14話。内政チートですかねぇ?②の巻
Q・戦はまだか?
A・もう少し後かな?
前半千寿君の解説回
後半姫様視点。
「タケ? タケってあの竹かの?緑の真っ直ぐなヤツ?」
「そう、その竹だ」
塩で銭を稼ぎ、予想外のところで自由になる銭が出来た信長に「今の織田に必要な物はなんじゃろうな?」と聞かれたので「竹」と答えたが、どうにも不満顔だ。
一体何が不満なんだ? まさか戦国チートでも望んでいたのか?
……確かに戦国内政チート四天王と呼ばれるものは、有る。
これは中世以前の時代に転移や転生した場合に実行すれば、必ずと言って良いほど成功する学生でも出来るお手軽にしてさいきょーのテンプレ四天王である。
日本の場合は千歯こきを筆頭にして、次席以降は人によって違うが…大体は石鹸、椎茸、清酒、硝石と言ったところであろうか。
この四天王に次ぐのが、リバーシやポンプ・一輪車や鍬となる。当然異論は認める。
確かに上記は基本的に簡単にできるし、それぞれがチートと呼ぶにふさわしいだけのポテンシャルを秘めた物資だ。
だが俺はそれらをあえて造らずにいた。理由は簡単で、現状では作ったことを秘匿することが出来ないのと、個人では流通量が少ないので利益が上がらないこと。それと誰でも簡単に出来るからこそ、誰かが造ったら速攻でパク…オマージュするつもりだったからだ。
要するに情報の漏洩を恐れたのと商人が信用できなかったのと、別に急ぎで稼ぐ必要がなかったからとも言える。
もし姫様が大友家を継いでたら躊躇なく実行していたが、俺としては昔から大友家を出ることを考えていたから、下手に向こうでこういうのを造る気はなかったんだな。
実家で行った正条田植えは実験の意味合いが強かったし。
更に言えば、それにより主人公的な存在を探ろうとしていたこともある。
こちらが先に造ることで、俺の存在を相手に特定される危険性があったし、その場合相手にどんな知識があるかわからなかった。そんなこんなで色んな可能性を考慮した結果、作成はしなかったと言うわけだ。
織田家に仕官した今も似たような状況だ。
今の織田家でどれか一つでも造れば、斎藤や今川によって奪われてしまい、量産されてしまう。その結果さらに国力の差が生まれるからな。向こうの力が強すぎるが故に今の織田では今川相手に情報を隠すのは不可能なんだよ。
千歯こきは前にも言ったように真似されて相手の国力が上がるだけだし、石鹸は既にある。椎茸が量産出来ると知られたら本気で攻めて来るし、職人にポンプを作らせたりなんかしたら普通に買収されるだろう。 リバーシ? パクられて終わり。清酒も酒は座が絡むから今は無理。硝石? 奪われるだけだ。
それぞれを完全隔離できる力もないしな。
だからこそ織田家ではなく、商人の堀田にチートランク外の塩を教えたのだ。
これならよっぽど尾張の塩事情に詳しくないと増産量には気付かないし、織田が戦やら統治やらをしながら商品を作り、その製法や技師を秘匿するなんてことをしなくても、堀田が命懸けで自分の利権を守ろうとするからな。
費用も面倒も向こうに押し付ける代わりに、分け前をやる必要はあるが、現時点ではこの形が一番確実なんだよ。
しかも塩に関する税は五公五民。はっきり言ってこの時代ではありえないほど堀田が優遇されている。
このことには信長も最初は渋ったんだがな。技術の秘匿や販路の拡大に関する労力を考えれば働かなくても半分が信長の懐に入るのは破格だと説明して納得させたんだ。その結果俺にも付け届けと言った感じで一割近い金が入るから、誰もがウハウハだ。
不労所得は最高だぜ!…とはいえこの時代の商人を無条件に信用してはいけない。
物語の中では「商人は信用第一。それに貴殿にはまだまだ儲けの種が有りそうだから」とか言って中途半端なツンデレをして親切にしてくれる商人がいるが、実際にはそんなのは居ない。たとえば今回の堀田だが、彼にしてみれば塩が有ればそれ以上の利益はいらんのだ。
手を広げて稼ぎすぎれば大名に目をつけられるし、商人仲間からも排斥される。場合によっては大名が打ち壊しを指示して銭を奪っていくだろう。
他の商人を味方につけて別の商売をさせようにも、その商人が他に情報を流せばどうなる? その先が今川なら? って話だ。
