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第一章09『返したいもの』

 




 顔はハンカチで済んだが、さすがに全身まではどうにもならなかった。


「すまない。更衣室と予備の体操服まで貸してやりたいが……よりにもよってこんな時に更衣室は改装中で、服も全て貸し出し中だとは……」


 申し訳なさげに眉を寄せる少女は、「そうだ」と何か思いついたように、


「私の体操服でよければ貸そう。大丈夫、洗ったばかりだ」


「いやいやいや、マジでそれはいいって。女性の服を借りるとかハードル高ぇ」


「安心してくれ。私は気にしない」


「俺が気にするよ……!」


 いくらなんでも気にしなさ過ぎだ、この少女は。

 ここまで親切だとむしろ怖くなる。


「俺にはハンカチだけで十分過ぎるくらいだよ。マジで助かった、ありがと」


 本当に、言葉だけでは伝えきれないほどにありがたかった。

 ハンカチを貸してくれただけでも救われていたのに、少女はもう二度とフェグルスに水をかける無礼者が現れぬよう、彼が顔や頭を拭いている間ずっと隣に立ち、周囲に目を光らせてくれていたのだ。


 庭園の中でも日当たりのいい一角。そこを陣取るフェグルスは、水が染み込むハンカチをどこで乾かすか考えながら、


「こっちこそ汚して悪い、ハンカチ。しっかり洗って返す」


「そこまで気を遣わなくてもいい。ほら」


 何が「ほら」なのか、少女はフェグルスに掌を出した。「?」とフェグルスは少女にハンカチを返すと、彼女は濡れたハンカチをギュッと絞って、


「あぁ……!」


「む、どうした」


「いや……そんなギュッとしたらシワが付いちゃうだろ」


「……? 心配ない、ハンカチなどいくらでもある」


 グシャグシャのハンカチを、彼女はそのままポケットに突っ込んでしまう。

 なんという雑さ、せめて乾してからじゃないとシワだらけに……。変に神経質、フェグルスはポケットの中でシワを刻むハンカチに思いを馳せる。

 が、当の少女はハンカチの事など微塵も気にせず、


「……先程は本当にすまなかった」


「ん?」


「申し開きのしようもない」


 重たい声を出す。


「彼らの醜態は私の責任でもある。本来、我が校の生徒を正しく導く事が、『生徒会』の(おさ)たる私の務めだ。それを成し遂げられなかったのならば、そこはやはり私の責任だ」


 叱りつけるような語気でそう言うと、彼女はフェグルスの顔を覗き込み、


「水をかけられる以外にも、色々と嫌な事をされただろう?」


「え」


 言い当てられ、フェグルスは咄嗟に声を上げてしまう。

 嫌な事……されたかと訊かれれば、まぁもちろん―――




「なんで魔法も使えない奴がここにいるんだよ。出てけよ」「ちょっと! 近付かないでよ! 汚れるじゃん!」「このゴミ捨てといてー」「お前みたいな役立たずの給料も俺らの授業料から払われるとか、最悪かよ」「ちっ」「なんでアナタみたいなのがここにいるのよ? 理解できないのだけど」「なんでこんなの雇うわけ? 普通に魔法使い雇ってよ。ここ魔法使いのための場所だし」「お前がいるせいでこの学校の格が落ちたらどうすんだよ。責任取れんの?」「当たり前みたいにここにいるなよ。この校舎に足を踏み入れる罪悪感とかないわけ?」「誰だよお前を雇おうとか思った奴」「邪魔、どけ」「はあ? 最悪なんですけど」「魔法が使えないとか普通に努力不足だろ? 自分のせいじゃん」「親がかわいそー」




 ―――されたし、言われた。

 が、それを素直に「はい! されました!」と言ってしまうと、なんだか見当違いな八つ当たりをしているみたいな気がして……。


「……あんま自分とこの生徒、悪く言うなって」


 咄嗟に誤魔化した。


「心配しなくても大丈夫だよ。俺は別に何もされてねえから」


「なるほど。……貴殿は嘘が苦手なようだな」


 普通にバレた。

 なんなら嘘が苦手な事までバレてしまった。


「すまない。初めから私がいれば何の問題も無かったのだが、急に『執行部隊』の仕事が入ってな。魔獣の討伐自体はすぐに終わったのだが、被害の報告に手間取ってしまった」


「謝る事はないだろ、あんたが俺に何かしたわけじゃないんだし」


「そう言ってくれるのはありがたいが、事はそう簡単ではない。これは学校全体の責任でもある。そもそも本来、貴殿のように学外からの使用人を雇用する場合、私の方にも知らせが来る手筈になっていたのだ。しかしそれが無かった。私が貴殿の事を知ったのはたった今だ。これは立派な大問題だ。……さては、わざと私に黙っていたな? あの老いぼれ共め」


