トイレのあれ
確かにミネアは体に魔法の鎧を纏って殴ったり武器を作って闘うからね。師匠も武器を色々使い回してたし。全部エグいくらい熟練されてて泣いたよね。徒手空拳でも強いし。
「それで?さっきから私たちの周りを回ってるこの光の槍はなに?」
「あ、これ?便利でしょ?自動防衛魔法の光の槍なんだ!魔物を感知して勝手に倒してくれる優れものなんだよ!」
奈落の谷を歩きだしてはや1時間。僕の展開した10の光の槍が、出てきた魔物をかったっぱしから倒していた。最初から出しておけばよかったよ!
「これ便利ですよね。上位魔法を圧縮してますから威力も申し分ありませんし」
「一家にひとりファンがいたら危険がなくなる」
そんな掃除機みたいな言い方しないでよ。まぁ、この剣は僕も便利だと思うけどさ。
「何の障害もないからもう着いたわね。ほんと、何それってくらい簡単にね」
「ここは嫌というほど走り回ったからね。慣れたものだよ・・・ていうかこれがダンジョンなの?」
目の先にある巨大な石造りの門。竜の模様がまるでアートのように彫ってある。あれ?ここダンジョンなの?
「みたいね・・・・これは指定ダンジョンレベルのヤバさしか感じないけど」
「私の住んでた所にはこの規模のダンジョンはなかった。この規模は国の指定ダンジョンだから厳重な管理下に置かれている」
指定ダンジョンとは、その名の通りにヤバすぎるレベルの魔物がたくさんいる所だ。しかし見返りは大きくそのダンジョンで手に入れた素材やアイテムは巨万の富を生むと言われている。
「あら?ここは・・・・」
「ん?なにユルトさん?知ってるのここ?」
「あぁ、いえ勘違いでした。新しいモノですし、ダンジョンに立ち入るのは初めてなので興奮していたみたいです」
絶対何か知ってますやん。首傾げてますやん!うーん、ここは万全の態勢で臨むべきか。
「とりあえず今日はここで休むんだよね?」
「そうね、中に入るのは明日にしましょう?」
「了解、ならちゃっちゃと作っちゃうね?」
ちょうど門の横にいいスペースがあるからそこでいいかな?
「はいっ!と、完成だね」
一瞬で作り上げたのはいつも作り上げる簡易的な家。今回は人が多いから二階建てだ。そこに防御結界を多重に張って空間を歪めて見えなくして完成。これが僕がサバイバル後半の終わりに編み出した安全策。遅い?いやだってこっちは必死だったんだって。
「もう、いいわ。中に入ったらいいのね?」
「思考は無駄。この半日でも悟る」
「まぁまぁ、安全な場所を提供してくれたんですから、ね?」
あれれー?皆が呆れた顔で家の中に入っていっちゃった。うーん、だって安全だよこれ?何かあったらすぐにわかるし。
「ここの作りは単純で、部屋が四つに浴室とリビング、キッチン、トイレがあるだけだよ」
家のなかは土属性の魔法て作り出したものに僕のイメージを固定したもの。その動作や機能は構築魔方陣が代替してくれる。これで今日から君も建築士だ!
「これ、全部魔方陣で機能を作り上げてるの?魔法コンロもトイレも感知式よね?知らないボタンもあったけど」
「あぁ、それはお水が出てきてキレイキレイなるやつなので驚かずに使ってみてよ」
この世界には魔法があり生活に根ざしている。しかし、昨今は利便性を求め科学への関心が高まっている。だがしかし、あれがなかったのだ。トイレに。僕のお尻の癒しがね。
「へぇ、いったいどこで覚えてきたのかは聞かないけど使ってみるわ」
「私も興味ある」
そのあと家に響いた絶叫。お分かりだろうか?注意はしたんです、きっと驚くと思って!しかし僕の抗議はむなしく、二時間くらい説教を受けることになったのであった。