その為、変に商売敵を強化するくらいなら、きっちりと塩を握ることを第一に考えるんだな。
何が何でも儲けるときに儲ける! というのはサンシタ商人。本当に出来る商人は冒険なんかしないで稼ぐべきときに稼ぐもの。なんたって家族やら使用人の人生を預かってるんだから。
まぁ、ある一定以上の商人になるためにはギャンブルすることも必要だろうが、出る杭は引っこ抜かれてタコ殴りにされて海に捨てられるのが戦国時代クォリティ。引き際を弁えずに無駄に命懸けでギャンブルするような相手と商売なんかしたくないだろ? 物語的には面白いかもしれんが、俺は嫌だ。
つーか基本的にこの時代の商人はみんな命懸けだし。その辺を見誤れば俺だって危険だ。
後ろ盾の無い転生者や転移者ならまだしも、こっちには選ぶ余裕があるからな。
ちなみに名も無い弱小の商人気取りがコレをやっても、流通量が増える前に地元の豪商に潰されるので、チートしたいならそれなりに大きな商人と繋がりを持たないと意味が無い上、情報を絞り出す為の拷問ルート一直線になると言っておこう。
つまりこれ以上は堀田にとって危険な賭けになる。自分が大名に目をつけられれば、それが理由で戦になるかもしれん。塩の増産の知識を狙って自分や家族、使用人が狙われるかもしれん。儲ければ儲けるだけその恐怖は大きくなるんだ。そして今の織田家にはそれから守るだけの力がない。
そうなれば堀田は恐怖から逃げるために他の大名に味方することになるだろう。
そうでなくとも塩の情報や他の儲け話を他に回されることを防ぐ為に口封じに動いてもおかしくはない。最低でも利益をごまかして税を減らしたりするだろう。この時期の織田家はそれでも有り難く思う程度の家だしな。
ただし、俺の場合は、戦力の違いから口封じはされんし、塩田の規模も知ってるから誤魔化しも不可能だがな。だからこそ連中はきちんと税を納めるし俺への付け届けも忘れない。
だが「これ以上の儲け話なんか持ってこられても困る」というのが素直な気持ちだろうよ。
ちなみに塩は織田弾正忠家(と言うか信長)に月三百石程を物納し、残りは金銭で上納している。で、信長はそれを溜め込んだり普通に斎藤やら美濃の連中に売ったりしているという状況だ。
残った分は堀田が諸国に売って儲けを出しているが、色々と上手くやってるらしく、その増産量は未だに謎のままなんだとか。
そして信長が美濃限定で塩を安く売っているのを知った今川は「やはり増産は嘘。弾正忠家が身銭を切っている」と判断したようで、御用商人の友野を寄越してそこそこ高めの値段で塩を買っていくことにしたようだ。(それでも向こうは向こうで利益が出るんだから戦略物資は侮れない)でもってついでとばかりに、こっちから奥三河や信濃との国境にも販売できるよう許可も取った。
友野からすれば奥三河なんざ山奥で治安が悪く、さらに客も儲けもすくない面倒な場所でしかない。そんなところに自前の商人を派遣しなくても済むし、そもそも今川の命令で信長に力をつけさせる為に接触してきたんだからな。駄目とは言わなかった。
今川からすれば「これで釣り合いをとって時間を稼げよ」と言ったところだろうな。
そんなこんなで蝮に毒を仕込み今川すら手玉に取った信長は大満足。
この塩の増産。他所で真似しようとすれば必ず堀田が気付く。それに生産から販売、さらに秘匿と地元での影響力を考えれば信長よりも堀田の方がよっぽど信用できる。
信長にやらせる? いくらなんでもリソース不足だ。過労死するわ。
そんなわけで塩に関する増産と販路の拡大が一段落ついたところで、俺こと千寿君によって選ばれた改革第二弾が『竹』である。
四天王に含まれていない? 当然だ、四天王には干渉しないと決めているし、現状そこまで露骨に金を稼がねばならんほど今の織田家に銭が無いわけじゃない。というのもある。
無論銭は有って困るものではないが、今の身代では十分すぎるほど有るし、稼ぎすぎれば策がばれる。更に周囲からの目がきつくなるから、現金は程々で良いんだ(すでに塩で荒稼ぎしているし)
で、選ばれたのが竹。
「いや、しかし、竹って言われてものぉ」
第一弾の塩で荒稼ぎして、更に斎藤や今川を出し抜いたことで大満足していて、更に第二弾! と意気込んでウッキウキだった信長が微妙な表情をしている。
知らんと言うのは怖いな、竹を舐めたら……死ぬぞ?
