加害者
――都内某所にて、女子中学生監禁殺人事件発生。事件は犯人自らの出頭により発覚。
警察が容疑者の家に駆け込んだところ、室内に刺殺体を発見。死因は失血死。鋭利な物で頸動脈を切ったと見られる。
身元確認の結果、被害者は容疑者のアパートの向かいに住む、鈴村頼子(11)と確認された。
被告人、真田弘(23)
精神鑑定正常値。
被告が書いた2冊の手記が見つかっており、以前より被害者に対し、ストーカー行為を行っていたとわかっている。
しかし、事件発生前の約2ヶ月が書かれた3冊目の手記が未だ見つかっていない。
法廷内で遺族を罵倒。反省意志は見受けられない。控訴の意志なし。
被告人の執着は異常且つ悪質で、振り向いて貰えない末の身勝手な犯行。
裁判の判決は、検察側の求刑通り死刑。
前例も少ない極刑だった。
判決後1年、ひっそりとその刑は執行された。
今年も2月を迎えた。
身を切る様な寒さを肌に感じつつ、私は引出から小さな手帳を取り出した。
毎年この時期に読み返す小さな黒表紙の手帳。
購入して日が浅かったのか、汚れもない。捲った一頁目にはNO.3と書かれている。
手帳は2ヶ月程しか埋められていない。
それでも、書き手を知るには充分だった。