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俺と緋乃さんの魔法部隊  作者: 空乃そら
第1章 相談事
13/49

13.


 つくもにはトラブルに巻き込まれて魔法を使ってほしい、みたいな感じで伝えればいいだろう。本当は緋乃さんのことを話したほうがいいのだろうが、もしかしたらそれで緋乃さんが逮捕されてしまう可能性がある以上、慎重に行動するに越したことはないだろう。それにもしそうなったら、俺と沙紀もタダでは済まないだろうし。



 俺はそんなことを考えながら携帯を取り出すと、つくもの番号へと電話をかける。こういうとき離れていても考えを伝えることの出来る魔法があれば便利なんだろが、そんなことが出来るのはごく一部の人なのでこうして電話が造られた。


 本当、電話を造った昔の人は凄いと思う。


 『も、もしもしっ!』


 相手に呼びかけていることを告げるコール音が止むと同時に、そんな慌てた声が聞こえてきた。つくもにしては珍しく上ずった声。電話をかけるには少しタイミングが悪かったのかもしれない。


 「もしもし、今大丈夫か?」


 『ににににに兄さん、大丈夫です!』


 「本当に大丈夫か……?」


 あまりにいつもと違う対応に少し心配になってくる。俺のことを兄さんって呼ぶのも子どものとき以来だし。熱でもあるのだろうか。

 

 『それで、一体どうしたんですか?』


 「ああ……。実はつくもに頼みたいことがあるんだけど」


 『頼み、ですか? この時代の兄さんが私に頼み……ということは、あのとき言っていたのはこのことだったんですか』


 「お、おい。一体どうしたんだよ? 言ってることがよくわからないんだけど……」


 『す、すいません! なんでもないです。悪いですけど、かけ直してもらえますか? それではっ』


 「え、つくも⁉」


 つくもはそれだけ言うと一方的に電話を切ってしまった。一体どうしたのだろう。普段だったらあんなこと絶対言わないのに。


 「つくもちゃん、何だって?」


 俺が電話を終えるのを待っていた緋乃さんと沙紀が俺の様子を見て不審に思ったのか、すかさずそう聞いてきた。


 「いやなんか、かけ直してって……」


 「なんか珍しいね。忙しいなら、もうかけてこないで下さいくらい言いそうだけど」


 「あー、言いそう」


 「シローさんの妹さんがそんなこと言うなんて想像できないです……」


 「まあ、シローはお人よしだからね」


 「沙紀に言われたくない」


 そんなくだらない話をしながら、俺は再び携帯でつくもの番号にかける。いつ頃かけ直してとも言われてないし、まあ大丈夫だろう。本当に忙しいなら出ないだろうし、もしそうなら後でまた時間をみてかけ直すことにしよう。つくものさっきの態度も気になるし。


 『もしもし』


 何コールかの後、つくもが電話に出た。今度はさっきと違い落ち着いた声。

 

 「もしもし、シローだけど。すぐにかけ直しちゃったけど、大丈夫か?」


 『お兄様が何を言ってるのかわかりません。とうとう頭がおかしくなりましたか?』


 「何って……、つくもがかけ直してくれって言ったんじゃないか」


 呼び方もお兄様に戻ってるし。いくらお嬢様学校に通ってるからとはいえ、この呼び方はいつまで経っても慣れないな。つくもの口調とも合わないし。まあ、人を小馬鹿にするのはつくもらしいけど。


 『そんなこと言っていません。電話出たのも今がはじめてですし』


 どうやらさっきのことは、つくものなかではなかったことになってるみたいだ。いつもと様子が違っていたし、もしかしたら少し気恥ずかしいのかもしれない。とりあえず、この話題については俺もなかったことにしたほうがいいだろう。


 「ごめん、俺の勘違いだった。それより、つくもに頼みたいことがあ」


 『嫌です』


 あるんだけど、と言おうとしたところで即答される。まだ言い終わってすらないのに……。さっきのつくもとはえらい違いだ。


 「まあ、そう言うなよ。とりあえず話だけでも聞いてくれないか?」


 「……わかりました。何度も頼まれても困りますし、話だけは聞いてあげます。それで頼みがあるんですよね? 一体なんですか?」


 「ああ、つくもの魔法を使ってほしいんだ」


 『お断りします』


 また即答された。まあ、普段のつくもならそう言うよなあ……。それにしても本当に話だけ聞いたって感じだ。


 「そこをなんとか。つくもの好きないちごパフェ奢るからさ」


 『コンビニのですか?』


 「いや、ニューディの三百個限定のやつ」


 『………………』


 あ、悩んでるっぽい。ニューディはつくもの行きつけの店だからな。あそこのパフェは限定のうえにかなりの値段がするが、一度食べると病みつきになるほど美味しいらしいし。


 『というか、私の魔法を何のために使おうっていうんですか?』


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