「ひぃ?!」
流石にライジングサンだの白一色がどうとか言う気は無いが、竹ってのはなぁ。なんで内政チートランク外なのかわからないくらいの可能性を秘めたチート素材だぞ? 伊達に例の指定暴力団がバンブー書房を名乗っているわけではないのだ。恐らく普通なら金や資材がない序盤でしか役に立たないからだろうが、こう言うところに目を向けねば戦には勝てないぞ。
後年、日本陸軍は竹槍に火薬やら爆薬仕込んで戦車に立ち向かうことを本気で考えるんだからな? 実際にベトコンはブービートラップに使用した竹槍でアメリカ兵を殺しまくったし、竹槍は使い方によっては実際に戦闘機を落とすし、戦車すら破壊できるんだぞ(少しの改良でパンツァーファウストにもなる)
二〇世紀でも使われた万能兵器である竹に舐めた口叩くなら、その辺の賊を竹槍で貫いて串刺し公よろしく城の前に飾ってやろうか? それともイッキの主人公のように竹槍で城を落とした方が早いか?
竹槍の先端に糞尿を塗れば突かれた相手は確実に助からんし、傷口がエグイので下手な槍より怖いのだぞ? 安いし軽いし、その辺にあるし、戦国時代ならチート中のチートではないか。
それをこのお子様は……
「千寿~、殺意を込めてないで説明してあげなさいな。信長が白目剥いてるわよ?」
む? どうやってこのお子様に竹の有効性を理解させようかと思っていたら、姫様から殺意を抑えろと言われたでござる。
いや、別にお子様に殺意を向けたつもりではないんですよ? どうやって竹の良さを伝えようか悩んだだけですよ?
くっ! 姫様の「時間の無駄だから」って感じのジト目がキツイ! それもこれも全部お前のせいだ! 汚い! 流石信長ッ! 汚い!!
「……(ビクッ)」
「千寿~? 何してるのかなぁ?」
いや、『僕は悪くない!』この程度の殺気に反応して白目を剥きながら粗相する信長が悪いと思います!
――――
とりあえず千寿のせいでグダグダになった空気を立て直すために、休憩を挟んで再度話し合いをすることになったんだけどさぁ。
「ま、まぁ吉弘殿が提案するんじゃからな! 問題があるとは思っとらんぞ? ただ地味だなぁとか思って……ません! スミマセンデシタッ!!」
眠気覚ましに頭から水をぶっかけられ、いろんな意味で汚れた服を着替えてから何事もなかったかのように話を再開した信長だけど、開口一番にアホな事を言って千寿に殺気を向けられ土下座してるわね。
まったく迂闊なんだから、態々地味とか言う必要ないでしょうに。素直なのはわかるけど、もう少し考えてから喋りなさいよ。折角着替えたのにもう一回着替えるの? 時間の無駄だからもうダメよ?
