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心の扉

作者: アルファン

私は、人格をいくつも持っている

それは多重人格とかそんな立派なものではない

社会に適応するために作り出した人格だ

本能を扉の向こうに締め出し

私は今日を生きている。


あなたの扉はどんな扉だろうか?

厚い鉄の扉だろうか?

それともスケルトンな薄い扉だろうか?

そこに理性という番人は立っているのだろうか?


私の本能は小さな子どもだろう。

その子が扉を終始叩き

扉を開けるよう叫んでいる

その子が扉を叩くのをやめた時

私はひどく精神的に疲れる

私がひどく落ち込んでいる時は

あの小さな子どもがいじけている時なのだろう


時々私は扉を少し開け

本能に今の自分を見せる時がある

少年は興味津々に私のことを見ているが

ひどく哀れんだ目で私を見てくるだろう

たまわず私は扉を閉める

そうしたらまた子どもは扉を叩き

私はひどく疲れる一日を送るだろう


ならなぜ開けるのか?

私にもわからないのだ

こうなることがわかっているのに

私はたまに扉を少し開き、子どもに自分を見せている

しょせんは作られた人格ということなのだろうか


彼を締め出す必要性は?

彼は醜すぎる

彼は子どもすぎる

私は彼が許せない

だが主導権は彼が握ったままだろう

いつまでも そういつまでも


もし、彼を受け入れてくれる人物を見つけたら

私は非常に安心する

扉の鍵を締めることも忘れるくらいに

彼のいままでにない笑顔は

私に幸せを思い出させてくれる


しかし、また扉を締める時が必ず来る

その時彼は必ず泣き叫び、扉を壊そうとする

私は非常に疎ましく、憎しみさえ覚えるだろう

だが、忘れてはいけない 主導権は彼にあるのだと


もし扉など無くし、私は彼を見守るだけだったら

どんなに素晴らしいことだろうか

私という存在が無くなることは悲しいが

彼の生き生きとする姿を見ることが

どんなに素晴らしいか 美しいか


しかし、現実は非情だ

私は今日も彼を扉に押しこめ鍵をかける

彼はいつも通り扉を叩き叫ぶ


そう、私は一種の飼育員なのだ

成長することのない主人の召使いなのだ

納得はいくらでもする

だが、間違ったことに私にも感情が宿ってしまっている

忘れてはいけない 主導権は彼にある


私と彼が一体化するなんてことはありえないが

共存することは可能ではないか?

必死にその方法を自分に課せられた義務をこなしながら

その事を考えるが、不快な音を聞きながらでは到底ムリな話である


我々はうまく付き合っていくしかないのだ

私たちは憎しみあいながらも日々を生きていく

ただ、今日は私の意志で扉を少し開けてみた

彼はいつも通り顔を少し覗かせるだろう

日々の日常は無限にあるわけではない

私が主導権を握る日も訪れることはないだろう


彼(彼女)は非常に可愛く、愛らしい存在

あなたはそれを否定しすぎるのだ

その決して成長することない子どもだって

学習はするのだろう?

扉を少し開けてみよう

がんじがらめの扉ではその子は顔も出せない

歓喜の歌が流れ、扉が開かれた時

あなたの作り出した一つの自分は

それを見ることに耐えうるだろうか?


覚悟しなければならないが

それは素晴らしい出来事だということを

あなたは知らなければならない。

作る扉は心のままに

”あなたの扉はどんな扉ですか?”

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