冷たい現実
現実とは冷酷非情なものです。
先月末のことですが、東洋経済オンラインによると「各国の駐在員が住みたい国ランキング」で我が国は最下位の一つ上に甘んじたという記事が掲載されていました。
これはつまり外国人から見て、我が国に魅力は感じないということです。
昔はランキング上位でした。何が変わったのでしょうか?
ランキング上位の頃の我が国はバブル経済真っ盛りの1989年と90年の連続1位を頂点に、世紀末までに20位以下まで下がり続け、今世紀初頭は16位から28位の間をノコギリの刃の如く推移して、いよいよ昨年の調査では34ヶ国中33位になりました。
経済の不調だけが原因とは思えません。他に要因があるはずです。
治安面から見ますと、バブル崩壊から徐々に増えた刑法犯も2002年を頂点に減少に転じています。但し、これは犯罪認知件数ですから、警察が把握していない犯罪は計上されません。
経済面から見ますと、サラリーマンの平均給与が1997年の467万円を頂点に下落し、2009年に415万円で底を打ち、2018年には440万円まで回復しています。
治安も経済も、駐在員が住みたいと思う心理面には、ほとんど影響していないと言えます。
それでは原因は何でしょうか?
この調査とは別に、「駐在員の住み易さランキング」があるのですが、それでは187ヶ国中39位でした。
仮説を立てましょう。
それは「日本らしさが失われた」という仮説です。
例えば観光地に行くと、日本語や英語表記だけではない文字が書かれ、大きな看板が景観を損なっている事例があります。
それと関連するかのように、観光地を訪れる外国人は白人から中国人が増えました。
中国は先述の「駐在員の住み易さランキング」では50位です。
街中で外国人を見掛ける比率も増えました。移民国家と言われるアメリカ合衆国は47位です。
逆に1位は台湾、そしてベトナム、ポルトガル、メキシコ、スペイン、シンガポールと続きます。
台湾もシンガポールも中華系の民族ですから、中華系の人々が嫌われているのではありません。
要は、国としての統一感と人柄の良さが好感度を上げていると思われます。
外国人に魅力を感じて貰うには「我が国らしさ」を前面に出して、外国人に迎合しない独自色を出すのが肝要となるでしょう。
まずは国内を日本語と英語表記のみで統一感を出すところから始めなければなりません。
それは即ち、これまで推進して来た政府の方針が間違っていたということです。