「政に派手さを求めるな。この馬鹿者が」
溜息混じりにそう言って殺気を収める千寿。信長の言動に呆れるだけの私とは違い、指南役としてしっかりと職務を遂行しようとする真面目さは流石よね。
それに言ってることは間違ってない。
「そうよ信長。領主の仕事なんて八割以上は地味な書類仕事なんだからね。今のうちから慣れておかないと家を継いだ後に大変なことになるわよ?」
そしてその地味な書類仕事の結果、領地が栄えて税収が上がるんだもの。金食い虫の戦なんかよりもよっぽどましじゃない。それを地味だからと文句を言うのは間違ってるわ。
「む、むぅ。それはそうじゃな。吉弘殿、話の腰を折ってすまんのじゃよ」
そうそう。まずは話を聞きなさい。
「謝るところが微妙ではあるが、まぁ良いか。で、竹を何に使うか、だが」
「うむッ!」
興味津々に身を乗り出す信長。地味だとか言っておきながらなんだかんだで楽しそうなのよねぇ。
「主に炭と盾だな。特に炭は塩の増産には欠かせぬ」
その信長の期待に答える気があるのかどうか、いつもの無表情で淡々と告げる千寿。
普段無表情だから笑うと怖いし、怒るともっと怖いのよねぇ。慣れればそこそこ感情もわかるようになるんだけど、それでもソレがわかるのは私だけって話だし。千寿ってばいろんな意味で損してるわよねー。
ま、下手に女を引き寄せられても困るから、今はこれで良いんだけどね。だけどてっきり竹槍や竹を使った罠でも作るかと思ったけど、炭かぁ。なるほどなー。
「炭? 塩の増産で炭を使うのは分かるが、その辺にあるのでは足りんと言うことかや?」
そう言って信長は城の中に有る炭を置いてある小屋の方を指差す。あ~どうも炭の重要性を理解出来ていないみたいね。それでも塩の増産方法について細かくは知らなくても、最終的に火で熱することくらいは知ってるみたいだから、この説明をしなくて済むのは良いけどさ。
「ねぇ信長、炭を作るのに必要なのは何?」
基本的に千寿は相手に考えさせる教え方をするからね。黙ってれば日が暮れちゃうから、ここは少し補足を入れてあげましょう。
「ん? 薪じゃろ?」
何を今更って顔をしてるけど、ソレが重要なのよ?
「その薪はどうやって出来るかしら?」
順序建てて考えれば分かることなんだけどね。
「そりゃそのへんの山から木を……おぉ! そういうことかっ!」
そう言ってポンッと手を打つ信長。流石に千寿が認めただけあって理解が早いわね。
信長の考えが千寿の望む段階に届いたのだろう。千寿は一つ頷いて解説をする。
「そういうことだ、今だって場所によっては炭が足りんのだ。ここで塩の増産の為に薪を使えば、いずれ木が無くなるだろう。そうなった場合どうやって民は冬を越す? 普通に暖を取るだけでも薪は使うし、戦でも使うだろ? よもや高い銭を払って美濃から炭を買って、安く塩を売るのか?」
有り得ないわよねぇ。
それに炭が有れば死ななくて済む民が居るならしっかりと配布すべきよ。当然炭屋や座の関係があるからその辺の調節は必要だけどね。
「なるほどのぉ。確かに木材は必要じゃな。で、竹を木材とみるわけかや」
しきりに頷いている信長を見てそのまま解説を続ける千寿。と言うか千寿ってどこでこんな知識を得たのかしら?
石宗(角隈石宗)や他の家臣が知らないようなことも知ってるから、不思議に思って随分前に聞いたこと有るけど、小姓の嗜みって言われたのよね。
あの時は何も考えずに「そんなもんかー」って思っていたけど、畿内だと小姓の嗜みって衆道のことだったんですけど?
