷の最中。私の耳にそれは届いた。同時に、人々のざわめきが大きくなる。まさか。そんな。こんな街中で、人前で。マジか。信じられない。
その偉容に、人々は自ずから道を明け渡す。予言者のごとく人波を割りながら、私のもとへ進み来るのは。隻角の頭蓋骨に、赤黒いボディスーツ。改造人間、デビルマスク。
私含め、人々は呆気にとられている。そのまま、お姉さんの腕の中の私にぶっとい腕を伸ばし、あっさり奪い取り抱き上げる。デビルマスクは数瞬だけ空を見上げたかと思うと。ビルより高く跳躍した。私はついに意識を擲った。あ、死ぬんだなという感じがあった。