第一話
初めて投稿します。よろしくお願いします。まだ色々考え中です。
ガラケーというものをご存知だろうか?
ガラパゴスケータイ、略してガラケーで、所謂日本独自の機能が
搭載されている携帯電話である。
例えば電子マネー機能やワンセグ機能などである。外国で売られている
携帯端末ではほとんどそのような機能は搭載されていない。
ガラパゴス諸島にはその島にしか生息しない動物が多数存在している。
だから「ガラパゴスケータイ」と言われているのである。
しかし今日において、普及している携帯端末というとスマートフォン
がポピュラーであり、ガラケーは日に日に影が薄くなりつつある。
この物語は、そんな中でもガラケーを使い続けるある一人の若者の物語である。
「お疲れ様でしたー」
俺はだるそうにそう言い、タイムカードに手をかける。
今日も残業か、疲れたし、早く帰ろう。
「おいおい、待ってくれよ羽鳥くん」
小太りの男が追いかけるように帰り支度をしている。
髪は天然パーマがかかっていて、目が悪いらしく、分厚いレンズのメガネを掛けている。
そう、この男は俺の同僚、亀井康史だ。
俺の唯一人の同僚であるために、付き合いが長い。
実際はもっと同僚がいたのだが、亀井以外辞めてしまった。
そのため、こいつには仕事を手伝ってもらったり、相談相手になってもらったりと、色々世話になっている。
「早く来いよ、亀井」
「だって君片付けるの早いんだもん」
「お前が片付けるのが遅いんだろう」
「そんなあ」
そんな会話をしつつも、亀井は片付けを終わらせ、俺と一緒に帰路に着く。
「いやあ、やっぱり羽鳥くんが知っているラーメン屋さんは当たりだね、美味しかったよ」
「そりゃどうも」
「じゃ、また明日」
「おう」
俺と亀井はラーメン屋で食事を済ませ、そのまま別れた。
お互い酒は家で飲む派なので、居酒屋にはあまり行かないが、ラーメンが好物という共通点があるので、たまにこういう感じで一緒に食事をするのだ。
俺は会社から徒歩で10分ほどのマンションに住んでいる。電車通勤もすることなく通勤は快適だ。
そして俺はいつものように帰宅する。今日も疲れた。すぐ寝よう。
「ん?」
ふと携帯電話を見てみると、メールが届いていることを知らせる着信ランプが付いていることに気づく。誰からだろう・・・
俺はどうせ迷惑メールだろうと無意識にメールを削除しようとした瞬間、タイトルに書いてある文章に気づく。
From:zwpychrsk2adr8i@coolmail.com
To:wingbird063@imail.com
day:2030/6/7 20:47
Title:孫へ
「孫へ・・・ってもしかして爺ちゃんか?いや、もう爺ちゃんは死んでるわな」
俺の祖父、総一郎は、今から15年前、つまり俺が小学生の時に亡くなった。もうあまり詳しくは覚えていないが、俺の勤めているアイランド社の携帯電話の開発に関わっていたらしい。
まあ別に、爺ちゃんに憧れて入社したわけでは無いのだけれど、少なからず影響はされていたかもしれない。
「メールアドレスもなんかメチャクチャだし、胡散臭いけどなんか気になるなあ」
そう言いながらも、結局俺は本文を開く。
そう、これがすべての始まりだった…