油脂
この世に多くの記念日がありますが、七月十日はオイルの日だそうです。
「710」を逆さにすると「OIL」になるそうで、全国石油工業協同組合と日本植物油協会が登録していましたが、日本植物油協会は「テンプラ」の語呂合わせから毎月十日に変更したそうです。
油脂は人類が活用して来た物質で、食用、潤滑剤、燃料と多くの用途に使われています。油は常温で液体、脂は常温で個体という区分もされます。
「水と油」と言われるように、多くの油は水と分離して浮き上がる性質を持っています。水と混ざらない性質を利用して、木材や鋼材に塗布して水気を弾くなど、ワックス(蝋)としても利用されます。
古くは蜜蝋、鯨蝋、木蝋などが主に用いられました。
我が国の木蝋は古くは漆の木から、江戸時代以降は黄櫨の木から採取し、蝋燭や石鹸、整髪料、軟膏基剤と幅広い用途に利用されます。
黄櫨は染め物の原料にも用いられ、黄櫨染御袍の染付に利用されました。
蜜蝋は蜂の巣から採取されます。
西洋では養蜂が盛んに行われましたが、これは蜂蜜を採取する以外に、巣に含まれる蜜蝋の利用価値が高かったからです。
蜜蝋の主な用途は口紅などの化粧品や、蝋燭、蠟纈染めなどです。
鯨蝋は、鯨油を絞った後に採取されます。蝋燭や化粧品の原料となりました。
食用油脂としては様々な植物油、動物油があり、固形の脂肪はバター、ラードなどがあります。
工業用の油脂では「ヒマシ油」が盛んに生産されましたが、現在では鉱物油に置き換わっています。このヒマシ油の香りがカストロの香りです。
燃料油は現在では鉱物油が主流ですが、かつては植物油を燃やしたりしていました。
慣用句に「火に油を注ぐ」があるぐらい、人類の生活に油は欠かせない存在で、美濃の斎藤道三が若い頃は油売りをしていたとされています。
粘性の高い油は、容器を移し替えるのに時間がかかり、油売りは容器を移し替えている間は客と雑談をしていましたので、慣用句の「油を売る」は仕事を怠けたり、無駄話で時間を潰す様子を言い表します。油売り以外が油を売っていると、後でムチャクチャ「油を絞る」対応が待っているでしょう。