弾き出される?おはじきですか?
最初に色を知覚できない恐怖があった。
「こんにちは可能性世界の少年」
しかし恐怖はすぐに消え全てを思い出すのに時間はいらなかった。
「あなたは神様ですか?」
目の前にいるモノクロの生物に惹かれたのもあったかもしれない。それほどまでに彼女は美しかった。
「あはは、そう・・・・だね。私は神様と君たちが呼ぶ存在、君たちを管理する、という役割においてはそういえるかもしれないね」
困ったように笑う彼女に僕は見とれてしまっていた。
「これが恋か・・・・」
「あー、ありがとね?君みたいな選ばれた生命にそう言ってもらえると嬉しいよ」
その表情に僕は自分の発した言葉のバカさ加減にきづく。
「あっ、いやっ、ごめんなさい!いきなり失礼てした!」
「ううん、自分の造形がきみたち人からみたら整っているのはしょうがないしそこに好感を持つのは当たり前だから」
その言葉に僕は改めて自分の状況を確認する。
「その言葉から察するにやっぱり神様なんですよね?」
「正確にはきみたちの言う全知全能の神様ではないよ。そんな存在は在ることが不可能だからね。まぁ、神様という認識でも構わないよ」
「ならやっぱり、僕は死んでしまったんですね」
半分くらいよくわからなかったが、神様がいるなら僕は死んだということか。
「そうなるね、そして御愁傷様。あの世界から弾き出されることになって」
「?弾き出されるとはどういうことですか?」
「そのままの意味さ、君は、君という存在は魂という形をとってしまった。本来なら滅多にないことだけど、ちょうど君のいた世界は分岐点に立ちそして君は彼と近い場所に生を受けて死んだ。だからたまたま世界の意思に還れなくなったんだ。だって君、ーーー市の生まれ、そしてそこでトラックにはねられて死んでしまったんだろう?」
「起点となる人がいて、たまたま僕に影響があったということですか?」
僕の言葉に神様は優しい笑顔で頷きながら言葉を続ける。
「あぁ、そして君はあの世界たちから弾かれてしまった。だから君は人の可能性世界に還れない、彼の存在の見つめる世界で人の存在する場所はあの世界だけ」
「じゃあ僕はどうなるんですか?」
「君には私の世界、ルムアムルドへ行ってもらう。これは転生になってしまう、本来ならば世界とつながり世界へ還るはずの君を輪廻の楔へと縛ってしまうのは申し訳ない。しかし可能性世界以外は輪廻というシステムを使うのが一番楽なんだ、それこそ管理者には多くの部下がいるからね」
「ちなみに行かないってなると、どうなるんです?」
その言葉に神様はとても悲しそうな顔をして言った。
「消滅だね」
「行きます!」
聞いた瞬間即答していた。まぁ、ようするに転生だよねこれ、しかも異世界に。
「だからようこそ選ばれた生命、この選ばれなかった世界へ!私はこの世界の管轄、そして創った者。厳密には惑星自体は作ってないんだけどね?君には選ぶ権利がある。数多の英雄の力を、幾万の達人の技を、万象を見る眼を、その全てが君の望むままだ・・・・・まぁようはチートは要りますかってことだよん」
うーむ、選び放題?あれ?こういうのって大抵何個か決まってるんじゃないの?高校の友人は絶対にハーレムが作れるスキルが欲しいとか言ってたけど。