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15話。そうだ!京都へ行こうの巻

今回は短い!


と言うか元々4000~5000字を目安にしてるんですよねぇ。


作者の主義主張がアレなんでしょうが…


後から地の文を大幅加筆する可能性有り!


姫様は信長を連れて、後はヨロシク~って感じで手を振って部屋から出ていったが。あの様子だとやはり隣の部屋に居る彼らには気付いていたか。


話の途中で何度か反応してたしな、気付かない信長がまだまだ未熟なだけってことにしておこうか。


「お話は聞いた通りです。信長殿から命を受けたら遺漏無く動いて貰えますかな?」


姫様が出ていった方向とは逆方向に声をかける。


「…か、畏まりましたッ!」


「ぐぉぉぉ! わ、若殿がかようにご立派になられて。爺は、爺は嬉しゅうございますぞ!」


なんか隣の部屋に控えさせてた林のオッサンから涙声で返事が返ってきたし。さらに平手の爺様なんか普通に泣いているよ。


いや、信長から新たな政策について相談が有ると言われたので、コレからの織田家に必要なことだろうから、一応隣で聞くように言ったんだがな。


信長の考えを知ることで、オッサンや爺様の叛意を無くすことにもなるかと思ったのだが、予想以上に破壊力があったようだ。


「言葉足らずな信長殿のこと。どうせ『林よ!竹じゃ!竹を植えるのじゃ!』としか言わないでしょうから、一応その意図を確認して貰えますか?」


林のオッサンが理由を聞けば、信長はどや顔して説明するだろう。お子様の気分が良くなって、更に説明する癖もついてくれれば申し分ない。


「はっ! お任せください!」


俺の言葉に対して、当たり前のように従うオッサン。


うむ。さすがに大人だな。周囲が反旗を翻すなか、限界まで我慢した男は違う。とは言え、それに甘えてばかりもいられんのよな。


「いずれは皆様方にもきちんと意図を説明させるようにはしますが、今はまだ教えることが多すぎましてな。私の指南役としての力不足では有りますが、何卒ご容赦願いたい」


正直言えば、そう言うのが全部終わってから表に出すべきなんだろうが、そんなに甘い時代ではないんだよなぁ。


だから未熟者は未熟者なりに成長できるように、万事を鍛練のようにして成長を促しているんだが、もっと効率的に追い込めるなにかは無いものか。


「いえ、そもそもが我らの力不足にございますので、吉弘殿を責めることなど有り得ませぬ!」


自分の指導力不足を嘆く俺に対して平手の爺様はそう言ってくれる。確かに半分以上は彼らの責任ではあるぞ? しかし今の教育係は俺だからな。お言葉に甘えてばかりもいられんよ。


とりあえず意思の疎通が出来なくてストレス溜めて反乱だとか、ハラキリされても困る。その為信長の悪癖とされている部分は矯正する予定だが、どこまで行っても時間が足りん。


大体にして林のオッサンは政務官だ。戦での活躍が微妙になり、さらに信長の考えが読めなくなれば史実通りに追放されることになるかもしれんし。


人材という面で考えれば、若い者だけじゃ駄目なんだ。古い価値観も理解できないと相手に足を掬われることになるからな。


何せ信長の敵は古い価値観そのもの。そして敵を知らねば戦には勝てない。その為、古い因習を理解しながらも新しい価値観にも順応できる林のオッサンはコレからの織田に必要不可欠な存在だと思っている。


だからこそ色々と鍛えているわけだが…彼らの中の信長の評価って低すぎないか? と思うことは多々ある。いや、ハードルが低いと思えば良いことなんだろうが、なんだかなぁ。


「そ、そうですな! 本来ならば主君が言葉足らずであっても、その意図するところを正しく理解するのが我々の役目なのですが、いかんせん若殿のお考えは新しすぎて我々にはちと難しかったようです。それ故こうして若殿の意図を詳細に聞けるのは非常に有り難きことにございます。吉弘殿におかれましては誠に感謝しておりますぞ!」


泣きながらそう告げる林のオッサンと無言で首を縦に振る平手の爺様。


『おかれましては』の使い方が微妙な気もするが、まぁいいや。


とりあえず、彼らの中で信長は単なる『うつけ』ではなく『新しい価値観の持ち主』ということで落ち着いたらしい。天才だからと言って理解を諦めようとするよりはよっぽどマシだよな。


「誠にその通り! 吉弘殿が差配した護衛崩れどもも、若殿へ報告を上げるために真剣に読み書きを学んでいますし、恒興も算術まで理解するようになりました。今やそこらの国人よりは余程使えますぞ!」


あー。悩みの種が全部収穫可能な野菜になったんだから、爺様的には万々歳だろうなぁ。


しかし高々三ヶ月でここまで変わるものなんだな。


いや、元々この時代の武士は常時命懸けだ。不正が見つかれば殺される。仕事に失敗すれば殺される。役に立たなければ捨てられる。上役に嫌われれば捨てられる。


こんな状況で更に次男だの三男だので家でも立場が無い連中だったからなぁ。


当然この時代は健康な癖に引きこもりをする者や、家長に逆らって家に寄生する奴なんか存在そのものが許されん。だからこそ連中は必死になって働くし、必死になって技能を修得しようとする。


男子三日会わざれば刮目して見よとは言うが、つまりは素質があるヤツが命懸けで修練したらそれなりの成果は出るということだな。


語学が苦手でも三ヶ月も外国に居たら言葉を理解出来るようになるのと一緒だ。必要だからこそ成長するのだろうて。


史実の織田家家臣団を見れば良くわかる。今の段階で前田利家だの柴田勝家が加賀や越前を預かるのは不可能だもんな。


今のうちから政治やら算術やら書類整理の重要性を理解させ、将を育成しておけば、後々楽になる。そう思って若手を鍛えてるんだが、やはり最初が肝心だ。短期間の鍛練でいきなり最高値に到達することはない。だが、しっかり鍛えれば平均値くらいにはなるからな。


