俺のやり方は一つも正しいとは言えないだろうか?
快晴の空、雲一つもなく平和に映しだされている青空はとても輝いて見えた。
朝の学校は、登校する学生が集まり賑わっている。とても平和に感じられる。
そんな中俺だけが牙をむき出しに目をギラつかせて全速力で追いかけてくるライオンのような赤髪ショートポニーテールの桐原萌愛学級委員長から食い殺されないように逃げ回っていた。
「わあああああああーーーーーー」
平和な一時の土日からもう三カ月は、経っているのではと疑問がよぎるくらいの長い時間が経っているような感じがするのだが実際には、3日しか経っていないのだ。
今日は、水曜日である。
桐原は、どうやら正義感が無駄に強いらしい。
まだ、3日しか経っていないのに不良どもを見つけては、悪行を注意し反抗されればボコしているらしい。
おかげで校内の不良率は、下がってきていると聞く。
風紀委員にでもなればよかったのにな!
そうすれば、物凄く慕われたのかもしれない、憧れる人も出たかもしれない、だが実際は、怖がる人か面白がって見ている人しかいないのが現状であるっと噂で聞いた。盗み聞きは、ボッチの特技みたいなものである。
不良をボコボコにするのなんて勝手にやっていればいいんだ!俺には関係ない。
だがびっくりなことにその不良の中に俺も含まれてるらしい。冗談じゃねえぜ、ホントによー。
俺は、毎日のように桐原に追いかけられている。
この光景を見て楽しんでる奴もいる。トムとジェリーみたいと笑ってる奴が大半だ。笑ってないで助けては、もらえませんかね?
まあもっともと言うか何と言うか、原点に戻って考えてみれば校内の超有名人変態ゲス野郎で知れ渡る俺を助け出そうというお人好しは、いなかったのである。当り前だがな、ハハハハ。
桐原に追いかけられ、夢中に逃げ回っているうちに校内を何週も走っていた。
「観念して私に捕まりなさい!」
「嫌に決まっているだろ!」
俺の高校生活初日の入学式、桐原に蹴り上げられた後、血まみれの気絶状態で保健室に送られたんだ。誰が好き好んで捕まるかよ!もし自ら捕まりに行くような奴は、相当のドMかバカだけだ。
「あなた登校中に何をしたか分かっているのですか?」
ああ分かっているとも。校門付近の石につまづき、女子生徒をまたも押し倒してしまったのだ。
あそこの石どもは、俺をつまづかせるのが使命なのだろうか?だったら、全部の石を粉々に砕いて、川にでも捨ててやる。どんどん小さくなって、いずれ砂になるんだ、身軽になれて嬉しいだろ。
「あれは、不可抗力ってやつでだな…」
「そんな言い訳通じると思うんですか?あなた変態さんなんですよ?」
こいつしゃべり口調が可愛らしすぎるだろ!
『キーンコーンカーンコーン』
どうやら、ショートホームルーム前の予鈴がなったようだ。
「予鈴が鳴っては、仕方ありません。席に戻りますよ!」
俺は、逃げれるくらいの間隔の距離をとってから、桐原の小さな背中の後を追った。
カチッ
『なかなか速いな』
「ん?」
何か聞こえた気がしたが周りを見渡しても誰もいなかった。
「気のせいか?」
俺は、トラブルに巻き込まれないように慎重に教室に向かった。
それから何度も何度も桐原に追いかけられまくっていつの間にか放課後になってしまっていた。
俺は、二枚の紙を眺めながら呆然と椅子に座る。
一枚目の紙は、この学校の各委員会の名前とその目的、その活動内容が一覧表で載っていて、二枚目の紙は、委員会の紙のように部活のことが一覧表で載っていた。
この学校では、委員会と部活の両方に絶対所属しなければならないらしい。
ほとんどの人が両方決めて所属登録を終えている中、俺は二つとも決まらないままだ。
委員会何て適当に入ればいいのだがほとんどの委員会から前もってのお断りが来ているのでどうしようもない。
だがこのままでは、今後の進路に困る。
他の人は、委員会に所属しているのに俺だけが入ってないなんて印象が悪くなるに違いない。
そんなこんなで頭を抱え悩んでいた……その時、
ビッ――――――ザザザザ――
『…えっとこれもう流れてるの?』
『流れてますよー!早く要件言ってください!見つかったら怒られますよ!』
『ああそうだな!すずみや…これ何て読むんだ?ゆき(・・)てる(・・)?でいいのか?一年C組すずみやゆきてる!ボランティア委員に来るように!以上』
『委員会の名前なんて出したらバレバレじゃないですかー‼』
ピ――プツン
…どうやら放送は途絶えたらしい。
何だ今の放送?
