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エゴに生きれないゲームマスター日記  作者: 剣真
初心者編 〜プロローグから始まりの街周辺まで〜
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01 引っ越し

元号が令和に変わった年、祖父が亡くなり2ヶ月が経過した。

享年79歳、少し早いと思ったけどこればっかりは仕方ない。

それから色々あって俺は今、亡くなった祖父の家の前にいる。

今日からここに住む為であるのだが、何故こんな事になったかと言うと、1ヶ月前に遡る。


「お〜い、才人!

話があるんだがいいか?」

突然の父からのお呼び出しだ、とは言っても脳筋じゃなく温厚な父だからいきなり修羅場のような事にはならないと思う。

「何?父さん、なんかあったの?」

「大学は順調か?」

「順調?って言えば順調だけど?」

いまいち言ってる事が判らないけれど、返答をしてみる。

「前に1人暮らししたいと言ってただろ?」

「うん、言ったよ?

ここから公共機関使って1時間以上掛かるし」

もしかして1人暮らしOK の話かな?

期待を込めて次の言葉を待つ。

「大学の近くにいい物件があるんだが、住むか?」

「いいの?住む住・・・む・・・」

そこでなんか変な予感がした。

「あの、父さん?認めてくれるのは嬉しいんだけど、家賃とかいいの?」

「ああそれなら問題ない、住む所はお前の爺さんの家だからな」

あー、あそこか。

確かに大学まで歩いて30分くらい、チャリだったら10分掛らない位置だから助かるけど。

でも確かあの家は叔父さんが相続したような?・・・

その事を言うと

「兄貴がな、遺産相続を放棄したいらしい。

姪っ子に任せればいいと思ったんだがな、住むのを拒否しているらしくてな。

売るにも税金等掛かるし放ったらかしにすると家は痛むだろうし、古い家で今時のお洒落さも無いから困っているらしい。

そんな訳でいきなり譲るとお前に税金等掛かるから、お試しとして管理人という名目で住んで欲しいそうだ。家賃分のバイト代も出すらしい。

どうだ?住むか?」

爺ちゃんの家に住んで大学は近くになるし、おまけにバイト代まで出るとは。

これはやらなきゃ損でしょ!

「うん!俺住んでみるよ、1人暮らしもしてみたかったし一石二鳥だよ」

ここで世の中そんなに美味しい話は転がっていない!と気付けなかったのは、若さ故だと思う。

だってまだ20歳だし、仕方ない。

そんな訳で1ヶ月の間に引越しの準備をして、今日爺ちゃんの家の前に立っているのである。


爺さんの家は土地だけで200坪あり、3LDKの平屋建てが真ん中よりにポツンと建っていて、その周りはちょっとした趣味の畑と駐車場(5〜6台は停められる)それと蔵がある。

蔵と家は父さんが子供の頃からあったと言っていたので相当古いと思う。

ちょっとしたリフォームはその都度やってたようだから、火を起こして食事を作るとか、五右衛門風呂とかでは無い。

五右衛門風呂は興味あるけど。


今日からここに住むんだと気持ちを新たにしてチャイムを押す。

「は〜い、開いてるわよ〜」

家の中から聴こえてくるのは叔母さんの声だ。

引き渡しをする為と引越しの手伝いに来てくれたのだ。

「こんにちは、叔母さん。

今日からお世話になります」

「いらっしゃい、才人君。

あと1時間程で引越し屋さんが到着するって連絡があったから、今のうちに室内の説明をしちゃおう」

爺さんの遺品は服等以外はそのままにしているようで、家電・給湯システム・システムキッチンを一通り使い方を教えてもらった。

「でも、叔母さんいいの?

むちゃくちゃいい物件でしょ?ここ。

不動産屋通じて賃貸にした方が良かったんじゃない?」

「いいのよ、家賃とか取ると確定申告とか面倒だし、今時ゴミ屋敷にしちゃう人とかいるからね。

そんな目に遭うくらいなら管理人という名目で手数料を払った方がいいわよ」

叔母さんは笑いながら答えた。

ただ、目が笑っていなかったのだが、それに気付く事もなく時間が流れるだけだった。


そのうち引越し業者が到着し、荷物を運び込んで終了。

俺の荷物なんて着替えと大学で使う物、それとAV機器関連くらいだ。

生活する為の物は大体揃っていた。

テレビとか冷蔵庫とか洗濯機とか。

かさ張ったのは寝具くらいだろうか。

夕方前には落ち着いたので、部屋で荷物の整理をする事にし、1時間程で終了。

この時点で叔母さんは帰宅している。


部屋割りをどうするかなんだけれど、3LDK だから日頃はリビングで過ごして、寝室で1部屋使うでいいかな。

お客用で1部屋使用して、残り1部屋は爺さんが趣味で使ってたからそのままにしておくか。

なんか相当古いパソコンと少し古いXPタイプのOSが入っているパソコンがあるんだけど、大学のパソコン詳しい奴に教えてもらわないと無理かな、ネットサーフィン程度の扱いしか出来ない俺には、はははっ。

爺さんは現役時代プログラマーの仕事してたらしいけど、詳しくは知らないんだよね。

今度父さんに聴いとこう。

ちなみにこの家はネット環境も整っている為、Wi-Fiも使える。

爺さん、無駄にスペック高い生活してたんだなぁ。


部屋を出て行く時に、チラッと白と赤の箱が見えた。

「何だろう?なんか何処かで見たような絵が書いてある」

そう呟きながら埃を被っている箱を開けると、

「ん?ゲーム機本体?と・・・ソフトかな?」

これは・・・昭和時代にみんなが夢中になったと言われるファ◯コンでは?

実物初めて見たよ。

近年まで使っていたような形跡というか、そんなに放置されていた様子ではなかった。

普通は箱に入ってても埃等被ったりするものだ、けど、ちゃんと拭き上げた様な後もある。

大事にしてたのかな?

本体を除けると下にソフトがあった。

何も書いてない・・・データ入れる前のソフトかな?

ゲーム会社で働いてたって話だから貰ったのかもな、そんな事考えながら元の場所にしまい込む。

その時に電源ランプが微かに光っていたのを見逃していた。


「今日の作業はここまで」

自分に言い聞かせる様に独り言を呟き、風呂入って飯食って寝る準備をし消灯。

明日は友人等誘うかな〜

そんな事を考えながら眠るのだった。


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