何かがズレテイル
「まぁ、この件はこちらからの依頼を一つこなしてもらうことで承認とします」
そう言って差し出してきた一枚の紙。そこには一つの依頼が書かれていた。
「実はここから少し離れた奈落の谷にダンジョンが発生しました。そのダンジョンの調査と攻略です」
「はぁ?それ本気で言ってるの?」
「これがギルド側の依頼です。わかっているでしょう?いくら神殺しの英雄の弟子でもまだ年端もいかぬ子供。そこに特権を与えようとすればそれ相応の成果が求められます。それとミネアの同行も許します。残る二人も特に実力の査定の妨げにはならないでしょう。そういうことです」
ミネアの表情に怒りが表れそれに合わせて黑が彼女の周りに揺らめく。このミネアを前にしても全く動じないとは恐るべしギルドマスター。
「仕方ないよミネア。師匠はそういうところあるし、何かあったんでしょ?大丈夫だよ!奈落の谷なら昔いったことあるから!」
「「は?」」
ん?ミネアも聞いてないのかな?師匠に無理矢理飛ばされたサバイバル場所に奈落の谷はあった。あれは修行が始まって六年目だったはず。あの谷に飛ばされたのは今でも忘れない。下位の竜種に追いかけ回された日々。
「絶対いつかあのおっさん泣かす」
「ファン、奈落の谷に行ったことあるの?」
「うん?うん、いやー師匠が下位の竜種くらいには慣れとけって。カルタさんの飼ってるドラゴンよりは小さかったり威圧が弱かったりで大したことなかったよ?」
僕の言葉にユルトさんを除く全員が目を見開いて固まっている。てかクスクス笑わないでよユルトさん。
「ふふっ、あの時は必死に殲滅魔法を漁っていましたね?それに魔法の滞空制御の習得もあのときでしたか?」
「そうそう、ひたすら火の玉の乱射と属性の槍を全属性30は常時展開してたね。アイツら一匹いたら五十はいるから質が悪いし」
まさに、G。どうやって繁殖してるのか謎なほどの勢いで襲ってきた奴らを徹底的に駆逐していたのはいい思い出だ。
「あれ、一応は迷宮氾濫だったんですけどファンには関係ありませんでしたね?」
「え?何か言った?」
「いいえ、なんでもありませんよ?」