「…ってか、ゆきてるって誰だよ!」
俺のクラスに涼宮は、俺しかいないからゆきてるが俺のことを指していることは、すぐ分かった。
俺は、ボランティア委員が活動しているという元美術部が使用している部屋に足を運んだ。
不思議なことにボランティア委員に関することは、委員会についての紙に書かれては、いなかった。
俺は、わざわざ担任に場所を聞きに行った。先生は、怯えながらも元美術部で活動していることとその場所をを教えてくれた。俺のことを見て怖がるのは、そろそろやめてほしいものだ。
担任の先生を見ると他の人と話そうとするのが不安になる。怯えられるのは、いい気分には、ならないからだ。
俺は、息を吐いてボランティア委員が使用している部屋のドアにノックをした。
コンッコンッ
「失礼します」
ドアを開けるとそこには、椅子に堂々と座り、黒くてとても長い髪をなびかせているメガネを付けた女子とその隣に桃色髪のセミロングヘアの女子が立っていた。
「ゆきてるくんだね?待ってたよ!君には、この委員会に入ってもらおうと思ってるんだ。立って聞くのは疲れるだろう。椅子に座りたまえ」
「あっありがとうございます」
「私は、ここの委員長の指原眞森、私の隣にいるのが副委員長の美村桃実だ」
どうもっと副委員長が会釈をしてきた。
「桃実は、凄いぞ!何てったって名前に劣らない程の実った胸だからな~」
「委員長!!」
副委員長がむっと頬を膨らませて委員長を睨む。
「すまん、今のは、失言だったな。では、本題に入ろう。この委員会は、人助けを目的として活動している。ゴミ拾いから人のサポートと言った具合に幅広くやる活動でな。活動したら記録用紙に書いてもらう。別に毎日やる活動ではないが何もしないのは許さん!そしてこの委員会のメイン活動は、学校行事等の準備や片付けだ!委員会メンバー全員で活動をするのだ」
「活動内容等は、分かりましたけど、俺が呼ばれた理由は?後、委員会名と活動内容が紙に書かれてなかったのはなぜですか?」
紙をぴらぴらとヒラつかせて俺は質問した。
「お前を呼んだのは、お前を助けるためだ。どうやら他の委員会から拒否られてるらしいではないか?だったら、うちに入れてやろうと思ってな!君の悪行はとても有名だしな!うちで調教してやろうと思ってな!悪い話ではないだろ?」
「ん?まあ確かに」
「それと紙に書かれてなかったのは生徒会のただ嫌がらせだ」
「え?」
「安心しろ!こっそりと極秘に勧誘活動はしているのだ」
そんなこと誰も心配してねえよ。なんで生徒会に嫌がらせを受けてるんだよ!
「で?どうだ?入る気にはなったか?」
自分の立場を考え、苦虫を噛む覚悟で入会することを決意した。
「分かりました。入ることにします。ただし、俺にあまり近づかないでください!」
「近づいたらどうする?」
「あなたの胸を揉みます!」
「とんだ問題児だな!今後が楽しみだよ!いいだろ!お前の言い分を飲んでやる」
副会長は、顔を青冷めていたが委員長は、高笑いをして承諾してくれた。
自分のセリフに悲しみを覚えるもそれでも近づいては欲しくなかった。
「失礼しました」
俺は、二人に会釈をしてからドアを開けてボランティア委員の部屋から廊下に出た。
廊下に出ると俺が開けたドアの横にクラスメイトの長髪金髪美少女城ヶ崎星が待ち伏せていた。
「あのお話があります!!」
今頃気づいたのだが、ゆきてるでないことをツッコみ忘れてしまっていた。
今後もゆきてると呼ばれ続けられるのだろうか?
そんな疑問を持ちながら城ヶ崎の背中について行った
学校の校舎裏、告白するには絶好の場所と言わんばかりの影の多く人気の少ないところに俺は、連れてこられた。
城ヶ崎は、俺をここに連れてきた後、五分くらい黙って立ち尽くした。
何かを考えセリフをまとめているのだろう、ようやく決意した城ヶ崎が俺の方を見て口を開いた。
「単刀直入に聞きます。あなたは、なぜ私をかばったんですか?」
想像以上にきつくて重い質問が飛んできた。
お前をかばうためとは言えなかった。
言ったら城ヶ崎はどうするんだろう?
謝るのか?怒るのか?俺を責めるのか?俺と一緒にいようとするのか?俺には、見当もつかない。
「…かっかばってなんかないよ」
俺には、こういう時の言い訳は、思いつかなかった。
「いいえ、あなたは、かばいました!私があなたとぶつかる直前あなたは、はっきりあぶない(・・・・)と言いました!それが証拠です」
「空耳じゃないかな?ハハハハハハ…」
「あなたは、確実に言った!私が避けれなかったせいでことは大きくなりました。あなたは、あそこで私を助けようとした。結果避けれなかったけど確かに聞きました!そしてあなたを救おうと私は、自己紹介の時にあなたをかばったはずだった!…でも、やっぱり…あなたは優しかった‼」
城ヶ崎から大粒の涙が浮かんでいた。
「小さな噂は、あなたが私をかばったことにより大きくなった!全部私の責任です!ごめんなさい‼」
ううううっと城ヶ崎は、顔をくしゃくしゃにしながら泣き、自分を(・)責めて(・・・)いた(・・)。
ああ、城ヶ崎はやっぱり優しい女の子だ。
かばってよかったっと思った。
「わっわたしは、あなたを救いたぃ‼」
やめろ!
