それはわかりやすい格の差で
「ここは私の番ですよ?あなたはさっき十分目立ったではないですか」
「いやいや、あなた一人で大丈夫なの?あなたは智の神でしょ?」
「ふふっ、問題ありません。それに未だに何一つしてないのですから、私にもファンにアピールする機会をくださいな」
ぱちりとウィンクをして微笑むユルトさん。緩すぎじゃないです?智の神様って戦闘は得意じゃないイメージなんだけど。
「あなた一人でいいの?」
「こちらは二人だから二人でいいのに」
「問題ありません。始めましょう?赤青の二つ星」
ユルトさんの言葉を合図にして三人の姿が掻き消える。数撃のやりとりのあと双子が少し距離をとり魔法を構築する。
「炎龍!」
「水龍!」
巨大な炎と水の龍がミネアに襲いかかる。デカイなー、どっかの漫画で見たような魔法だ。
「甘いですね?'術式破壊'」
「「え?」」
ユルトさんに二匹の龍が衝突する直前、彼女が手を翳すと魔法が消滅した。
「構成が雑ですよ?双子ちゃん?」
何事もなかったかのようにそこに佇むユルトさん。
おっとりとした物腰は変わらずその体のどこにも魔法が当たった様子はない。
「ふざけてるね」
「うん、嘗めてるよ」
ユルトさんの使った術式破壊はその魔法の構成された要素、組み込まれた魔法術式に干渉する常人では理解できない高等技術。相手の魔法構成を完璧に理解していてもほんの一秒に満たない時間で干渉するなんて神話に出てくる次元で人間離れしている。
「行くよアグナ」
「了解、マグナ」
双子が魔法を諦めユルトさんに同時に殴りかかる。ここでもやはり拳が物を言うのだろうか。
「あらあら、荒削りな攻撃ですね?人の姿ではその程度ですか?」
双子の高速の拳打を涼しげな表情で全て受け流すユルトさん。まさかの近接戦闘も凄い。
「ほらほらどうしました?隙だらけです」
「「ぐあっ!?」」
受け流しながら双子へと的確に攻撃を当てていくユルトさん。魔法を撃とうとした一瞬さえも見逃さずにその魔法構成を把握し破壊していく。
まるで子供をあやすように丁寧に丁寧にその格の差を示すように。
「えげつないよユルトさん」
「術式破壊をあんなに簡単に行うなんてバカげてるわ、ほんとに」
開いた口が塞がらないミネアと僕。アルトネに至っては口を開けたままで止まっている。




