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俺と緋乃さんの魔法部隊  作者: 空乃そら
第1章 相談事
11/49

11.



     ※



 「で、これは一体どういうことなの?」


 困惑する二人を何とか落ち着かせ、お茶を出したところで俺はなぜか沙紀に正座をさせられていた。ちなみに隣で緋乃さんも律儀に正座している。こちらは沙紀に強制されたわけではないのだが。


 「どう、と言われても……」


 未来のことを説明するわけにはいかないので、説明に困る。親戚とか言っても納得してくれるとは思えないし。


 「ていうか、シロー。いつの間に彼女なんか作ったのよ? そういうことは普通幼馴染に報告するもんでしょ」


 どうやら沙紀は、緋乃さんを俺の彼女と思ってるみたいだ。それにしても、恋人が出来たら幼馴染に報告するなんてきまりはいつ出来たんだろう。


 とりあえず緋乃さんが俺の恋人ではないことは緋乃さんのためにもちゃんと伝えるべきだろう。そんな風に思っていると――、


 「そ、そんな! 私とシローさんがこここここ恋人だなんてっ!! 光栄ですけどまだそんな関係じゃないです!」


 俺より先に緋乃さんが沙紀の言葉に反応した。いやその通りなんだけど、そんな強く否定しなくても……。


 しかし沙紀はその言葉に思うところがあったらしく、


 「まだ、ねぇ……」


 と意味深な眼を緋乃さんに向けていた。


 「まあいいわ。でも付き合ってるわけじゃないなら、二人の関係はなんだって言うの? シローがいきなり友達を作ったとは思えないし……」


 「そんな当たり前みたいに言うなよ。……俺だって友達くらい作れる」


 「今まで誰も作れなかったじゃない」


 「う、うるさいなあ」


 「私とシローさんは友達だなんてそんな遊びみたいな関係じゃないです!」


 こうなったら緋乃さんとは最近友達になったことにして、俺の部屋に遊びに来たことにしようと思っていると意外にも緋乃さんがそんなことを言い始めた。


 「じゃあ、あなたはシローのなに?」


 「私はシローさんの部下です!」


 「部下……?」


 「ち、違うんだ沙紀! その緋乃さんはちょっと変な子で……」


 「変ってなんですか! 私の話を信じてくれたんじゃないんですか⁉」


 やっぱり緋乃さんは天然じゃ片付けられない何かを持っているみたいだ。なんていうか……融通が利かない。それもかなり極端に。


 仕方なく俺は緋乃さんに近付くと、小声で声をかけた。


 「沙紀に未来のことがバレちゃダメってわかってるのか?」


 「そ、それはわかってますけど……。でもただの友達って言われるとなんか嫌です」


 緋乃さんも小声で応じる。友達のほうが部下より対等な感じがしていいと思うんだが……、まあどう感じるかは人それぞれだろう。どうやら緋乃さんは未来の俺をそれなりに尊敬してくれてるみたいだし、もしかしたら対等ということに引け目を感じてしまうのかもしれない。


 「さっきからこそこそ話してるけど、つまりどういうこと?」


 俺たちがなかなか説明しないので沙紀がしびれを切らしたようだ。心なしか口調が強くなっている気がするが、まあ誰だって目の前で内緒話をされればいい気はしないだろう。


 「緋乃さん、沙紀には全部話してしまってもいいか?」


 ここまできたら嘘をついてもごまかしきれないだろうし、沙紀ならちゃんと話せば無意味に言いふらすことはないはずだ。それに正直な話、沙紀にまで隠し事をするのは結構罪悪感があった。


 「はい、シローさんが決めたことなら私は何の文句もありませんよ」


 緋乃さんも俺の思いを知ってか知らずか賛同してくれる。俺はそんな緋乃さんに内心で感謝しながら沙紀にこれまで起きたことを説明することにした。



 「ふーん、そんなことがあったのね……。まあ、普通に考えればシローが友達なんか作れるわけないかあ」


 俺からの説明が終わると、沙紀はなんだか妙に納得したようにそう言った。


 「いやだから友達くらい作れるって。ねぇ、緋乃さん?」


 「えっ! あ、はい。そうですね……。シローさんは未来でも今と同じくらい人望があいました!」


 「緋乃さん、フォローになってないです」


 どうやら未来でも俺に友達はあまりいないみたいだ。


 まあそれはともかく沙紀の反応を見る限り、やっぱり緋乃さんの犯罪行為を通報するとか、そんな気は微塵みじんもないようだ。正直なところ少しは何か言われるかもしれないと思っていたのだが、俺の想像以上に沙紀がいい奴だったということだろう。未来のことには驚いていたみたいだが、それ以上に納得した感じが強かったのは沙紀なりにある程度俺たちの関係を予測していたからかもしれない。


 「でもまさか、ここまで簡単に信じるとは思わなかったよ」


 「あ、それは私も思いました。シローさん以外に信じてもらえるとは思ってませんでしたし、仮に信じてもらえても通報されてしまうと思ってました……」


 「んー、まあ完全に信じたわけじゃないんだけどね」

 

 「どういうことだ?」


 「うん。シローがあたしにそんな嘘をついても仕方ないでしょ? ごまかすにしても、もっと上手いこと言うだろうし。それはわかってるんだけど、なんて言うか……いまいち実感が沸かないのよね」


 「なるほどね」

 

 「特にシローが部隊長ってとこ」


 「その通りだけど、ひでぇよ!」


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