そもそも石宗すら知らないことを知ってたんだからソッチじゃないのはわかってるけどさ。なーんかモヤモヤするわよねぇ。
「そう、必要なのだ。さらに言えば良質の炭を作るにはそれなりの木が必要だが、その木は一〇年や二〇年近くかかって育った木よ。無論土地によって品質のばらつきもあるし、量も一定ではない。対して竹なら二、三年で大きく育つ上、そこそこの管理をすれば勝手に増える」
言われてみればそうよね。木を育てるのは大変だけど竹なら木よりは簡単よ。
いや、当然管理は必要だけどさ。
「ふむぅ。確かにそれなら大量の炭も手に入るし、山の木も減らんな!」
山の木はねぇ。あんまり減ると山の生き物が減るし、千寿曰く土砂崩れとかにも繋がるから、あんまり無作為に伐るべきじゃないらしいのよね。
「それに炭やら薪材には座が有るが、竹には無い。つまりやりたい放題だ」
竹槍だけに? ……なんでもない。私は何も考えていないわ。
「確かにそうじゃな!」
態々竹で炭を作ろうとする変わり者が居なかったんでしょうね。つまり私たちが竹林を造って、そこから炭を作っても問題無いわ。
さっきも言ったけど一定の配慮は必要でしょうけどね。だけど城で使う分には態々座や商人から買うよりは安くなるし、塩の供給を考えれば邪魔はされないでしょう。
それにどーせ中抜きとかして私腹を肥やしてる阿呆共が居るんでしょ? そいつらの小遣い稼ぎで民が死ぬなんて論外よ。
とりあえず竹を作ることで私たちは炭と塩の安定供給が約束され、堀田とその仲間の支持と、塩と炭が手に入る民の支持を得るわ。
反対に自分の儲けを邪魔された商人や座が敵に回るけど、自分や家族の命より個人の儲けを優先されて面白い民はいない。私たちが手を下さなくても色んな噂を流すだけで勝手に滅んでくれるでしょう。
滅んだところに私たちの息が掛かった商人を入れれば良い話よ。
連中が大人しく消えるわけがないから、付き合いのある国人を動かすでしょうけど、ね。その頃には斎藤は毒が回って動けず、今川は遠い。商人が動く兆候を掴んだら援軍が来る前に国人ごと潰せば良いってことよ。
フフフ、流石は千寿。敵に回したら本当におっかないわねぇ。
「というわけで竹林を造らせるように。今回は堀田に事情を話して大橋殿に回したらいいんじゃないか?」
ふむ。今は塩の増産で手が回らないけど、なんだかんだで御用商人は堀田だからね。軽く見てないと言う意味も込めて話はしておくべきでしょう。
「なるほどの! 爺に、いや、林に言っておくのじゃ!」
うんうん。それで正解。筆頭家老は林殿だからね。きちんと立てないと駄目よ?
今回は情報の漏洩の心配があるから細かい情報まで明かす必要はない。ただ竹林を造って、その管理を大橋とやらに任せるだけ。
大橋は竹で生まれる利益を独占できるし、林殿や平手殿も内容を伝えなくても何かしら意味があるとわかっているから問題ない。
内容を知らないヤツは「『うつけ』が弾正忠の銭を使って訳のわからんことを始めた」とか言う程度かしら?
いや、むしろこっちからそう言う噂を立てるのか。あとは家臣団に対する調整よね。誰を生かして誰を殺すのか。そのさじ加減を間違えないように、きちんと教えるのが私の仕事よ。
千寿がきちんと仕事をしてるんだから、私だって手を抜かない。
さしあたっては……
「話が終わったみたいだし、着替えましょうか?」
信長も忘れてるかもしれないけど、土下座の時に粗相してるわよね? 流石にこのまま指南は出来ないわよ。こんなの礼儀作法以前の問題だからねぇ。
いや~。駿府の友野と繋がりが出来たおかげで綿布が買えるようになって良かったわ~。
「着替え? ぬ、ぬわぁぁ!」
今更顔を赤くしても無駄無駄無駄~。
「それじゃ千寿、後は任せてね」
楽市楽座とは言いますが、信長は全ての座を廃したわけではありません。本願寺系が抱えてた座や、敵である友野が抱えていた座のようなものは完全に撤廃させましたが、津島商人や熱田神宮が抱えていたモノに関してはきちんと保護してます。
平等?ナニソレ?敵と味方は明確に差別するものです。ってお話。
しつこいようですが、千寿君は現代知識による内政チートを否定していません。
「簡単では無いし大変だけど、やれるもんならやった方が良いに決まってる」と言うスタンスです。また上記の主張は他作品の批判ではなく、二章後半からの伏線となっております。ですが、そこまで見る気にはなれないと言う方は無理しなくても良いと思います。
嫌な思いをしてまで読むようなモノでもないですね。