表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/127

6話。主人公(夫婦)登城の巻

こんな内容で大丈夫か?(下ネタ的に)

大丈夫だ。問題ない(ちゃんとR-15にしてるし)


ようやく登城。


前半千寿君。

中盤爺。

後半若殿視点。


津島で馬を預けている場所に行き、馬を引き取って那古屋城へ向かう俺と姫様+1。馬は一頭で、俺の前に姫様が座る形である。別に2頭で来ても良かったんだが、姫様が二人乗りを希望したんだ。


姫様は大体150センチくらいで俺とは身長差が有るから、前に座っても俺の視界の邪魔をすることなく、丁度頭が俺の胸に当たるくらいなんだよな。


かっぽかっぽとゆっくりと歩く馬に乗り、俺に背を預けて周囲を見ている姫様は随分機嫌が良さそうだ。


言われたように槍を自分で持つのを止めて案内のガキに持たそうとしたが、普通にすっ転んだのが面白かったのだろうか?


それとも自由気ままな現状を楽しんでるのだろうか。


姫様を説得して大友家から連れ出した俺としては、このままずっと笑顔でいて欲しいと思うんだが、世は戦国乱世。どうしてもサツバツとした時代に飲まれてしまうだろう。


だからこそ楽しめるときは楽しんで貰いたいんだが。


「ふふっ。千寿ったら朝から元気よね~。昨日アレだけ元気だったのに……もう、しょうがないんだから!」


まさかの下ネタである。センチな気分に浸った俺が馬鹿でした!


とは言え今の姫様は深窓の麗人と言うわけでもないのでこのくらいは当たり前なんだがな。


で、姫様としては女心的なものか単純に面白いのかは知らんが、どうやら俺の息子が自分に反応してるのが嬉しいようだ。


「そりゃ男は朝の方が元気なモノです。それに姫様がこんなに近くに居るなら反応しない男なんていませんよ」


なんたって姫様は超美人だしな!(強調)


「あら? それは嬉しいわね。だけど私は千寿が居ればそれで良いから、他の男に反応されても困るわ」


コロコロ笑う姫様。随分変わったものだと思う。


大友家にいた時は内向的な美少女だったが家を出奔してからは活動的になり、いまや押しも押されもせぬ健康的な美少女である。


今18歳だからこの時代だと美少女って言うよりは美女になるんだろうけどな。


外見だけでなく、中身もそうだ。


常に当主様に評価してもらおうと切羽詰っていた頃とは違い、この旅路で色んな事を経験した姫様は前よりも良く笑うようになったと思う。


こうして俺の顔を見て笑う姫様を見てると、俺まで幸せな気分になってくる。いっそこのまま登城しないで旅籠に戻りたいくらいだ。


ふむぅ。別に時間を指定してないから、一回戻っても良いんじゃね?


そう言う思いもあるが、女の身支度は大変だ。


化粧もそうだが、今回きちんと向こうに出迎えさせるために、姫様は旅用の服ではなく、地方領主や公家と会っても問題ないようなそこそこ良い服を着込んでる。


コレを汚すと後処理が大変だし、一度脱ぐと着直すのが大変なんだよな。


つまり最低でも会談が終わるまでは御預けだ。


「……大丈夫よ千寿」


そんな事を考えていたら、姫様から声がかかる。大丈夫? 何が? 着替えは必要だし時間はないですよ?


「私は幸せだから。今が楽しいから。だから千寿は私を連れ出したことに責任なんか感じる必要はないんだからね」


……さっきまで下ネタで笑ってたかと思えばコレだ。まったく姫様は本当に狡い。


真顔で俺の目を見つめる姫さまの頭を撫で、そのまま口付けを……


「あ、あの!見えました!那古野城ですッ!」


いい雰囲気なのに邪魔しやがって。


「「ちっ!」」


俺と姫様から同時に舌打ちが漏れる。こいつらは主従揃って俺たちの邪魔をしないと気が済まんのか?!


「ひぃ! で、ですが出迎えの人もいますし!」


殺気を向けられたガキは城を指差してそう告げる。


言い訳とはいい度胸だと思うが、実際出迎えの連中も見える。数は大体30人程か。


うん。こいつらの規模ではこんなものかもしれんな。


今は先触れの意味はあったと思うべきだろうし、連中に会う前に姫様に口付けするわけにもいかん。


それでも正式に到着して出迎えを受けたわけでもないから、これから踵を返しても問題ないと言えば問題ないのだが、この辺は切り替えるべきだろう。


「もう着いたのね。シカタナイ。まずは千寿が見たいといった尾張のうつけの器を見るとしましょうか」


姫様も気持ちを切り替えたか。まぁこの程度の切り替えができなければ戦国大名なんかできないし、戦で人殺しなんかやってられん。


修羅といっても常時人を殺そうとしているサイコパスではないのだからな。




――――



何と言うか。遠目に見とる分には、姫と護衛と言うよりは新婚夫婦じゃな。


昨日は初対面でアレを邪魔したのか? さすがは若殿と言うべきか、教育不足で申し訳ないと言うべきか。


「とりあえず予定通り儂が出迎える故、お主は若殿にお二人が到着したと伝えよ」


「はっ!」


昨日から色々動いとる兵が城内に駆け出す。あやつ、中々いい動きをするのぉ。今回の件が一段落したら取り立ててやるべきかの?