「だからわたしは、ボランティア委員に入った‼」
そんな泣いた顔見たくない!
「ああたをぢゅぐうぢゃめに…」
そんな何言っているか分からないことを聞きたかったんじゃない!
謝って欲しかったんじゃない!泣いて欲しかったんじゃない!
俺は、俺のせいで迷惑かけたおまえに…ただ…笑顔になって欲しかっただけなんだ!
「やーーーーーめーーーーーーーーろーーーーーーーーーーーー‼」
俺は、いつの間にか大声を出していた。
「勝手な妄想に浸ってんじゃねえよ!勝手に俺を王子様にしやがって!勝手に泣いて?勝手に謝って?自己満足がしたいのか?頼んでねえよ!俺は、ただ…」
一瞬だった。城ヶ崎の表情が絶望の淵に立たされているような表情に見えたのは。
夢中に汚いセリフを血反吐が出るくらいの勢いで吐き捨て、どうにか俺と城ヶ崎を引き離して、近寄りがたい関係になるように俺は、叫び続けた。
胸が苦しかった。握りつぶされるくらい苦しかった。
「そう、ただ、有名人になりたかっただけなんだ!お前は、俺を引きだたせるための餌だったんだ!悪行でも有名人になりたかったんだよ!なのになのに、それなのに俺をかばおうとしやがって!よくも俺に手間を取らせてくれたな!お前なんて大嫌いだー‼」
ガッと城ヶ崎は膝を落とし地に手をついた。
「…そんな」
「分かったら、俺にもう二度と近づかないでくれ!」
俺は、その場から立ち去ることにした。
言い過ぎだって?
そんなことは、俺が一番分かっているんだ!
拳を力いっぱい握り、俺は、城ヶ崎に背中だけを見せて自分の表情を隠して歩いた。
だって俺も泣いているのだから…!
二人の大粒な雫は、その地に吸い込まれるように流れ落ちていった。
二人の様子を赤い髪の少年は、陰ながら見守っていた。
『あいつの言葉は、全て嘘。自己紹介も名前以外全て嘘。ただ一つ、あいつの涙だけは、本当だった!俺の勘は、その時だけ、働いていなかった!』
少年は、遠い目をしながら、明日について考えながら立ち去った。
明るく透き通った水色のショート髪の少女は、運動場を走り回っていた。
後方に追いつこうと必死に走る者もいるが誰も少女には、追いつかなかった。
『ああ、誰も私には、追いつけない。張り合いがない!だけど、彼の足は、速かった。彼なら、私と競い合えるだろうか?』
少女は、遠い目をしながら、明日について考えながら走りまくっていた。
茶髪と言っても金髪に近い茶髪。短い髪の彼女は、ピアスをはめ、ネックレスをし、二人のダチと行動をしていた。
『あの変態野郎調子乗ってない?』
『確かに』
『分かる分かる、女子更衣室とか覗いてるらしいよ!』
『『うわーキモ』』
彼女は、話題を振り、それにダチの二人が乗っかってきた。
彼女は、調子に乗っている奴を蹴落とすのが大好物だった。
彼女は、ある提案をした。
『私らでちょっとイジメてやるか』
ダチ二人は、その提案に簡単に乗った。
『学級委員長もうち嫌いなんだけどー』
『それは、今度でよくない?男の方蹴落とす方が壊れた時面白いよ』
ダチ二人もまた、こういう事が多少は、好きだったのだ。
『じゃあ、決まりだな!』
彼女ら三人は、変態の机に行き、悪意を企て、机に落書きした。
『明日が楽しみだ!』
彼女は、明日、涼宮幸輝が驚くとこを早く見たかった。
彼女は、遠い目ではなく、近い目をしていた。遠い未来までは、考えていなかった。
遥か彼方上空、人間は、愚か全ての生物は、そこに入ることを禁じられていた。否、入ることも存在することもできない場所だった。
女性は、全ての様子を小さな湖に映しだされている映像を見て把握していた。
『欠片が集まってきている!少年よ!力を(・)失い(・・)貴様に何の魅力もないというのに貴様の作った(・・・)欠片たち(・・)は、またも、貴様に集まっている!実に面白い、少年よ面白いぞ!我が直接出向かうのも時間の問題かもしれん!全ての欠片が集まった時、全ての真相は、必然的に明らかとなるだろう』
アハッハッハッハー
女性は、高笑いし、喜びを隠せないでいた。その響きは、そこの空間を震わせる程だった。