第2話 その5
赤城ミサトはパソコンに向かい合った。
[結構、挙がってるのね。被害って。その中でも例の会社は…………無いなー。何でだろう。何か手掛かりは無いのかなー。こんなんじゃ無駄足じゃない?きっといじってるのよ!上手く消してるんだわ。行ってみる価値は有りそうね。行くわよ!バディーちゃん。来なさい]
ミサトの姿が変わる。紫のレザースーツに水色のライン。紺のヘルメットにピンクのクマを脇に抱いて霞の中からアカツキが現れる。
[バディーちゃん。奴等のセキュリティーがあるポイントまでは遠いの?][ザヒョウ、ダシマス][ありがとう。ヘルメットに転送して][リョウカイ。テンソウ。カンリョウ][来た来た!近いわね。意外と。跳ばしますか]ヘルメットを被り、赤とシルバーのバイクに股がる。
[ポイントロックオン。オート移動システム起動!私をそこに連れていって。行くわよ!バディー!]
虹色の煙を上げてアカツキは走り去る。
キーッ。ドルドルドルドル。
[着いたわ。さて、破壊して制圧しますかね。このポイント]丸いプレートの上に天高くそびえ立つ塔。それが出会い系サイトのセキュリティーだった。
[侵入者発見。追撃する。行け!ピット共!侵入者を返り討ちにするのだ!]
パッパッパッ。倉庫から丸い球体の1つ目ピットが起動する。無数の赤い光を放ちピットは舞い上がる。
[タダじゃ通させてくれなそうね。上等じゃない?応戦するわ。ガトリング!セットアップ!]バイクの後部座席が2つに別れる。座席はタイヤの両サイドにくっつき四角いミサイルポッド通称、ガトリングに変形する。
[バディーちゃん。お願い。防具に転換して][リョウカイ。ブソウシステム。リミット。カイジョ]ピンクのクマは鎧に変形しアカツキにまとわりついた。[行くよ!ターゲット指定。ピットを落として!道を空けて!]
アカツキとピットの銃撃戦が始まった。爆風の中、バイクの機械音とステアリングがこだました。
[余裕ね。楽勝だわ。ある程度片付いたらわね。さてお邪魔するかな]
[ピットが全滅しました。奴を解禁します][わかっていた。切り札を試す時が来たのだ。セキュリティーを守る究極の機械生命体。ガーディアンノバ。出撃せよ!]
[動いたか。奴め。アカツキ一人では勝てん。私も行くか]
セキュリティーに近づくアカツキ。[さて、どう料理しますかね?一気に畳み掛ける?]
プシューッ。ズガン!地下から黒く四角い金網が競り上がる。
グシャーン!金網の中から誰かが出てきた。
[誰?貴方は][ガーディアンノバ。このセキュリティーを守る為に造られた機械生命体だ。侵入者よ。立ち去れ][アラ?そうは出来ないわよ。コレは人間のエゴ。無駄な物。出会い系サイトで人身売買をしてるのよ。そんなシステム要らない。破壊しなくちゃいけないの][しょうがない。止めてみせよう。奥義!ランドウオール!]大地が壁となり四方を包む。
[ウッ…………動けない。囲まれた。進めない]ガーディアンノバは飛び上がり上空から襲う。
[来い!ランドスピア!奴に止めを!][危ない!アカツキ!左へ避けろ!][ヘッ?左?わかったわ][ヨシ。幻惑滅殺!消え失せよ!]
大地の壁が消える。[行け!奴はワシが相手をする][アッ………ありがとうございます。誰かは知らないけど。これで進める]アカツキは急いでセキュリティーに近づく。[何者だ!お前は!][ガーディアンノバ。造った主の名も忘れたか?愚かな。ワシは悪事の肩を持つためにお前を造った訳では無い!][何者だ?奴は?調べよ!][わかりません。あれはデーターでは有りません!][何だと!そんな者がネット社会に居る訳が無い!]
アカツキはセキュリティーにたどり着いた。[爆破する。跡形も無く。それが世直しだから。汚れたネット社会を排除する。それがステラ舞台の役目だから]
激しい爆風と共に塔が崩れ落ちる。[キッサッマー!許さん!ウゴーッ………消える!関連システムが全て!]
[よくやったな。アカツキ][ありがとうございます。貴方の助けが無ければ終っていました。お名前は?][スモーキーガンナー。君達ステラ部隊の創始者さ。いずれまた会おう。機会があればな。まあ無事で何よりだ。ジャー帰る。お前も長居はするな][アッ…………待って下さい。教えて下さい何故、日本政府はこのステラ部隊を創ったか。教えて下さい][それは君ら各地に散らばるステラ部隊の行く先で決まるのだ。正義にも悪にも。我々はきっかけに過ぎん]スモーキーガンナーは霧の中に消えた。
部屋に戻りシャワーを浴びるミサト。
…………創始者スモーキーガンナー。彼もまだ旅の途中なんだ。自分達の造ったステラ部隊。それが正常に作動しているか。常に見られていたの?…………
出会い系サイトのタナベ。セキュリティーシステムの爆破。ミサトとアカツキの長い一日がおわった。
続く