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鮮血の街

眠かったので普段よりぐだぐだした気がする。

編集したので大体通常通りに戻ったはず。

普段からぐだぐだだけど。


番外編更新しました。シリーズより閲覧可能です。この作品を見てる方が居て下されば、の話ですが…

黒い粉塵が集まり、固まり合う時、その物体の正体を理解する。気体か固体かの区別すらつかないような奇妙な肉体を持つ、人型のそれは屈強な身体付きをしており、指先には爪のような鋭く尖ったものが付いており殺傷力の高さを誇示している。顔のパーツは大きく裂けた口しかない。時折、体を様々な色の小さな稲妻が身体の上を奔る。魔物だ。ファンタジーの世界とは勝手が違うが、こんなナリをした生物が家畜やペットの訳が無い。滾る怒気が大気を震わす。


「……な、なんだよ…なんなんだよこれ…」

目の前に現れた「バケモノ」は存在しない目でひたと日向を見つめていた。口から漏れる吐息はどす黒く、肉が焦げる臭いがした。他の煙もこの魔獣に変化したらしく周りの人々が逃げ惑う声がする。かつての平和は既に失せ、火の手をもあがる災害となって幾度も街に襲い掛かり続けた。


日向は現れたバケモノに背を向けて走り出す。現在の状況を理解出来ないまま、真っ赤な街の中を立ち止まること無く、振り向く事も無く。

後ろから例の雄叫びが響く。実感の沸かなかった恐怖が、今になってどろどろと臆病な心から溢れ出してくる。走り疲れてない筈なのに呼吸が乱れる。滝のように流れ出る冷汗が時折目に入りしみる。内臓がよじれるようだ。市場の入口にある広場へ差し掛かる時、生暖かい飛沫が顔に掛かった。


反射的に横を見た瞬間、日向の足は自然と止まった。『見なければ良かった。』

まさしく、この表現が当てはまるだろう。


丸太のようなバケモノの腕で薙ぎ払われ吹き飛び宙を舞う男性の上半身。


撒き散らされた四肢と赤黒い花弁。


頭蓋骨のへこんだ母親を揺り起こそうとする少年。


絵具をぶちまけたようにタイルを流れる赤が、城下町を包む赤に反射し、死臭でむせかえる光景が、網膜にじりじりと焼け付く。


わなわなと身体から力が抜け、膝をつき

胃袋をひっくり返す。しかし漏れ出たのは、嗚咽と透明な胃液だけだった。よろよろと立ち上がろうと力を入れかけたその時、斜め後ろで金属同士が噛み合った音がギンと轟く。


咄嗟に振り返ると、両手で非常に広刃なシミターを必死に握り締め、魔物の一振りを受け止めている、四十代の男がいた。


「馬鹿!早く、っお、逃げろ!」


息も絶え絶えに叫んだ男に急かされ、ようやく立ち上がる。魔物は両手でシミターの刃を、へし折ろうと掴みかかっている。


「あ、あ…」

ありがとうございます。の一言すら出てこない。何が異世界で俺TUEEEEだ。ふざけるな。目の前で人が死に続けるのを見てるだけじゃねーか。今だって、足がすくんで動けないじゃないか。他人に迷惑をかけておきながらこのザマか。


立ちすくんだままの日向が見たものは、人間の凄まじい生への執着心だった。


男は掴まれているシミターを真下に引っ張り、魔物の手から命綱を引き抜き、飛んで来る乱拳をシミターの広い刃を使って受け止める。何発も食いこむ拳が、男をじりじりと押し切ってゆく。凄まじい衝撃が男の肩を襲う。苦痛に表情を歪ませながら、後ろに大きく跳躍して体勢を取り戻す。ずきずきと痛む肩に気が滅入りながらも、強靭な脚部を隅々まで使い飛び掛る魔物に意識を引き戻す。


刹那、魔物の腹部中心には深々とシミターが突き刺さっていた。血液が吹き出すことはなく、魔物の周りの謎の粒子の量が増えたのみだった。振り降ろされようとしていた腕はだらんと垂れ、男の腕を削ぎ落とすことは無かった。そのままの状態で男はしゃがみながら反対方向を向き、剣を振り下ろす。結果、男のシミターは魔物の腹部、胸、頭部を切り裂く事となる。男の正面にシミターが戻ってきた時には、高濃度の黒い噴煙しか漂って居なかった。


「あ゛ぁ……絶対脱臼したわ、肩…」

シミターを鞘に戻しながら男は呟いた。

続けざまに男は日向に呆れながら語り掛ける。

「さっさと逃げろっていったろ?おじさんもう歳だから、あんまり無茶すると筋心梗塞でぽっくり逝くかもなのに……」


「すいません…助けてくださって、ありがとうございます……」


はぁ……グロテスク過ぎる…今はお礼なんか言ってる場合じゃないんだったなぁ……やべ、なんかまた吐きそう……気分が、…わ、るい…


真っ青な顔をして気を失った日向を見た男は、しぶしぶながら日向を担ぎ上げ、痛い痛いと唸りながら走り始めた。まだ辺りをはびこる魔物に捕まらぬように。真紅に染まり切った街から逃げる為に。




意識が戻ると、日向は薄暗い石畳で寝ていたことに気付く。石で出来た階段の上の堅牢そうな樫で作られた戸はしっかりと錠前が掛けられており、パチパチと爆ぜる松明や、苔むした岩の壁、その隣に長々と薄暗い洞窟が広がっている。酷い頭痛に悩まされながら立ち上がるとき、近くから消え入りそうな吐息が聞こえてくる。見ると、血にまみれた白髪の少女がぐったりと倒れていた。



アイザワ ヒュウガ

『藍沢 日向』


「ジョブ」:無職


体力:12

魔力:0


筋力:レベル1 耐久力:レベル1

俊敏性:レベル1


「スキル」:『器用貧乏』

恋愛系を表現するのが苦手です。





大体文章作るのが苦手です。

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