 少女は眉間にシワを寄せ、明確な怒りを露にしてみせる。

『あの老いぼれ』がどの老いぼれかは知らないが。


「貴殿に水をかぶせたあの馬鹿共は、私が後で教育しよう。もう二度とこのような事はさせまい。が、今の今までそれを怠っていたのは私の落ち度だ。……困っている事があれば何でも言ってくれ。何の詫びになるかも分からんが、持てる力の全てを尽くそう」


「…………」


 そこまで言われてしまうと、フェグルスも困惑するしかなかった。

 一体何をそこまで背負おうとしているんだ? 彼女は。セートカイの長というのがどういう立場なのかは知らないが……見ず知らずの男が水を浴びせられたくらいで、申し開きだの詫びだの。

 というか、水を浴びせたのは彼女でもないのに。


「そこまでしなくてもいいって。何でもかんでも自分のせいってんじゃ、体がいくつあっても足りねえだろ」


「む」


「つーか俺、なんともねえから、こんな水」


 ビチョビチョに濡れて体に張り付いた服を、フェグルスはバサバサ煽って風を通しながら、


「助けてくれたの、ホント感謝してる。ありがと。あとハンカチも助かった。だから責任とか詫びとか、そういうのは無しだ。あんたがそこまでする事ねえって」


 本心を言ったつもりだが、それを伝える己の口は、どうにもぶっきらぼう。

 なんとなく、彼女の親切心を突き放しているような響きが出てしまって、


「ぁいや……別に鬱陶しいとかじゃないんだ。その……誰かに何かをしてもらうのって、俺、ちょっとだけ苦手で……」


 果たして、伝えたい事はしっかり伝わったのだろうか。少女は一瞬きょとんとした顔で目を瞬かせ、そして、


「ふははっ。気を遣わせてしまった」


 何が面白かったのかは分からないが、そう言って笑ってみせた。

 その笑い方すら、歴戦の勇者のような雄々しさがあった。

 まるで、物語の主人公みたいな少女だった。


「貴殿がそう言うのなら、私はもう何も言うまい。……しかし責任云々は別にしてもだ。貴殿とて何度も水を浴びせられるのは御免だろう」


「そりゃあ浴びないに越した事はねえな」


「ならばせめて、貴殿の身を守るくらいはさせてくれ」


「え? ……いや、ホントに大丈夫だぞ?」


「そうもいかん。誠に恥ずかしながら自覚した。こんな時代になってなお、我が校の道徳意識は地の底にあるらしい。再び貴殿に水を浴びせるような馬鹿が現れるやもしれん。……なにより」


 少女は、レイピアのように鋭い瞳をフェグルスに向け、


「貴殿のような者が不当な扱いを受けるのは心底我慢ならん。……次の清掃場所へ向かう最中だったのだろう? 本日の業務はどれほど残っている?」


「次の清掃場所で最後だけど。とりあえず今日は」


「把握した、ならばそこまで案内しよう。清掃中も私が見張りにつこう。さすれば誰も貴殿に手出しはできまい」


「……そこまでは悪いってマジ。あと俺、今こんなだし」


 ビチャビチャになった服を引っ張ってみせて、


「乾くまでもうちょい待たなきゃいけねえから、余計に時間食っちまう」


「構わんさ、いくらでも食うといい。ちょうど私も暇だった」


 嘘をつけ。学校にいるのに暇だなんてあり得るか。……とかツッコもうとしたフェグルスだったが、


「気を遣う事はない。これは私なりの誠意だ」


 ツッコむ前に、少女が言う。やはり鋭く突き刺すような声だった。

 そこまで真っすぐな誠意を見せられると、気を遣う事すら失礼に思えてくる。


「…………」


 誰かに何かをしてもらうのは、やはり慣れない。

 ハンカチを借りるのも、身を守ってもらうのも。


 差し出されたものは受け取るのが礼儀なのだろうが、しかしこんなにも真っすぐに、『差し出された』というより『突き出された』ような優しさを―――それも初対面の人間からどう受け取ればいいのか、一瞬フェグルスは分からなくなって、