姿を消した兵を思っとると、例の2人が護衛崩れの一人。と言うか、あれは佐々の小僧ではないか!


あの利かん坊が若殿以外の槍持をするとはのぉ。しかも馬上の2人を異様に警戒しとるようじゃ。とりあえず護衛が佐々の小僧に預けとった槍を受け取っておる。


しかし、あれが姫様、か。普通に高位の公家以上に良い服を着こなしておるわ。


そしてさっきまでの護衛に甘えとった表情は完全になりを潜め、こちらを観察するような目を向けてきよる。コレもこちらに媚を売ろうとする金目当ての連中とは明確に違うの。


「ようこそお越しくださいました。某は当家の次席家老を務めます平手政秀と申します。また、昨日は当家の信長が無礼を致しましたことをお許し頂きありがとうございまする」


実際に許されたかどうかは問題ではない。この場でしっかりとした承諾を貰うことこそ重要よ。


後になって若殿の行状を責められても困るからの。

故にたとえ相手が浪人であろうとも、馬に乗ったままの相手に頭を下げることも厭わん。


「ふむ、さすがは織田信長の傅役にして尾張の虎の懐刀。行動の節々に染み込まれた動作は見事の一言ですな」


男がそう言って儂を褒める。


じゃがその言葉を受けた儂は高揚するどころか背筋に寒気を覚えた。


儂ごときの名が西国まで広まっているなどと勘違いはしない。この者らは我々を調べてから来ておると言うことじゃ。


そして儂の意図もしっかりと見抜かれておるッ!


「平手殿と申されましたか。私たちが登城した理由は既に聞いているでしょう? 貴殿程の者なら我々の意図も理解しているはず。信長殿の無礼の段に関しては今ここで話すことではないでしょう。早速案内を頼めませんでしょうか?」


姫様の方がそう言って儂に声を掛けるが、その言葉には思わず跪きそうになるくらいの威がある。


この方に下手な小細工は逆効果じゃと確信する。


(失敗した。失敗した。失敗した!)


このままでは儂の言葉すら無礼と取られる可能性も出てきおった。じゃが案内を望むと言うことはまだ致命的ではないという事でもある。


「お、おぉ! これはご無礼を致しましたな。では主がお待ちですのでご案内致します!」


取りあえずここでの立ち話はこれまで。これ以上の無礼は避けねばならぬ。


「よろしくお頼み申す。馬はどうすれば?」


男の方が頭を下げて聞いてくるが、その動作にも気品のようなものがある。やはり貴人の護衛よな。武力と気品を備えた一流の人材じゃ。


これほどの人材が仕官先を探す? そして若殿をその候補にする? どういうことじゃ?


「平手殿? 厩舎に空きが無いのですかな?それなら預かってもらっている場所に戻してから再度登城しますが」


内心首を捻っとると、馬上から声がかかる。


危ない危ない! 余計な事を考えてはいかん!


「あぁ、いや。今頭の中で厩舎に空きがあったかどうかを確認してまして。えぇ、大丈夫です。こちらでお預かりしましょう」


今は向こうが助け舟を出してくれたから良いものの、普通の公家相手でもこのようなそぞろな饗応をしては無礼になるわ!


兵に目配せし馬を預かりにやらせる。


あぁそうじゃ。


「佐々。お主もご苦労じゃった。案内は儂が引き継ぐゆえ馬を預けたら休むが良い」


心底くたびれた様子の佐々の小倅に声をかけとかんといかん。気を抜いて何か無礼をされても困る故な。


「はっ!」


儂の声に反応し、背筋を伸ばす小倅。うん? こんな素直じゃったかのぉ。


「ご丁寧な対応痛み入る。そう言えばまだ当方は名乗っておりませんでしたな」


馬から降りた護衛がそんな事を言ってきおった。


まぁ確かにその通りじゃが、礼儀としては若殿が迎えた際に若殿からの紹介を受けるのが筋じゃと思うが。


あぁ、若殿も名前を知らんかったのぉ。


招いた形となるのに若殿には紹介できんから、ここで先に名乗って儂から紹介せよとのことじゃろう。


「某、九州大友家に仕える豊州三老が一、吉弘家当主の吉弘鑑理が次男、吉弘鎮理よしひろ・しげまさと申します。こちらは我が妻の」


義鎮よししげよ。よろしくお願いするわ」


なんと?! 妻なのは見てわかっておったが、九州大友家じゃと? 儂でも知っとる名門中の名門ではないか!


吉弘家とやらは知らぬが豊州三老じゃと?


それが本当ならば大友家の重臣中の重臣! その次男が姫と呼ぶ相手となれば……


まずい。まずいぞ林殿! 今すぐ若殿に白装束と土下座の支度をさせねばならぬ!


