神との対峙
「それではこの階段の先が終点、我らが姫のおわす場所。ダンジョン最後の間になります」
「やっぱり、あの娘がここにいるんですね」
階段の先から感じる歪な空気。何か、というには可笑しなくらいの威圧。対面すらしていないのに体が重くなる。
「それではご健闘を、大器の子。私は他の三人の回収に向かいますので、これにて失礼」
そう残してヤクロは消えた。影ひとつ残すことなく。
「行こう、みんな」
軽い雰囲気しかなかった先程までとは明らかに違って、この先に待つものに背中に汗が流れる。
「ここ、は?」
そこは明らかに空間が違った。神聖な空気と外界と隔絶した気配。そのすべてがここにいるモノが特別であることを物語っていた。
帰りたい。時空間魔法が機能しないからすぐに帰れないのがもどかしい。
「・・・・よく来た。と称えるのが筋というものか」
そこに佇む一つの存在。全長は優に40メートルはあるソレは神々しく光輝き、神秘的な空気を纏っていた。
「あらあら、引きこもりの龍ノ神じゃないですか。最高位の神に匹敵する後天的神格を持った上位の神龍ですね」
まさかの神様の登場とか。無理ゲーな気がする。師匠を盾として連れてくるべきだったかな?
「なるほど。ヌシが噂の人の子か。わざわざようこそ、ここまで来たのは必然か」
「上位の神がいるダンジョンなんて聞いたことがない」
白と赤で彩られた鱗に巨躯に纏うオーラはまさに神に相応しい輝きを放っている。
「私もこの様なところに来る気はなかったのだが、如何せん周囲が煩くてな・・・・番いなどいらんと言っておるのに」
「あぁ、あなた婚期遅れてますものね?かれこれ1500年は一人ではなかったですか?」
「黙るがいいユルトシエラ。私だって好きで行き遅れているわけではない」
うーん、なんだか話が一気に下世話なものに。結婚したくないからここにいるのかよ!
「だからダンジョンを作ってここまで来たものを試すことにしたのだ。力を示せとな、神格を拝謁した私に相応しい輝きを持つと」
「うーん、今回僕はギルドの調査に来ただけなので帰っても大丈夫でしょうか?特にあなたに結婚を申し込みに来たわけではないですし」
雄か雌かもわからないから結婚申し込むもクソもないしね。
怖いし!・・・・・怖いし!
「遠慮をするな。私たち上位以上の神格を持ったものに性別はない。どちらにもなれる。ただ神格を持つ前は雌であったからな、精神は雌寄りにはなるが」
「いえいえ、上位の神様に喧嘩売るほどの度胸はありませんから!これで失礼したいんですけど」
できるならこのまま穏便に帰りたい。戦闘狂いではないんだよ僕は。
「それは私の誇りに関わる・・・ここまで来た者になにもしないなどとは。ならばそちらの娘二人、ユルトシエラはいらん。だからそこの人間の娘二人にしよう。そなたは嫌なのだろう?ならばそちらの娘と私が死合うが道理よ。特別に2対1でも構わん。死合うといっても腕の1.2本なくなるだけ、命まではいらんよ」
「それ・・・・は」
それはダメだ。二人が傷つくならそれは意味がない。この旅に出た意味がなくなる。
だから・・・・僕は、覚悟を決める。
「僕が相手をしたら満足するのか?」
「あぁ、ヌシならば異論はない」
「ファン君、いいのよ?あなたは戦わなくて」
まだダメージが残っているのかふらつくミネアに心配される。僕だって男だ。やるときはやる。