ここからの成長が大変だが、尾張の下四郡程度なら現状の平均値でもそれなりに意味は有るようだ。実際そこらの国人なんざ平均以下だろうし。そりゃ役にも立つか。


「それは重畳。このままなら一年あれば各々が一郡の領主程度にはなれるでしょう。故にお二人には新たな策を遂行して頂きたいと思っております」


若手連中に那古野の実務を経験させて、政の何たるかを理解させた上で成長を促し、更にはこの二人に新たな価値を付与することで、織田弾正忠家の中での確固たる立場を築かせる。


ただでさえ家督争いがあるのに、この上若手と家老の対立なんざ御免だからな。


「「新たな策?」」


二人とも不思議そうな顔をしているが、竹は別に林のオッサンが居なくても良いし、堀田に対しても俺が居れば押さえになるしな。


ならば彼らには別の仕事を与えても良かろうて。

というか、これも家老としての仕事だからな。


「左様です。無論、信長殿の許可が得られなければ諦めますが、誰も損をしないし貴殿らにとっても良い経験になります。また織田弾正忠家にとっても必要なことですので、是非にお願いしたい。……もしもお二人がお断りになるなら私と恒興でやることになりますが、とりあえず話だけでも聞いて頂けませんか?」


実際俺や姫様にも出来ることではあるからな。ただ俺たちの立場を考えれば、出しゃばりすぎともいえることだから、できるだけやらないほうが良い事でもある。


俺がそう言えば、二人は顔を見合わせて頷いた。


「織田弾正忠家の為と言われては否は有りませぬ。どのような策なのかお聞かせ願いたい」


筆頭家老として林のオッサンがそう告げれば、平手の爺様も頷いて話を聞く態勢に入った。


うむ。信長の成長云々だけでなく、現状でも勝ち組が確定してるからだろう。信長の為に動くことに戸惑いがない。これなら良い結果になりそうだ。


「では申し上げます。あぁ、言うまでもないことですが、他言無用にございますぞ?」


今回の件は別に周囲に話されても大丈夫だが、一応殺気を込めて言っておく。秘密を共有しているっていうのは何気に大きいからな。幹部としての自尊心だとか、承認欲求を満たすことができるし。


「「はっ! 畏まりました」」


俺の言葉を聞き、真顔で頭を下げる筆頭家老と次席家老。なんというか、使われることに慣れてるよなぁ~。


そう思うと、中間管理職の社畜にしか見えなくなるから不思議だよ。うん。帰ってきたら少し優しくしてやれと信長に伝えておこう。


……それはそれとして、予定していた献策するとしようか。

今後の織田弾正忠家の為にも頑張ってくれよ?



――――


織田弾正忠家の次期当主の筆頭家老たる林殿と次席家老である儂は、この度主命により京を訪れていた。

主命とは言っても、正確には若殿が任じた織田家指南役の吉弘殿によって提案された策を主である若殿が承認し、その策を遂行するためにこうして京に来ることになったわけだが。


兎にも角にも老骨に長旅は疲れるわい。


「ふぅ」


本来なら「ここで一息吐ける」と気を抜くところだが、今回の目的地では気を抜くことなど一切出来ぬ。


もしも同行している林殿がここで気を抜くようなら、一言忠告をしようと思ったが、要らぬ心配じゃったの。


「あれが京の都、ですか」


うむ。わざわざ指摘せずとも気は抜いておらんようじゃな。いや、むしろ驚愕で固まっとると言った方が良いかもしれんが。


「えぇ、残念ながら、あれが今の京の都、です」


今の林殿は予想以上に荒廃した日の本の都に言葉を無くしている。それも無理はないじゃろう。


儂も初めて京を訪れた時は似たようなもんじゃったわい。多少離れていてもこの荒れようは隠せんわ。更に言えば、日の本の人間ならば誰でも京に対してある種の憧れがあるものよ。その憧れがこの様では、言葉もなかろうて。


絶句する林殿を横目に見る自分としても、以前訪れた時より更に荒れ果てた京の街を見ると心がざわつくのを感じるのだから、やはり自分も日の本の民なのだと思う。


しかし今は感傷に浸っている時ではない。自分達は京の見物に来たわけではない。我々にしかできぬ任務を任されて上洛をしたのだ。


何を差し置いても主家である弾正忠家の為に、そして主である信長様の為に今回の任務を果たさねばならない。


今回の京における自分達の行動とその結果如何で、今後の織田家の将来が決まると言っても過言ではないからの。


無論、儂とて若殿の傅役として、今までもそういう思いを抱きながら若殿に仕えてきた。だが今回の任務はこの儂にしても、今までの人生の中で最も緊張する任務なのだ。


「では行くとしましょうかの」


「……はっ、よろしくお願い致します」


儂も口調が硬くなるのを自覚するが、林殿は儂以上じゃな。


まぁこれから会う相手は、こうして緊張をしていた方が良い結果になると思うから、特に指摘しようとは思わんが、の。


まずはここ、山城の国にて儂らが為すべきことを為そうぞ。





―――



「お久し振りでございます、山科言継様」


「ほんに、久しいですな。この度はどのようなご用件で当家にいらっしゃったかは存じませぬが、歓迎させて頂きますぞ、平手殿」




サブタイ通り。


と言うわけで爺様と林による京都旅行。


当然二人っきりではないので、キャッキャウフフな展開は無いぞ!ってお話

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 地の文がここまでに長すぎて、かなり読み疲れる。
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