1.上杉龍也と七不思議
「七不思議の特集?」
上杉龍也は新聞部の特集を見て訝しげな表情をした。
「ただいま新聞部では春日山高校七不思議の特集をしています。七不思議に心当たりのある方は新聞部に協力してください」
新聞部部員、上條メグは龍也に取材の協力を訴えた。
「……悪いけど怪談に心当たりはないな」
龍也は怪談に心当たりがないことをメグに伝えた。
「そこをなんとか!」
「そうは言われても……」
「ところで上杉さんのお母様が最近グリークラブに入団したと風の噂に聞きましたが」
「……なぜ知ってるんだ」
龍也はメグに訝しげな視線を向けた。
「とにかく、七不思議特集に協力してください」
「……わかったよ、七不思議特集に協力するよ」
こうして龍也は七不思議特集に協力することになった。
「しかし、七不思議特集のネタになる話は持ち合わせてないぞ」
龍也は七不思議のネタを探して歩いていた。
「どうしたの、上杉くん」
すると上杉龍也を見かけたのか錫川若菜が駆け寄ってきた。
「実は新聞部の上條が七不思議特集に協力しろって言ってきて」
「なるほど……七不思議のネタを探しているんだね」
「……でも、七不思議のネタなんてないぞ」
「私は春日山高校七不思議のネタを持ってるよ」
「錫川さん、本当かい?」
「夜の校庭を二宮金次郎の銅像が歩き回ってるらしいの」
「あぁ……よくある話ね」
そこで若菜は真面目な表情になった。
「でも、それって変な話なの……」
「変な話って?」
「……ウチの高校には二宮金次郎像なんて存在しないの」
龍也はそこでズッコケた。
「なんで存在しない二宮金次郎像が走り回ってるんだよ」
「……恐ろしい話でしょ」
「別の意味で恐ろしい話だな」
結局、この話は保留にすることにした。