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俺と緋乃さんの魔法部隊  作者: 空乃そら
第3章 条件
30/49

30.

 とりあえず教員の方を探してあたりをきょろきょろと見渡しながら、なぜこんなことになってしまったのかと考えてみる。



 「……私の自業自得、ですね」



 誰にも聞かれない音量で小さくつぶやく。私がシローさんの寮でお二人の場所を調べたときは二年A組にいたのだが、学校に行くまでにいろいろと眼を奪われているうちにどうやら次の授業になってしまったようだった。もちろん委員長が話を聞いてくれなかったというのもあるが、それは根本的な理由にはならない。それに簡単に誰かのせいにすることはしたくなかった。



 ――仕方ないじゃないですか、過去の街並みなんて初めてみましたし……。 



 心のなかでちょっといい訳。昨日同じ場所を通ったときは無一文だったので、どうせ買えないからと割り切ることが出来たのだが――今日はシローさんが学校に行くまえに、何かあったら困るからと少しお金を渡してくれたのだ。結果的には何も買わなかったのだが、お金に余裕があるときについついお店を見てしまうのは仕方ないことだと思う。



 そんな風に自分に言い聞かせながら、なおも首をあちこちに動かすが教員の方の姿は見つけられなかった。



 「さっきから何をしているんだ?」



 そんな私の様子を不思議に思ったのか、委員長が声をかけてきてくれた。



 「いえ、ちょっと教員の方を探していたんですが……」


 「教員? たぶん今は準備してるだろうから、ここら辺にいないと思うぞ」


 「準備?」


 「ああ。教員は負傷者とかをいち早く救出しないといけないだろう? でもだからといって、あちこちにいたら実戦の邪魔になる。だから捜索系の魔法で学校全体を監視してるんだよ」



 捜索系、つまり私の知り合い探索エルノルミヤ・エレブナと同じ系統の魔法だ。



 「それで何かあったら加速系とか移動系の魔法で教員が助けに入るんだ。だから大体の教員は全体が見渡せて、邪魔にならない場所にいる。例えば屋上とかな」



 「確かにそれなら合理的ですね……」



 一瞬、屋上からどう助けるのだろうと思ったものの、よく考えてみると加速系――電車よりも速く走れたり、移動系――ワープできる魔法があるならば不可能ではないだろう。



 「でも、どうして委員長がそんなことを知っているんですか?」



 「知ってるっていうか、去年がそうだったんだ。だから、たぶんだけど今年も同じようにやると思うぞ。まあ、去年はたいして怪我人は出なかったが」



 「なるほどです」



 となると、今教員の方に会うのは難しいのだろう。ならばいっそのこと、始まったらすぐに棄権して教員の方に事情を話してみるべきか。しかしそれだと必然的に私ひとりで授業に参加していた理由を含めて説明しなければならない。だが、委員長が話を聞いてくれなかったと説明して信じてくれるだろうか? 最悪の場合、不審者として扱われ未来から来たことがバレる可能性も……。



 ――本当に困ったものですね。まさか委員長に一緒に棄権して事情を説明してくださいとも言えませんし。



 かといって今からひとりで屋上に向かったところで、これだけ学校が広いと着くまえに実戦が始まってしまうだろう。そうなったら私を生徒と間違えて攻撃してくる人も出てくるだろうし、そもそもひとりで行ったら結局は私の説明を信じてもらえるかという問題が解決されない。お弁当を持ってきたところまではきちんと説明できだろうが、なぜ生徒に混じっていたかを上手く伝えられる自信はない。魔法で監視してるなら、私がここにいることをわかっている可能性もあるし。



 「……そういえば、この実戦は全校生徒が参加しているんでしたよね?」



 どうしたものかと考えているうちに、ふと委員長がそんなことを言ってたことを思い出す。



 「ああ。実戦の舞踏会(プラクティキ・フロ―シュ)の出場者は学年に関係なく実力で選ばれるからな」



 委員長は視線を私に移すとそう肯定してくれる。ここには全校生徒――つまりシローさんと沙紀さんもいるはずだ。ならばお二人にお弁当を渡して、その後に教員の方に説明してもらえれば全ての問題を解決することができるのではないだろうか。教員の方を見つけることばかり考えていたから、当初の目的をすっかり失念していた。



 「そうですか、まったく本当になんで気が付かなかったんでしょう……」


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