「む?」


 そんな戸惑いが、おそらく少女にも伝わったのだろう。


「ああ、そうだな。素性も分からん奴にあれこれ言われても信用ならんだろう」


 勝手に何かを納得し、少女は右手を差し出してみせた。


「聖プリエステラ魔法学園・生徒会長、ツクモ=アラン=シュヴァリエだ。『執行部隊』の討伐部隊長も務めている。よろしく」


 彼女は名前まで差し出してきた。

 本来なら、対等な者にこそ差し出すべきものを、ただの清掃員に対して。


 貰うのも、受け取るのも、未だに慣れていないフェグルス。

 でも、ここまで色んなものを差し出されておいて、今さら受け取れないとは言えるはずもなかった。


 一人で生きていくと決めた誓い。

 誰とも関わらず、自分一人の物語を生きていければそれでいいと言い聞かせ続けた日々。

 それを裏切る形になってしまうけれど、


「……俺は、フェグルス」


 目の前に差し出された手だけは、どうしても振り払えなかった。


「ただのフェグルス。……よろしく」


「うむ」


 慣れない所作でたどたどしく、そっと重ねられるフェグルスの手を、少女の方から力いっぱい握ってきた。



 そんなわけで、ほとんどなし崩し的に。

 一人で生きていくはずの化物は、本日、知り合いを一人、増やしてしまったのだった。












      ***











「ホントに大丈夫か?」


「本当だとも。もう一〇〇回はくり返しているぞ? この会話」


「そこまで言ってねえ……事もないか。メチャクチャ言ってた気がする……」


 それくらい心配してしまう状況だった。

 予定では日が高い内に終わるはずだった清掃作業。しかし服の乾燥を待っていたのと、最後の清掃場所が意外に広かった事も相まって、全ての業務が片付いた頃には日が沈み始めていた。


 つまりは彼女―――ツクモ=アラン=シュヴァリエを、こんな時間まで拘束してしまった事を意味していて。


「しつこいのは分かってるけど、ホンっト悪い。授業全部サボらせちまった」


「気にする必要はないと言っているのだが……心配性だな、貴殿は」


「心配性じゃなくたって心配するだろ。学生は学業が本分なのに」


 帰りの廊下。窓から注ぐ夕焼けに顔の片側を焼かれながら、フェグルスは何度も頭を下げる。が、少女はやはり「気にするな」と簡単に言って、


「私はこれでも、学業も魔法技能も成績トップでな」


 と、彼女は誇らしげに、


「卒業に必要な単位と魔法実績なら、とっくの昔に超えている。特別優遇措置の対象にもなっている。授業もほとんど免除されているのだ。言ったろう? ちょうど暇だったと」


「そう、か? ……ん、分かった、もう言わねえ。でもそれ抜きにしたって感謝し足りねえよ。あんたがいてくれなきゃいつ掃除が終わったかも分からなかった」


 また水を掛けられたりしないように―――との事で、フェグルスの身辺を守ってくれていたツクモだったが……これが想像以上の効果だった。


 一応、彼女の予想は見事に的中していた。掃除中、何名かの生徒が用も無いはずなのに、フェグルスの清掃場所へとやって来たのだ。

 清掃中のフェグルスにちょっかいをかけようとしたのか、あるいは蔑みにでも来たのか。しかし、フェグルスの近くでツクモが「むん!」と謎の気合いと共に睨みを利かせているのを見ると、やって来た生徒達は皆こぞって「やべ……」みたいな顔をして、そそくさと立ち去って行ったのだ。


 おかげで清掃作業はつつがなく終了。時間は少し延びてしまったが、特に問題もなく、今日一日の仕事を完遂したのだった。


「すごいんだなあんた。セートカイチョーだっけ? よく分からないけど」


「すごい事など何もない。むしろこの役職に就いてからというもの、己の未熟さを思い知らされる一方だよ。今回が特にそうだ」


 少女の声は、どこか低く、


「まったく情けない……。これから社会へ出る者として、あのような道徳観念では外も歩かせられん」


「ドートク? ……何それ、毒?」


「善悪を弁え、正しい行為をなすために、守り従わねばならん規範の総体の事だ」


 説明されても何が何やらだった。

 少女は「要するに」とまとめて、


「己を律し、己を戒め、他者を助け、他者を思いやる。―――そういう心の在り方の事だ」


「……他人には優しくしましょう、みたいな?」


「厳密には違うのだが……いや、そうでもないか。他人に優しく……それが最も簡単な捉え方だな。子供でも分かる単純な話だ。だというのに―――」


 外に出て、二人は庭園の前を横切っていく。

 すでに授業が終わっているからか、生徒の姿はほとんど見かけなかったが、遠くで誰かが談笑している声は小さく聞こえていた。


「道徳とは一概に成功や失敗を判断できるものではないのだが、少なくとも、貴殿が受けた不当な仕打ちを見る限り、我が校の道徳教育は失敗と言わざるを得ない。私もやり方を一新しよう。教師共にも私から文句を言っておく」


「そこまでしなくても……『他人には優しく』じゃねえのかよ」


「間違いを無視し、目を逸らすのは優しさではないだろう。それに何より、奴らは己を律する事もできていない。魔法を専門に取り扱う者として、これは由々しき事態だ」


 腕を組み、眉間にとんでもないシワを刻み始めるツクモを横目に、フェグルスは「ふーん」と曖昧な相槌。未だにドートクが何なのかよく分からない彼には、何をそんなに思いつめる事があるのか疑問だが……、


