???話。細川日記③
ポイント2万突破記念。
若狭国 小浜
近江の村の名主に話を聞き、近江には治安の悪そうな街が無いと判断した俺は歴史知識に従い、応仁の乱の開始直後から荒れに荒れている若狭に到達していた。
ここは元々一色と山名が争う地であったが、悪御所だの万人恐怖だのと言った複数のDQNネームを持つ足利義教の時代に安芸武田家が入ったことで争いが激化し、一色・山名・武田による勢力争いの舞台となっている地域だ。
一応現在は先代の義晴から偏諱を賜り、数年前に義輝の妹を妻とした武田晴信(後の武田義統)が父親の信豊を追放して家督を継いだ状態だったハズ。
朽木でそれを聞いたとき「武田晴信は父親を追放しないと気が済まんのか?」と思ったのはここだけの話だ。
まぁそんなネタはともかくとして、俺の目的は密航である。いや、一応へそくりで船賃を払う予定だし、なんなら刀を代金としても良い。とにかく畿内を出るためには俺にはココから船に乗るしか選択肢が無かったのだ。
近江から陸路を辿ると隣の美濃へはすぐに行けるのだが、美濃の斎藤義龍は現在義輝の権威を必要としているから追っ手から庇ってもらうことは不可能だろうし、伊勢を通って尾張に行ったとしても信長は兵部少輔でもあるので、俺が行ったら捕まる可能性が高い。
それにどうも尾張や駿河は危険な気がするのだ。具体的には転生者がいそうで怖い。
と言うのも、どう考えても歴史とは違う動きをしているだろ?最初は三河を巡って戦っているんだから問題無いと思っていたけど、今川が信虎を使って甲斐を取るだとか、織田が武田信玄を降して南信濃を得るだとかどう考えてもおかしい。家康とかどうなったんだ?
で、俺が考えたのがどっちかに転生者が居るってことだ。なにせ転生者が俺一人とは限らないからな。と言うか、都市部に下水とか風呂を作ったのって絶対転生者だろ?いや、助かってるから良いんだけど。
それはともかく「同じ転生者なんだから保護してくれ!」と言った場合、向こうが取る態度として考えられるのは二通りだ。
快く「良いよー協力しようぜ!」と言って使ってくれるか「お前の知識を貰い受ける」と言われて拷問されるかだ。
そしてこの時代に染まったヤツなら十中八九、後者になるだろう。俺でもそうする。普通に考えたら自分の地位を脅かすヤツなんか要らんからなぁ。裏切ったり情報の漏洩をされたりするのを防ぐために、徹底して尋問だの拷問を行うだろう。
コレが、信長が尾張半国しか持ってないとかだったら話は別だっただろうが、今川の肥大に伴い織田も大きくなっていることを考えれば……織田家か今川家のどちらか、もしくは両方に転生者がいると思われる。それも家を大きくした功労者のような立場だ。
それを考えればあそこはヤバイ。そんなわけで陸路で南や東に行くのは諦めた。(そもそも伊賀や甲賀を支配下に収めている六角領を縦断できるとは思えない)で、西は三好が居るから無理。残るは北だけ。
そして北といっても越前の朝倉には当然顔が割れているので駄目。結果的に混乱の中にある若狭ってわけだ。そして小浜はこの時代でも有数の貿易港だった場所、ここから船に乗れば畿内から脱出も可能って寸法さ!
俺的には尼子に協力して毛利と戦うか、東北に行って安東や最上もしくは伊達あたりに協力をして勢力を拡大するってのを考えている。
そう、津軽為信に仕えた人類次席こと沼田祐光のようになっ!
後は誰に仕えるかだ。政宗の幼少期から仕えていれば後々は勝ち組みだろうし、最上義光も今は元服したかどうかだろ?鮭延より先に仕えることが出来れば、これまた勝ち組。息子が微妙だが、それは教育次第だろうよ。
北斗の男、安東愛季も良い。まだ若い上に土崎と言う良港が有って経済力を高めることができるし、海路で京と繋がっているから、適当な名分を作ってさっさと戸沢だの大宝寺だの浅利だのを攻めて降伏させてしまえば鉱山だの穀倉地帯も手に入る。
うまく行けば数年で東北随一の勢力となることだって可能だろう。
蘆名は……ダメだな。上杉が近いし、蘆名盛氏が死んだら終わりだ。義光や政宗と違って子供の周りには派閥が有るから、今から行っても関与出来るとは思えん。
結果として大勢力が競い合う西国よりも、未開の地とされる東北の方が発展の目があるって感じだよな。それに奥州の連中からすれば俺が持つ情報や教養。それに京との繋がりは欲しいだろうしな。
義輝が騒いだところでタダで送り返すような真似もしないだろ。そして義輝には俺を引き渡すに足るモノを支払えるはずもない。
よしよし、なんか良い感じじゃないか?どこに仕官するかは船の中で考えるとして、まずは奥州に行くとしよう。
いやぁ「夢がひろがリング!」ってこう言うことを言うんだな!
……りんごってもう有るのかねぇ?
細川藤孝の野望。無職だけど夢が広がっています。
どうやら彼は奥州を目指すようだってお話。
長岡だの幽斎を名乗るかは微妙です。細川のネームバリューを捨てるなんてとんでもない!と思っているもよう。
作者にとってポイントってのはなぁ、蟹鍋の〆の雑炊みたいなもんさ。
何?わからんって?……有ったら嬉しいってことさ。 (誰?)
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