第2話 災厄は唐突に。
どこにでもあるような大地の上に迷宮が現れて早数千年。
何も無い土地は旅人達に開拓され、冒険者が集い、そこに商機を見出せば商人が集まり、あれよあれよと、そこに村が出来。町が出来。
長い時間の経過により、迷宮により繁栄が起きたと思えば、迷宮により滅び生まれたり、そして再生と繁栄、滅び、また再生と幾度も繰り返しの流れがおき、現在にいたる。
ここは迷宮都市パンドラの箱。
文字通り、繁栄もあれば、滅びも起きる地獄の玩具箱である。
迷宮都市パンドラの最南端にあるスラム街。
そのさらに奥の薄暗い先に、旧パンドラの市街地があった。
以前は繁栄していたであろう、町並みには草木があちらこちらに生えており、ある種の芸術的な作りをかもし出しているここに、呪物専門店がある。
専門店とは程遠いような、薄暗い怪しい店だが、そこは迷宮で手に入った呪われた品を買い取ってくれる唯一の店でもあった。
また、店主は黒いローブを頭から被り顔すら見せないという徹底振りの怪しさから、暗闇の商人とも、暗闇の魔法使いとも言われていた。
前者は得たいの知れない怪しい商人から言われており。
後者は……そう、何故か怪しいはずなのに怪しまれないのである。
人の心に付け入る隙間を何かしらの呪物で補っているのでは?
と、ここを通う冒険者の間では噂されていたりしていたが、そこで興味がとまる。
それでも、ここを利用する冒険者は絶えない。
何故なら、呪いのある品々を買い取る人物は、ここ以外に存在しえないからだ。
それは何故か?
迷宮から見つかる呪われた品々が、それだけ常軌を逸脱しているからかもしれない。