ある日の日常。
教室で自分の席に座ろうとすると黒髪をショートカットに揃えた活発そうな少女が目の前まで駆け寄ってきた。
「勇。おはよー。」
彼女は、幼なじみの楓で見た目通り活発で街の古い道場で幼い頃から杖術をしている。
最近、身体つきが女性らしくなり目のやり場に困ることもしばしばある。
「おはよう。楓。今日も元気だな。」
変に意識せず、自然を装い楓の顔を見て挨拶を返した。楓は、不思議そうな顔をしたが気にしたようすもなく、顔近づけてきた。
「そうだよ。元気なことは、大事なことだよ。」
楓は、ポケットから携帯を取り出すし、操作するとケーキ屋のホームページが写っている画面を見せてきた。
「それより、勇。今日の放課後、空いてない?近くにケーキ屋さんが食べ放題を始めたんだけど、一緒に行かない?」
「ケーキか。久しぶりに良いかもなぁ。わかった。行こ。」
「本当!じゃあ、放課後、楽しみにしてるから。」
何故か嬉しそうにしながら楓が自分の席に戻って行くと今度は、隣から羨ましいそうに声をかけられた。
「仲良いね。お二人さん。」
隣には、剣道部の主将の光がいた。こいつも俺と幼なじみだか、俺と違い身長も高くイケメンのため学年の女子の大半から好かれている。
「なんだよ。光。放課後、空いてるならお前も一緒に行くかぁ?」
「いや。楓にシバかれたくないからいいよ。」
「うん?何か言ったか?」
光は、呆れた表情をすると顔を反らしてよく分からないことを言って素早く話しを切り上げた。
「何でもない。気にするな。俺は、部活で忙しいから行けない。また。今度な。」
「あぁ。わかった。」
釈然としないまま俺が席に着こうとした時、急に教室の床が光り出した。
「なっなんだ。」
光の強さに意識を保っていらず、意識を失う直前に頭の中に直接なつかしい話し声が聞こえた。
「やっと、見つけた。お願いします。もう一度、彼女を。哀れな勇者、マオを魔王の宿命から解放してあげてください。」
「誰だよ……。意味……わかんね……。」
そのまま、意味のわからないまま意識を失いその場に崩れ落ちた。