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筆だって自分で文字が書きたい~人になりたいのに、異世界で神にされました。~  作者: 嶋田愛那
出会い~江戸編

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相談屋お筆は仲間に出会う



「犬も歩けば棒に当たる」ということわざがある。

しかし飼い主である商人は、「彼も歩けば(あやかし)に当たる」と言わんばかりに妖を引き寄せてくる。

そのくらい、この商人の「憑かれる(好かれる)」体質はおかしい。



わたしがそう気付くのに、さほど時間はかからなかった。



猫又は上方(かみがた)からの旅の際にはもう気付いていたという。

さすがである。



わたしは最初、気付くことができなかった。

というか、妖がみんな集まっている自覚がないのである。



はじめは鈴との出会いだった。



商人が「お筆ちゃぁん、新しく買ってきた鈴でちゅよぉぉ」と言ってわたしに飼ってきた鈴と組みひもを使って首輪を作ってくれたとき。

首輪なんて少々うっとうしいが、商人がせっかく用意してくれたのだからと大人しくつけられていると、ふと違和感を覚えた。



『よぉ、あんたも妖かい?』という念が聞こえてきたのだ。

ずいぶんとしぶい念をしている。



どこから念がするのかと思って見回す。



『こっち、お前さんの首元だよ』



驚いたことに、なんと自分の首にある鈴からであった。



『おれは鈴のつくも神さぁ。あんたは最近ここらにいるってぇ猫又かい?』


『ああ、わたしは筆のつくも神ですよ。猫又さんはうちの店の近くにいらっしゃいます』


『ほほぉ、筆が猫になるたぁ聞いたこともねえ!世の中っつうのは広いもんだなあ!』


『わたしも、自分以外のつくも神に初めてお会いしましたよ』



お互いびっくりしたのはいい思い出である。



わたしの首についているということで、わたしたちは頻繁に語り合った。

いつどこで生まれたのか、ここまでどういう人間や妖に出会ったかなどが話し終わると、今度は江戸やこの店の話になった。



たとえ他愛ない話であったとしても、同じつくも神同士で息が合ったのか、とても楽しく会話した。



話を聞くと、もともと鈴は小物についている鈴であったが、いろいろな人に売られるうちに時には財布につけられ、時には扇子につけられ、と形を変えてきたらしい。

それでも鈴であることは変わらないと思ったとき、妖になっていたのだと語った。



しかし、まさか自分が首輪の鈴として猫につけられ、あまつさえその猫がつくも神の化けた姿だったなどと、誰が想像できただろうか。



そう聞くと、わたしもこれは運命的な出会いなのではないかと感じられた。





しかしすぐに、そうでもないかもしれないと思った。





あるとき商人が、 「お筆ちゃんのために奮発した(くし)だよぉ~」と言ってべっ甲の櫛を買ってきた。

わたしは猫の姿の毛並みはそこまで気にならないのたちなので、正直別にいらないな…と思いながら櫛で毛を整えられていた。



『…筆よぉ、お前さん、嫌なら嫌って言えばいいんでないか?』


『いえ、そこまで嫌ではないんですが。時々うっとうしくなりますねえ』


『そりゃそんだけ大事にされてりゃあなあ。べっ甲の櫛なんて、猫にはまず使わない代物だぜ?ずいぶんと愛されてるねえ』


『その言い方やめてくださいよ鈴さん…』


『あらぁ、なんだか楽しそうな話をしてるわねえ。あなたたちも妖なの?』


『そうですよ。どれだけ大事にされているとしても、わたしは妖なのですから』


『そうさなあ。この商人も、まさか目の前でこんな会話をしているなんて思ってもないだろうよ』


『そうなのねえ。あなたたちはどんな妖なの?』


『どんなって鈴さん、わたしが筆だって話しませんでしたっけ?

…ん?』


『どんなっておめえさん、おれが鈴なのは一目瞭然だろうがよぉ

…あ?』




『『…えっ』』




ふたりして、いやふたつして固まっていると、ころころと笑い声が聞こえてきた。

猫又が化けたあの人間のような笑い声だった。



『あらぁ、やっと気付いたのね?ふふ、びっくりさせちゃったかしら』



念話に乱入してきたのは、そのときわたしの毛を整えていたべっ甲の櫛であった。



そんな出来事があって、わたしと鈴、櫛はとても仲良くなった。

時々店に来る猫又はそんなわたしたちを「つくも神三人衆」とか呼んでからかっていた。



櫛は猫又とよく話すようだった。同性同士で気が合うのだろうか。

櫛に性別があるのかは不明だが。



そのあとも商人の快進撃(引き寄せ体質)は続いた。



仕入れる商品には必ずといっていいほど妖が交ざり。

使う道具はだいたいがつくも神だ。



しまいには、



『なんでえ、きなくさい気配がすると思ったら狐よ、おめえさんもいたのかい』



『あら狸さん、きなくさいとは失礼ですねえ。あたしだっておしゃれくらいしたいんですよ』



店に訪れる客までにも妖が交ざるようにになってしまった。





『はは、この店は妖が多くて居心地がいいなあ。なあ?筆、櫛』


『…鈴さん、櫛さん、これって大丈夫なんでしょうか』


『どうやらこれが商人さんの体質のようですねぇ。こんなに妖を引き寄せるのに、本人が気付きもしないとは不思議なことですよぅ』


『まあ商品としても客としても、こんなに妖にひいきにされているんだ。あいつの店は末代まで安泰だろうさ』



それならいいが。

しかし、人間ひとりがこんなに魑魅魍魎(ちみもうりょう)に囲まれたら、邪気にあてられて具合が悪くなりそうだ。

大丈夫なのだろうか。



もっとも、その囲んでいる魑魅魍魎の1つがわたしなのだが。



そんなこんなで、わたしは普通の店の看板猫から、妖が集まる店の看板猫になったのである。




私事ですが、昨日DSでポ●モンプラチナはじめました。

草むらに入ったらいきなり色違いポニータに出くわしました。

今年の運使い切ったかもしれない。どうしよう。

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