「……成功はしてるんじゃないか?」


「む?」


「だってほら」


 フェグルスは、隣のツクモの顔を見つめて、


「ハンカチ貸してくれたじゃん。だからその……ドートク教育?」


 困っている奴に手を差し伸べる生徒が一人でもいたなら、ドートク教育は成功じゃないか。だからそんな、自分のいる学校を失敗扱いしなくても……。みたいな事を言いたかったのだ、本当は。


 が、やっぱり口下手、上手く伝わらなかったらしい。


 少女は数秒、何を言われたよく分からないみたいに目をパチクリさせ、フェグルスの顔を見つめていた。

 だが、「はっ」と何かに気付いた表情をしたかと思えば、


「あはははははははは!」


 少女はいきなり笑い出していた。


 ――――え? なにゆえ? なぜ急に?

 笑われた理由が分からず、今度はフェグルスが目をパチクリ。


「いやすまない、特に意味は無い。……んはは」


「え……俺なんか変な事言った?」


「そんな事はない、むしろ励まされたよ」


 なおも首を傾げるフェグルスに、ツクモは相変わらず「気にするな」と。

 まあ、気にするなと言うなら気にはしないが。


「あんな目に遭わされたというのに、よくそんな事が言えるものだ。……しかしそう思うと、あの馬鹿共は余計に許しがたい。貴殿は明日もここへ来るのだろう?」


「そうだな、仕事だし」


「うむ、把握した。ならば意識改革は火急の用だな」


 その瞬間、少女の瞳が炎の如く燃えたようにフェグルスには見えた。

 ……何をするつもりだ、この少女。


「あんま気ぃ遣わなくても大丈夫だぞ? あんたにまで敵が増えちまう」


「私はとっくに敵だらけさ。とは言っても、誰も私に盾突く事はできぬのだがな。立場的にも、実力的にも」


「そりゃそんなもん腰に付けてりゃ誰も逆らえねえよ」


「む? ……ああ、これはそんなに大したものではない」


 ツクモは、己の腰に括り付けたレイピアを触りながら、


「学園の治安維持のためにな、一応持たされているだけだ。こんなものなど無くとも、私は強い」


 きっぱりハッキリ言い切って、彼女は足を止める。

 気付けば校門の手前まで来ていた。


「私はまだやるべき事が残っている。ここでお別れだ」


「最後の最後まで本当……助けられっぱなしだ。いつか絶対お礼を―――」


「気にするなと言ってるじゃないか。貴殿は我が校を美しく清めてくれている。『おあいこ』というやつだろう」


 やっぱり最後の最後までだった。

 ツクモは頑なにフェグルスからの礼を受け取ろうとしないまま、静かに手を上げて、


「では、また明日会おう」


「……おう。また明日」


 お互いに手を軽く上げて、挨拶を交わし、そして背中を向け合うタイミングまで同時だった。

 フェグルスは学校から出て、ツクモは再び学校へと戻って……。



 しかし、フェグルスはちょっとだけ未練。

 すぐに振り返り、離れ行く少女の背中を静かに見送る。



 彼女の凛とした後ろ姿。一本の三つ編みにまとめた栗色の髪。歩く姿勢はさながら騎士そのもの。

 魔法も使えない役立たずの自分に見せてくれた、あの律義さをそのまま体現したかのような一挙手一投足を見て、フェグルスは、


「……やっぱ、返さねえと」


 はっきりそう思う。

 彼女のくれた優しさに対して、何かお礼をしなければいけないような気がした。


 貰った恩に見合う何かを、相手にも与える。

 あたかも借りたものをそのまま返すかのごとく。

 人はそれを『恩返し』と呼ぶ。


 彼女は何度も「気にするな」と言ってくれたが、それでもフェグルスはあの少女に、返せるものがあるなら返したかった。

 貰うのも、受け取るのも、未だに慣れないフェグルス。

 だからせめて、返せるものなら返さねば。

 そう決心して、


「…………」


 不意に思い出す。

 返さなければいけないもの―――本当は、もう一つあるのだ。

 自分が持っていてはいけないものが。

 返したくても返せないものが。


 それは二日前、とある訪問者が落としていったもの。

 空から落ちて来た少女が落とした、おそらく自分の名前を書くぐらいには大事にしていたであろうもの。

 三日月型のお守り。



 ティーネのお守り。



「……やっぱ、返しときゃよかった」


 遅過ぎる後悔と共に、フェグルスの脳裏に少女の姿が過る。

 いきなり空から降って来て、家をメチャクチャにして、嵐のように去って行った少女の、




『ありがと』




 似合わぬお礼の言葉を口にして去って行った少女の、あの小さな後ろ姿が。




 

 

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