とりあえず儂は付近にいた兵に目配せし、このことを若殿と林殿に伝えさせることにする。


ん? と言うかこやつは、さっき若殿に到着を伝えに行った者じゃよな? いつの間に戻って来たのじゃ? ……まぁ良いわい。


周囲の者たちも九州大友家を知らずとも、儂の態度から目の前の2人が大殿よりも格が上であることに気付いたのじゃろう。


兵がざわ……ざわ……しとるわい。


とりあえずはざわつく兵どもを押さえて、この場を立ち去ることにするかの。お二人も見世物になる気も無いじゃろうし、下手に騒げば無礼打ちとなっても文句は言えぬものな。


出迎えの兵が慌てておるのは当然向こうも気付いていよう。おそらくこの動きも彼らの中での判断材料になるのじゃろう。


若殿! もう仕官して貰えなくても良いですから、これ以上の悪感情を抱かせんようにして下されっ!



――――




「九州大友家ぇ!?」


爺が大至急と寄越した兵が告げる事実に驚きを隠せんわ! いや、確かに西国とは聞いとったが西過ぎるじゃろ!


「……間違いないのだな?」


驚く儂の横で顔を青くした林が尋ねれば、その情報を持ってきた兵が平伏しながら告げる。


「はっ! 確かにお客人様はそのように名乗りました! そして着ている服や所作から、やんごとなきお方で有ると言うことは学の無い我らでもわかります! 平手様も特に疑ってはおりませんでしたッ!」


おぉう。兵士が力説するほどかよ。なんというか、アレじゃな。真偽は後で確認するとして、じゃ。


「のぉ、大友家の家老の次男となると……ウチより上じゃよな?」


ウチは守護の斯波武衛の配下で、家老である守護代の家のそのまた家老じゃもんな。向こうは守護代みたいなもんじゃろ? しかも名ばかりの守護の武衛と違い名実共に九州で一番力がある大友家の。


「そうですな。しかし問題は彼よりも、彼の妻と紹介された『姫様』です」


う、そ、そうじゃな。


彼の者が姫様と呼ぶと言うことは、少なくとも同格の家老ではなく主家の者であろう。つまりは大友家の直系の姫じゃ。いや、妻となったと言うなら今はヨシヒロ家? の人間なのじゃろうが、問題はそれほどの連中が儂を見定めに来たと言うこと!


無様は晒せんと思っとったが、最早十分以上に晒しとるし、せめて侮られるわけにはいかん! と思って気合を入れたが、どうにも違和感がある。


いやいや儂なんか、どんなに頑張っても所詮は尾張の田舎侍ぞ? それを由緒正しき大友家の人間が見定めるって何の嫌がらせじゃよ!?


それに仕官じゃと? もしも仕官してくれたとして、儂はどんな扱いすれば良いんじゃ!?


「若殿。今までお世話に成り申した。思い返せば苦労の連続でしたが、いやはや僭越ながら年頃の娘を持つ親の気持ちと言うものはこういう感じなのかもしれませんなぁ」


「待てぃ!」


そんな儚い顔で感謝されても困るわッ! それにその言い方じゃと儂が死ぬのか林が死ぬのかもわからんではないか! アレか? 両方か? 両方死ぬのか?


「しかし若殿。若殿のうつけぶりが九州にまで届くとなると、某や平手殿の立場もございませぬ。日の本の笑いものになるくらいならばここで腹を切り、せめて織田の名を汚さぬようにしませんと」


おぉう。いきなり真顔になりおった。しかも本人の目の前でうつけ認定しておる。よもや儂の日頃の行いがここまでこやつらを追い詰めておったとはの。


「ま、まて。まだ慌てる時間ではない」


「既に城内にいらっしゃるのですぞ! 慌てる時間などとうに過ぎておりまするッ!」


は、林が今までにない口調で怒ってくるが、これはアレじゃな。死を覚悟したということじゃな?!


いや、そうではない。このままでは儂まで白装束に着替えさせられる! いくらなんでも流石にこんな死に方をする気はないぞ!


「お、落ち着けぃ! 向こうは儂の事を知った上で来ておるのじゃ! その上で儂を仕官先の一つとして見ておると言うのなら、何かしらの理由があるじゃろ!」


そう、向こうが何を求めとるか知らんが、父上でなく儂に会いに来たと言うなら、儂にしか用意できない何かがあるはずじゃ!


それを以て口説くことができれば、堺や根来、国友に伝手をもつ強者を傘下に加えることが出来る! 

 かの御仁たちは尾張しか知らん儂にもっと広い視野を与えてくれるかもしれんのじゃ!











「若殿……。そうですな。たとえ九分九厘負けでも、諦めたらそこで万事終わりですからな」


おいィ? 貴様、納得しているようで全然納得しとらんじゃろ!



SEKKYOUはどうしたって?


大丈夫、前回の最後にちゃんと「か?!」って書いてるし。


東○ポだよ東ス○。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